シリコンヴァレー銀行によるワイン業界の分析レポートが1月に発行されました。昨年のシリコンヴァレー銀行破綻で、レポートの継続が懸念されていましたが、無事に発行されてよかったです。ただし、内容はバラ色とは言えず、米国のワイン業界の今後のかじ取りが難しくなってきていることを感じさせました。

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最初の図はワインの販売量の前年比推移です。2000年代前半は年間20%といった大きな伸びがあり、2010年代前半もまだ成長が続いていましたが、2019年にはゼロ成長に。2020年はコロナ禍で伸びがありましたが、2021年からは完全にマイナス成長になってきています。ワインの供給過剰は欧州などでも大きな問題になっていますが、米国も例外ではなく、今後はブドウ畑の面積を減らすことも必要ではないかと言われています。

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ワインの販売量が飽和する中、プレミアム化の動きが大きくなり、安ブランドを手放すワイナリーも増えました。上の図はプレミアム分野の成長を見たものです。高価格帯は景気の影響を大きく受けるため、いくつかの波がありますが、ワイン全体と比べると、成長の鈍化がゆっくりです。2021年はコロナ禍で娯楽が少ないことから高級ワインの消費が大きくなりましたが、それもつかの間で2023年は大きくマイナスになりました。これは他の娯楽にお金が回ったという事情もありますが、プレミアム分野もお花畑ではありません。

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このグラフは生産者が各項目について懸念する状況なのか楽観する状況なのかを回答したもの。基本的には前年と同じ傾向ですが、景気の先行きには不安を感じているワイナリーが多くあります。唯一プラスだったのはブドウの供給の分野でした。

最後に、世代別のアルコールに対する好みを見ていきましょう。特に若い世代がワインを飲まないことが、ワイン消費の伸び悩みに大きく影響していると言われています。

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上の図はパーティにいくときにどんなアルコールドリンクを持参するかというもの。65歳以上では過半数がワインを選んでいるのに対し、35から65歳ではほぼ3分の1でビールと競っています。これが21~34歳では16%と下から2番目になってしまっています。一番多いビールとは5ポイントの差があります。

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最後は世代別のワインやアルコールに対する向き合い方を示したものです。若い世代はアルコール自体を飲まないと言われていますが、このデータからすると意外にもそうでもなく、アルコールを全く飲まない、あるいはたまにしか飲まないという人は30代が一番低く、40代、50代、60代、70以上とだんだん増えていきます。20代はやや飲まない比率が高いですが、これはアルコール慣れしていないという見方もできそうです。この結果を見ると、ワインの伸び悩みは、アルコール離れではなく、他のアルコールドリンクに流れているのが最大の要因と言えそうです。ここを何とかしていくことが今後のワイン業界にとって大きな課題になるでしょう。