その1の続きです(その3もあります)。

畑では剪定についても話を伺いました。垣根栽培の畑ではギョイヨと呼ばれる剪定を基本的に採用しています。写真で示すとこんな感じです。
ギョイヨ

地面から腰の高さくらいまでの幹の部分はもちろん、毎年成長していきます。そこから垣のワイヤーに沿って横に伸ばすところは2年めの枝です。2年めの枝からは15cmおきくらいに、上に枝が出ています。これが今年の枝です。

ブドウの実は基本的に今年の枝にだけ付きます。それを1つの枝について1房だけ残すようにすると写真のように、2年めの枝の下くらいに実が横に並ぶわけです。実が枝の下に横並びで付くことにより、収穫が楽になったり、ブドウの実の風通しがよく、病気を防ぐなどのメリットがあります。

この畑だと樹が1m間隔で、そこに6~8房付ける形になります。ちなみにメルローの場合は1本からワインフルボトルが2本くらい、カベルネ・ソヴィニョンの場合は1.5本くらいできる計算になります。

冬になって枝を切る際に、今年の枝を1本残し、それを翌年横に伸ばす枝として使います。登美の丘では枝の過剰な生育を抑えることや作業性の向上などを考えてこの剪定方法を使っているそうです。

なお、ボルドーなどに比べて実の付く位置が高いのは、湿気から実を守るため、とのことでした。

メルローの実

メルローの実を味見しました。色も大きさもブルーベリーのようです。見た目は完熟っぽいですが、まだ甘味は生食用と同じくらいでした(収穫時には糖度20を超えますからかなり甘くなります)。

さて、畑の後は醸造設備の見学です。醸造設備は登美の丘の一番下にあるので、頂上近くの畑からはバスで数分かかります。

まずは記念館のようなところを見学。ビデオで歴史を学びました。下の写真は、ここの土壌を示したもの。水はけがいい土地になっています。
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今回、新しい設備がちょうど入ったところ。従来よりも細かい単位で仕込めたり、重力を活かしたブドウに優しい醸造ができるようになるとのことで、それによる品質の向上が期待できます。

見学した順序とは異なりますが、醸造時に使う順番で見て行きましょう。

まずはブドウの貯蔵庫。暑いときに収穫したブドウは一度ここで一晩くらい冷やします。熱いまま醸造工程に入ってしまうと発酵がコントロールできなくなるからです。
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これは、「キリン」と呼んでいる機械。次の除梗機までブドウを潰さずに持ち上げます。
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これが新しく導入した除梗用の機械。小布施のワイナリーにも同じものが入ったとか。ここで、茎などを取り除きます。
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除梗した実はここで選果して、悪いものを除きます。
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白ワインの場合はここで圧搾します。赤ワインは実のまま醸造用のタンクに。
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圧搾したジュースは扉の横のホースから重力を使って自然にタンクに流し込みます。
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醸造用タンク。新品です。まだ中は空。
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赤ワインは後でプレスします。
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樽の貯蔵庫。ひんやりして気持ちいいです。
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瓶詰めライン。
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コルクを打って、ラベルを貼るところ。
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続きます