ソノマの美味しいワインを日本に紹介したい――ソノマワイン商会 金丸緑郎社長
ソノマワイン商会は2011年に設立された、新しいインポーターです。社名にソノマと入っているように、ソノマのワインを輸入しています。
社長のとは金丸緑郎さんは自らを「マイクロインポーター」と卑下します。しかし、ソノマのワインで初めてロバート・パーカーが100点を付けたヴェリテ(Verite)を扱っていたり(現在はJALUXが輸入)、ドナム(Donum)やストーンストリート(Stonestreet)、ダットン・エステート(Dutton Estate)、ウォルター・ハンゼル(Walter Hansel)といった実力のあるワイナリのワインを輸入したりしているなど、ワインは侮れません。
参考:
The Donum Estate: カーネロスの注目株となったピノ専門の新進ワイナリ
Dutton Estate: Dutton Ranchの次男が作るワイン
Stonestreet Winery: 冬には雪が積もる山岳ワイナリ
Walter Hansel Winery & Vineyard: Russian River Valleyの良心
――ソノマにこだわっている理由は何ですか。
金丸:ソノマには8年くらい住んでいたのです。
この仕事を始める前はカルビーに勤めていました。企画開発の仕事でした。ポテトチップは元々ジャガイモと油と塩といった自然な原料だけを使っているのにジャンクフードだと思われています。そこでそのイメージを覆すようなスナック菓子を作りたいと考えていました。「未利用資源を丸ごと使う」という創業者の理念に共鳴して、新しいスナック菓子の開発にのめりこんでいたら、いつの間にかソノマにいたんです。
ソノマのセバストポールは、リンゴの名産地で果樹園がたくさんありました。そこにバキュードライという加工工場がありました。ところがチャイナショックでカリフォルニアのリンゴ産業は壊滅してしまったのです。そしてその工場の後に工場を作って、果物を丸ごと使ってしかもヘルシーというスナック菓子を、作っていたのです。
当時はワインのことはほとんど知りませんでした。出てくるワインがおいしいなというレベルでした。ただ、工場の周りはワイナリーだらけでした。隣りが、現在取り扱っているLa Follette(ラフォレ)の前身のTandem(タンデム)だったり、前がKosta Browne(コスタ・ブラウン)だったり、後ろがChassour(シャスール)だったり。気がつけばワイン業界のどまんなかにいたのです。
――工場はいつまでやっていたのですか。
金丸:リーマン・ショックの後、閉めることが決まってしまいました。最終的には2010年の末に工場を閉めました。その後、何をやるか考えていたのですが、せっかくソノマにいたのだから、ここのワインを日本で売ろうかと思いました。どうしてもセバストポールのあたりのワインが多くなります。
――最初に決まったワイナリーはどこでしたか。
金丸:今はうちの手を離れてしまいましたが、Hartford(ハートフォード)が最初でした。
――ワイナリーを選ぶ基準はありますか。
金丸:自分が美味しいとおもったワインだけを入れています。ある試飲会で、「あなたのところのワインは何か似たようなところがある」と言われました。どこがそうなのか分かりませんが、何かしら傾向があるのかもしれません。
――Verite(ヴェリテ)やStonestreet(ストーンストリート)などKendall-Jackson(ケンダル・ジャクソン)系のワイナリーがかなりありますね。
金丸:HartfordがKendall-Jackson系だったので、そのつながりからです。Stonestreetというワイナリーの名前は創業者のミドルネームから取ったものです。Kendall-Jacksonが本当に大事にしているワインなんです。高額なワインになりますが、今後も大事に扱っていきたいと思っています。
昨年はANAのファーストクラス用のワインにStonestreetのモニュメント・リッジと、La Follette(ラフォレ)のサンジャコモ・ピノ・ノワールと2つ選ばれたんですよ。2000種くらいのワインからブラインドで選ばれたものなので自信になりました。
VeriteはJaluxが扱い始めたので、高額なワインでもあるし、手を引いてもいいかなと思っています。VeriteがなくなってもVeriteのセカンドであるCenyth(セニス)というワインなどもあります。ここはVeriteのワインメーカーのお嬢さんがワインメーカーをやっています。
――思い出深いワイナリーはどこですか。
金丸:インポーターを始めると決めてから、Wine Institute日本代表の堀賢一さんに挨拶にいきました。輸入するワイナリーについてもアドバイスをもらったところ、Alexander Valley Vineyards(アレキサンダーバレーヴィンヤーズ)は良いのではないかと言われました。現在もこのワイナリーがうちの主力の1つになっています。
――Walter Hansel(ウォルター・ハンゼル)や、Donum(ドナム)といったワイナリーもあります。
金丸:Walter Hanselは、インポーターを始めてからお客さんに、「ここのは入らないの?」と聞かれて輸入するようになりました。Donumは、現地のショーで試飲しながらオーナーと話をしているときに、たまたま日本のショップからの電話で「Donumのワインが欲しいんだけど」と言われ、運命的なものを感じて輸入することになりました。
このほか、Carol Shelton(キャロル・シェルトン)はエレガントなジンファンデルを作っています。濃いジンファンデルとは一線を画していますが、熟成能力もあり、いいワインです。ここも主力の1つです。
――ご自身でよく飲むのはどれですか。
金丸:Alexander Valley Vineyardsで唯一エステートでないゲヴェルツトラミネールがあるんです。メンドシーノのブドウを使って、収穫した翌年1月にリリースする新酒感覚のワインです。疲れたときなんかは、このワインをよく飲みます。
――ワインのビジネスを始めて良かったと思うことは何ですか。
金丸:松戸のオフィスに小さなショップを併設しています。そこでワインを買ったお客さんが、次に来たときに「前買ったワインが本当に美味しかった」と言ってくれるとき、良かったなあと思います。
――これから追加したいワイナリーやワインはありますか。
金丸:スパークリングワインはラインナップに入れたいです。いいところがあったら教えて下さい(笑)。
関連サイト:
ソノマワイン商会
ソノマワイン商会のFacebookページ
ソノマワインショップ (オンラインショップ)
インタビューを終えて:
今回のインタビュー、気がついたら3時間を超えて話をしていました。後半はもっぱらソノマのワインをどのようにプロモートしていったらいいだろうか、といった話をしていたように思います。金丸さんは、商売人というよりもワイン好きの気のいいおじさん(失礼!)という雰囲気の人。ついつい話し込んでしまう雰囲気を持っています。私としても、ソノマのワインをもっと応援したいと思いました。
また、インタビュー時にグラスワインで、Alexander Valley Vineyardsのカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、シン・ジンをいただきました。どれも美味しかったのですが、中でもカベルネ・フランはエレガントながらパワーもあり、久々のフランのヒットでした。インタビューで使わせていただいた「あじる亭カリフォルニア」の料理も美味でした。
社長のとは金丸緑郎さんは自らを「マイクロインポーター」と卑下します。しかし、ソノマのワインで初めてロバート・パーカーが100点を付けたヴェリテ(Verite)を扱っていたり(現在はJALUXが輸入)、ドナム(Donum)やストーンストリート(Stonestreet)、ダットン・エステート(Dutton Estate)、ウォルター・ハンゼル(Walter Hansel)といった実力のあるワイナリのワインを輸入したりしているなど、ワインは侮れません。
参考:
The Donum Estate: カーネロスの注目株となったピノ専門の新進ワイナリ
Dutton Estate: Dutton Ranchの次男が作るワイン
Stonestreet Winery: 冬には雪が積もる山岳ワイナリ
Walter Hansel Winery & Vineyard: Russian River Valleyの良心
――ソノマにこだわっている理由は何ですか。
金丸:ソノマには8年くらい住んでいたのです。
この仕事を始める前はカルビーに勤めていました。企画開発の仕事でした。ポテトチップは元々ジャガイモと油と塩といった自然な原料だけを使っているのにジャンクフードだと思われています。そこでそのイメージを覆すようなスナック菓子を作りたいと考えていました。「未利用資源を丸ごと使う」という創業者の理念に共鳴して、新しいスナック菓子の開発にのめりこんでいたら、いつの間にかソノマにいたんです。
ソノマのセバストポールは、リンゴの名産地で果樹園がたくさんありました。そこにバキュードライという加工工場がありました。ところがチャイナショックでカリフォルニアのリンゴ産業は壊滅してしまったのです。そしてその工場の後に工場を作って、果物を丸ごと使ってしかもヘルシーというスナック菓子を、作っていたのです。
当時はワインのことはほとんど知りませんでした。出てくるワインがおいしいなというレベルでした。ただ、工場の周りはワイナリーだらけでした。隣りが、現在取り扱っているLa Follette(ラフォレ)の前身のTandem(タンデム)だったり、前がKosta Browne(コスタ・ブラウン)だったり、後ろがChassour(シャスール)だったり。気がつけばワイン業界のどまんなかにいたのです。
――工場はいつまでやっていたのですか。
金丸:リーマン・ショックの後、閉めることが決まってしまいました。最終的には2010年の末に工場を閉めました。その後、何をやるか考えていたのですが、せっかくソノマにいたのだから、ここのワインを日本で売ろうかと思いました。どうしてもセバストポールのあたりのワインが多くなります。
――最初に決まったワイナリーはどこでしたか。
金丸:今はうちの手を離れてしまいましたが、Hartford(ハートフォード)が最初でした。
――ワイナリーを選ぶ基準はありますか。
金丸:自分が美味しいとおもったワインだけを入れています。ある試飲会で、「あなたのところのワインは何か似たようなところがある」と言われました。どこがそうなのか分かりませんが、何かしら傾向があるのかもしれません。
――Verite(ヴェリテ)やStonestreet(ストーンストリート)などKendall-Jackson(ケンダル・ジャクソン)系のワイナリーがかなりありますね。
金丸:HartfordがKendall-Jackson系だったので、そのつながりからです。Stonestreetというワイナリーの名前は創業者のミドルネームから取ったものです。Kendall-Jacksonが本当に大事にしているワインなんです。高額なワインになりますが、今後も大事に扱っていきたいと思っています。
昨年はANAのファーストクラス用のワインにStonestreetのモニュメント・リッジと、La Follette(ラフォレ)のサンジャコモ・ピノ・ノワールと2つ選ばれたんですよ。2000種くらいのワインからブラインドで選ばれたものなので自信になりました。
VeriteはJaluxが扱い始めたので、高額なワインでもあるし、手を引いてもいいかなと思っています。VeriteがなくなってもVeriteのセカンドであるCenyth(セニス)というワインなどもあります。ここはVeriteのワインメーカーのお嬢さんがワインメーカーをやっています。
――思い出深いワイナリーはどこですか。
金丸:インポーターを始めると決めてから、Wine Institute日本代表の堀賢一さんに挨拶にいきました。輸入するワイナリーについてもアドバイスをもらったところ、Alexander Valley Vineyards(アレキサンダーバレーヴィンヤーズ)は良いのではないかと言われました。現在もこのワイナリーがうちの主力の1つになっています。
――Walter Hansel(ウォルター・ハンゼル)や、Donum(ドナム)といったワイナリーもあります。
金丸:Walter Hanselは、インポーターを始めてからお客さんに、「ここのは入らないの?」と聞かれて輸入するようになりました。Donumは、現地のショーで試飲しながらオーナーと話をしているときに、たまたま日本のショップからの電話で「Donumのワインが欲しいんだけど」と言われ、運命的なものを感じて輸入することになりました。
このほか、Carol Shelton(キャロル・シェルトン)はエレガントなジンファンデルを作っています。濃いジンファンデルとは一線を画していますが、熟成能力もあり、いいワインです。ここも主力の1つです。
――ご自身でよく飲むのはどれですか。
金丸:Alexander Valley Vineyardsで唯一エステートでないゲヴェルツトラミネールがあるんです。メンドシーノのブドウを使って、収穫した翌年1月にリリースする新酒感覚のワインです。疲れたときなんかは、このワインをよく飲みます。
――ワインのビジネスを始めて良かったと思うことは何ですか。
金丸:松戸のオフィスに小さなショップを併設しています。そこでワインを買ったお客さんが、次に来たときに「前買ったワインが本当に美味しかった」と言ってくれるとき、良かったなあと思います。
――これから追加したいワイナリーやワインはありますか。
金丸:スパークリングワインはラインナップに入れたいです。いいところがあったら教えて下さい(笑)。
関連サイト:
ソノマワイン商会
ソノマワイン商会のFacebookページ
ソノマワインショップ (オンラインショップ)
インタビューを終えて:
今回のインタビュー、気がついたら3時間を超えて話をしていました。後半はもっぱらソノマのワインをどのようにプロモートしていったらいいだろうか、といった話をしていたように思います。金丸さんは、商売人というよりもワイン好きの気のいいおじさん(失礼!)という雰囲気の人。ついつい話し込んでしまう雰囲気を持っています。私としても、ソノマのワインをもっと応援したいと思いました。
また、インタビュー時にグラスワインで、Alexander Valley Vineyardsのカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、シン・ジンをいただきました。どれも美味しかったのですが、中でもカベルネ・フランはエレガントながらパワーもあり、久々のフランのヒットでした。インタビューで使わせていただいた「あじる亭カリフォルニア」の料理も美味でした。