パソ・ロブレスの意外なクールさに驚いた
カリフォルニアワイン協会が主催するカリフォルニアワインの「Aliveテイスティング」とセミナーに参加してきました。丸1日、カリフォルニアワインに漬かり切りになる、カリフォルニアワインマニアにとっては夢のような一日です。
毎年、「テーマ産地」が設けられるこの試飲会とセミナーですが、おととしの「ローダイ」、昨年の「ウェスト・ソノマ・コースト」に続いて、今年は「パソ・ロブレス」です。この記事ではパソ・ロブレスのセミナーを中心にまとめます。
そもそもパソ・ロブレスがどこにあるかはカリフォルニアワインファンでもあまり知らないかもしれません。
上の写真の左下にカリフォルニアの全体図とパソ・ロブレスのおおまかな位置が書かれています。サンフランシスコとロスアンゼルスのほぼ中間地点で、正直どちらから行っても結構遠いところです。カリフォルニアの図が描かれているところの周りは濃紺になっていますが、実際このあたりが太平洋になります。沿岸の産地ではなく、山脈一つ越えた内陸の産地です。そのため、基本的にはかなり温暖な地域で、場所によっては夏場は40℃以上が当たり前というところもあります。ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く作られていますが、ジンファンデルも多いですし、シラーなどローヌ系品種も有名です。白ワインのイメージはあまりない
なんだか何もなさそうに思える地域ですが、TripAdvisorでは米国の訪れるべき観光地の6位にランキングされています。ワイナリーも400を超えており、アウトドアのアクティビティなどでも人気があります。
今回のセミナー、「パソ・ロブレス、思ったよりクールかも!」というタイトルが付いています。どうクールなのでしょうか。
パソ・ロブレス・ワイン・カントリー・アライアンス(PRWCA)コミュニケーション・ディレクターのクリストファー・タラント氏
パソ・ロブレスがAVAとして認定されたのは1983年。カリフォルニアのAVAの中でも初期に策定された一つです。そこからさらに11のサブAVAを2007年に申請、2014年にようやく認められ、今年で10年になります。ナパやソノマのサブAVAと比べると、浸透しているとまでは言えないですが、「アデレーダ・ディストリクト」など一部のAVAはだいぶ認知が進んできたようにも感じています(余談ですが、今「アデ」まで入力したら残りをIMEが補完してくれたので、自分的にはだいぶなじんだ言葉になっているようです)。
前述のように気候は基本的にかなり温暖ですが、山脈の切れ目から海からの冷たい風が入ってくるため、夏場でも夜は15℃くらいまで気温が下がります。その結果、昼と夜との気温差(日較差)が非常に大きいというのも特徴です。なるほど、確かに「思ったよりクールかも」しれません。
AVAの西側は山脈にかかっており山が多く、中央部は比較的平坦で東はまた山脈があり東に行くほど標高が高くなります。
植えられているブドウ品種も前述のようにカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く約半分ですが、品種の数は65以上あり、いわゆる国際品種以外のものもかなりあります。このあたりも意外に「クール」ですね。
セミナーでは5つのワイナリーの代表者が話をし、ワインを試飲しました。写真の左から右の順になります。
最初はマハ(MAHA)。小さな家族経営のワイナリーでシラーやグルナッシュ、ムールヴェードルといったローヌ系品種を中心に作っています。2003年にパソに移住し、畑は有機栽培とバイオダイナミックを実践。どちらも2015年に認証を受けています。ワイン造りもコンクリートの発酵槽で天然酵母を使って行い、ハンガリー製の大樽で熟成するというナチュラルな方法。大樽を使うのは「エネルギーとテンションを与えてくれる」からだといいます。
場所はアデレーダ・ディストリクト。太平洋からの冷たい風を受ける比較的涼しい地域です。石灰は保水の役目と酸を維持するのに役立つそうです。
試飲のワインはクレレット・ブランシェという品種の白ワイン「MAHA Before Anyone Else 2021」。クレレット・ブランシェという品種名はあまり聞いたことがないですが、フランスの地中海沿岸地域ではメジャーな品種の一つです。穏やかな酸味、青りんごや花梨の風味、濡れた石や石灰。マルサンヌやルーサンヌに近い印象を受けました。
2本目は「Giornata Sangiovese 2021」。
ジョルナータはイタリア系品種を手掛けているワイナリー。Elpomar DistrictというAVAにあります。急斜面の多い急流地帯で、アデレーダ・ディストリクトよりはやや温暖ですが、比較的冷涼なところになります。畑は有機栽培の認証を受けています。
イタリア品種を手掛けるのは一家がイタリアにルーツがあるからですが、そのまま品種を持ってくるだけではうまくいかず、尊敬の念をもって育てることが必要とのことでした。
サンジョヴェーゼは9月に収穫して45日発酵にかけます。果皮に長く漬け込むことで風味を抽出しています。「すごく涼しい夜と温かな昼を表すハグをして楽しむようなワイン」だとのこと。
赤系の果実の風味にブラックベリー、スパイス。果実味はそれほど前面に出てこず、酸のきれいさが目立ちます。冷涼感を感じるサンジョヴェーゼです。
3つめのワイナリーはPeachy Canyon(ピーチー・キャニオン)。先日「アイコニックワインの試飲会で美味しかったワイン(2024年2月)」の記事でもここのインクレディブル・レッドを紹介しています。このインクレディブル・レッド、2000円台で入手できるジンファンデル系ブレンドの中では間違いなくトップクラスのクオリティで、個人的にもなじみ深いワイナリーですが、ワイナリーの人の話を聞くのは初めてです。
ここはピケット家による家族経営のワイナリーで、1982年にパソ・ロブレスに移住しました。ワイナリーを始めたのは1988年で、ワイナリー名は「Peachy Canyon Road」という道の名前から来ています。12種類のワインを作っていますが、メインはジンファンデルで「すばらしいジンファンデルの代名詞」と言っています。
ブドウは自社畑からの調達で無灌漑で栽培しています。
試飲のワインは「Nancy's View Zinfandel 2020」。Nancyは今回来日したジェイク・ピケットの母親の名前です。
畑の写真にあるように土壌は石灰石による白い部分と、そうでないグレーの部分があるのが特徴だといいます。雨の決して多くないパソ・ロブレスで無灌漑栽培をするのはかなりチャレンジングで、ブドウの樹は12フィート(約3.6m)という広い間隔で植え、春には雑草を生やさないようにしたり、ブドウの収量を制限するなど、少しでもブドウに多くの水が行くようにしています。それでもブドウのストレスは多く、収穫は8月末から9月初頭と地域の中でもかなり早い方だといいます。
ジンファンデル以外にはフィールドブレンドでプティ・シラーが2%入っています。醸造では全房発酵を一部使っています。ストラクチャーやエレガントさを出すためです。発酵にはコンクリートタンクとニュートラルな樽を使い、熟成は35%新樽を使って8カ月行います。
赤い果実とスパイス、焼いたパイナップルの風味。ジューシーな果実味に穏やかな酸味でミディアム・ボディのジンファンデル。おそらく多くの人がイメージするジンファンデルよりも相当エレガントです。インクレディブル・レッドと比べてもかなりエレガント。今回一番驚いたワインです。
4番目はJ. Lohr(ジェイ・ロアー)。ここもパソ・ロブレスでは古くから知られたワイナリーで、特にカベルネ・ソーヴィニョンに定評があります。シリコンバレーのサンノゼにもテイスティング・ルームがあり、そちらには訪問したことがあります。ロアー家の家族経営ワイナリーで、今回はCEOのスティーブ・ロアーが来日しました。
J.ロアーの創設は1972年と、今回のワイナリーの中では一番古いのですが、実は最初はモントレーにありました。モントレーはシャルドネやピノ・ノワール、リースリングには向いていましたが、カベルネ・ソーヴィニョンには冷涼すぎた亜ため、今度はナパに移住。その後、パソ・ロブレスのフレッシュでソフトなタンニンや果実味の高さに魅せられてさらに移住。1200ヘクタールの畑を植えて現在に至ります。ワインはボルドー系とローヌ系来る品種が中心。代表作のSeven Oaks カベルネ・ソーヴィニョンは15ドル以上のカベルネ・ソーヴィニョンで売り上げ2位を誇ります。
試飲のワインは「Hilltop Cabernet Sauvignon 2021」。リザーブの位置づけのワインです。
畑はエル・ポマール・ディストリクトにあります。やや冷涼でなだらかな丘が広がり水はけがいいところ。
パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニョンというと芳醇で柔らかなイメージがありますが、今回のヒルトップは結構固さとストラクチャーのあるワインでした。酸も高くハーブの風味、パワフルでタニック。時間はかかりそうですがいいカベルネ・ソーヴィニョンです。
最後はL'Aventure(ラヴェンチュール)。ステファン・アセオはボルドーで生まれ、ボルドーでワイナリーを作り、成功しましたが、シラーを作りたいと願うようになりました。とはいえボルドーではAOCの規定からシラーを作るのは難しく、ワイナリーを売却して米国に移ることになりました。パソ・ロブレスのウィロー・クリークに理想の土地を見つけ畑を作りました。2008年からはすべて自社畑でワインを作っています。
地所内に4つの丘があり、土壌や標高などさまざまなところがあります。さまざまなローヌ系品種をそこに植えています。特に石灰岩からの影響が大きいといいます。
試飲のワインは「Estate Cuvee 2017」。ここのフラッグシップのワインで、シラーとカベルネ・ソーヴィニョン、プティヴェルドをブレンドしています。この組み合わせのブレンドを「パソ・ロブレス・ブレンド」と呼ぶそうです。
リッチでタニック、パワフルなワイン。白コショウなどのスパイスの風味、カシスにオレンジの風味も感じます。むちゃくちゃ美味しいです。
後で調べたらパーカー96点、ジェブ・ダナックは98点という高得点を付けています。こりゃうまいわけです。
今回の5つのワイン。もちろん選りすぐりのワインを持ってきたというのもあると思いますが、芳醇で濃厚だけどややスマートさに欠けるような気がしていたパソ・ロブレスへの偏見を完全に打ち消してくれました。
毎年、「テーマ産地」が設けられるこの試飲会とセミナーですが、おととしの「ローダイ」、昨年の「ウェスト・ソノマ・コースト」に続いて、今年は「パソ・ロブレス」です。この記事ではパソ・ロブレスのセミナーを中心にまとめます。
そもそもパソ・ロブレスがどこにあるかはカリフォルニアワインファンでもあまり知らないかもしれません。
上の写真の左下にカリフォルニアの全体図とパソ・ロブレスのおおまかな位置が書かれています。サンフランシスコとロスアンゼルスのほぼ中間地点で、正直どちらから行っても結構遠いところです。カリフォルニアの図が描かれているところの周りは濃紺になっていますが、実際このあたりが太平洋になります。沿岸の産地ではなく、山脈一つ越えた内陸の産地です。そのため、基本的にはかなり温暖な地域で、場所によっては夏場は40℃以上が当たり前というところもあります。ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く作られていますが、ジンファンデルも多いですし、シラーなどローヌ系品種も有名です。白ワインのイメージはあまりない
なんだか何もなさそうに思える地域ですが、TripAdvisorでは米国の訪れるべき観光地の6位にランキングされています。ワイナリーも400を超えており、アウトドアのアクティビティなどでも人気があります。
今回のセミナー、「パソ・ロブレス、思ったよりクールかも!」というタイトルが付いています。どうクールなのでしょうか。
パソ・ロブレス・ワイン・カントリー・アライアンス(PRWCA)コミュニケーション・ディレクターのクリストファー・タラント氏
パソ・ロブレスがAVAとして認定されたのは1983年。カリフォルニアのAVAの中でも初期に策定された一つです。そこからさらに11のサブAVAを2007年に申請、2014年にようやく認められ、今年で10年になります。ナパやソノマのサブAVAと比べると、浸透しているとまでは言えないですが、「アデレーダ・ディストリクト」など一部のAVAはだいぶ認知が進んできたようにも感じています(余談ですが、今「アデ」まで入力したら残りをIMEが補完してくれたので、自分的にはだいぶなじんだ言葉になっているようです)。
前述のように気候は基本的にかなり温暖ですが、山脈の切れ目から海からの冷たい風が入ってくるため、夏場でも夜は15℃くらいまで気温が下がります。その結果、昼と夜との気温差(日較差)が非常に大きいというのも特徴です。なるほど、確かに「思ったよりクールかも」しれません。
AVAの西側は山脈にかかっており山が多く、中央部は比較的平坦で東はまた山脈があり東に行くほど標高が高くなります。
植えられているブドウ品種も前述のようにカベルネ・ソーヴィニヨンが一番多く約半分ですが、品種の数は65以上あり、いわゆる国際品種以外のものもかなりあります。このあたりも意外に「クール」ですね。
セミナーでは5つのワイナリーの代表者が話をし、ワインを試飲しました。写真の左から右の順になります。
最初はマハ(MAHA)。小さな家族経営のワイナリーでシラーやグルナッシュ、ムールヴェードルといったローヌ系品種を中心に作っています。2003年にパソに移住し、畑は有機栽培とバイオダイナミックを実践。どちらも2015年に認証を受けています。ワイン造りもコンクリートの発酵槽で天然酵母を使って行い、ハンガリー製の大樽で熟成するというナチュラルな方法。大樽を使うのは「エネルギーとテンションを与えてくれる」からだといいます。
場所はアデレーダ・ディストリクト。太平洋からの冷たい風を受ける比較的涼しい地域です。石灰は保水の役目と酸を維持するのに役立つそうです。
試飲のワインはクレレット・ブランシェという品種の白ワイン「MAHA Before Anyone Else 2021」。クレレット・ブランシェという品種名はあまり聞いたことがないですが、フランスの地中海沿岸地域ではメジャーな品種の一つです。穏やかな酸味、青りんごや花梨の風味、濡れた石や石灰。マルサンヌやルーサンヌに近い印象を受けました。
2本目は「Giornata Sangiovese 2021」。
ジョルナータはイタリア系品種を手掛けているワイナリー。Elpomar DistrictというAVAにあります。急斜面の多い急流地帯で、アデレーダ・ディストリクトよりはやや温暖ですが、比較的冷涼なところになります。畑は有機栽培の認証を受けています。
イタリア品種を手掛けるのは一家がイタリアにルーツがあるからですが、そのまま品種を持ってくるだけではうまくいかず、尊敬の念をもって育てることが必要とのことでした。
サンジョヴェーゼは9月に収穫して45日発酵にかけます。果皮に長く漬け込むことで風味を抽出しています。「すごく涼しい夜と温かな昼を表すハグをして楽しむようなワイン」だとのこと。
赤系の果実の風味にブラックベリー、スパイス。果実味はそれほど前面に出てこず、酸のきれいさが目立ちます。冷涼感を感じるサンジョヴェーゼです。
3つめのワイナリーはPeachy Canyon(ピーチー・キャニオン)。先日「アイコニックワインの試飲会で美味しかったワイン(2024年2月)」の記事でもここのインクレディブル・レッドを紹介しています。このインクレディブル・レッド、2000円台で入手できるジンファンデル系ブレンドの中では間違いなくトップクラスのクオリティで、個人的にもなじみ深いワイナリーですが、ワイナリーの人の話を聞くのは初めてです。
ここはピケット家による家族経営のワイナリーで、1982年にパソ・ロブレスに移住しました。ワイナリーを始めたのは1988年で、ワイナリー名は「Peachy Canyon Road」という道の名前から来ています。12種類のワインを作っていますが、メインはジンファンデルで「すばらしいジンファンデルの代名詞」と言っています。
ブドウは自社畑からの調達で無灌漑で栽培しています。
試飲のワインは「Nancy's View Zinfandel 2020」。Nancyは今回来日したジェイク・ピケットの母親の名前です。
畑の写真にあるように土壌は石灰石による白い部分と、そうでないグレーの部分があるのが特徴だといいます。雨の決して多くないパソ・ロブレスで無灌漑栽培をするのはかなりチャレンジングで、ブドウの樹は12フィート(約3.6m)という広い間隔で植え、春には雑草を生やさないようにしたり、ブドウの収量を制限するなど、少しでもブドウに多くの水が行くようにしています。それでもブドウのストレスは多く、収穫は8月末から9月初頭と地域の中でもかなり早い方だといいます。
ジンファンデル以外にはフィールドブレンドでプティ・シラーが2%入っています。醸造では全房発酵を一部使っています。ストラクチャーやエレガントさを出すためです。発酵にはコンクリートタンクとニュートラルな樽を使い、熟成は35%新樽を使って8カ月行います。
赤い果実とスパイス、焼いたパイナップルの風味。ジューシーな果実味に穏やかな酸味でミディアム・ボディのジンファンデル。おそらく多くの人がイメージするジンファンデルよりも相当エレガントです。インクレディブル・レッドと比べてもかなりエレガント。今回一番驚いたワインです。
4番目はJ. Lohr(ジェイ・ロアー)。ここもパソ・ロブレスでは古くから知られたワイナリーで、特にカベルネ・ソーヴィニョンに定評があります。シリコンバレーのサンノゼにもテイスティング・ルームがあり、そちらには訪問したことがあります。ロアー家の家族経営ワイナリーで、今回はCEOのスティーブ・ロアーが来日しました。
J.ロアーの創設は1972年と、今回のワイナリーの中では一番古いのですが、実は最初はモントレーにありました。モントレーはシャルドネやピノ・ノワール、リースリングには向いていましたが、カベルネ・ソーヴィニョンには冷涼すぎた亜ため、今度はナパに移住。その後、パソ・ロブレスのフレッシュでソフトなタンニンや果実味の高さに魅せられてさらに移住。1200ヘクタールの畑を植えて現在に至ります。ワインはボルドー系とローヌ系来る品種が中心。代表作のSeven Oaks カベルネ・ソーヴィニョンは15ドル以上のカベルネ・ソーヴィニョンで売り上げ2位を誇ります。
試飲のワインは「Hilltop Cabernet Sauvignon 2021」。リザーブの位置づけのワインです。
畑はエル・ポマール・ディストリクトにあります。やや冷涼でなだらかな丘が広がり水はけがいいところ。
パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニョンというと芳醇で柔らかなイメージがありますが、今回のヒルトップは結構固さとストラクチャーのあるワインでした。酸も高くハーブの風味、パワフルでタニック。時間はかかりそうですがいいカベルネ・ソーヴィニョンです。
最後はL'Aventure(ラヴェンチュール)。ステファン・アセオはボルドーで生まれ、ボルドーでワイナリーを作り、成功しましたが、シラーを作りたいと願うようになりました。とはいえボルドーではAOCの規定からシラーを作るのは難しく、ワイナリーを売却して米国に移ることになりました。パソ・ロブレスのウィロー・クリークに理想の土地を見つけ畑を作りました。2008年からはすべて自社畑でワインを作っています。
地所内に4つの丘があり、土壌や標高などさまざまなところがあります。さまざまなローヌ系品種をそこに植えています。特に石灰岩からの影響が大きいといいます。
試飲のワインは「Estate Cuvee 2017」。ここのフラッグシップのワインで、シラーとカベルネ・ソーヴィニョン、プティヴェルドをブレンドしています。この組み合わせのブレンドを「パソ・ロブレス・ブレンド」と呼ぶそうです。
リッチでタニック、パワフルなワイン。白コショウなどのスパイスの風味、カシスにオレンジの風味も感じます。むちゃくちゃ美味しいです。
後で調べたらパーカー96点、ジェブ・ダナックは98点という高得点を付けています。こりゃうまいわけです。
今回の5つのワイン。もちろん選りすぐりのワインを持ってきたというのもあると思いますが、芳醇で濃厚だけどややスマートさに欠けるような気がしていたパソ・ロブレスへの偏見を完全に打ち消してくれました。