IPOB発案者の一人であるラジャ・パーはサンタ・バーバラでサンディ、ドメーヌ・ド・ラ・コートというワイナリーの共同オーナーです(写真上)。共同オーナーでありワインメーカーでもあるサシ・ムーアマン(写真下)と共に話を伺いました。サシ・ムーアマンは自身のプロジェクトであるピエドロサッシでもシラーを中心にワインを作っています。
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――IPOB最初の海外イベントとして日本を選んだ理由は何ですか。
ラジャ:日本人はすべてにおいて、バランスが取れています。食事は特にそうです。また、日本人は洗練されていますし、IPOBのようなフィロソフィーを理解してくれます。

――ドメーヌ・ド・ラ・コートとサンディについて説明してください。
サシ:サンタ・リタ・ヒルズでは246号線沿いとサンタ・イネズ川沿いに畑があります。我々はその中でもサンタ・イネズ川沿いの畑に興味を持っています。246号線沿いは砂地の土壌が中心になるのに対し、サンタ・イネズ川沿いでは粘土と海の堆積物が中心となります。また、川を挟んで北と南で斜面の向きなど、いろいろな違いが出るところも面白いです。

ドメーヌ・ド・ラ・コートの畑はその中でも最も海に近い西側の土地で、この地域では珍しい石灰質の土壌があります。

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――地図を見ると、川の南側に意外と多くの畑がありますね。北斜面になるので日照的には不利なような気がしますが。
サシ:そうですね。我々は川の南側の畑はシャルドネに適していると考えています。

――ドメーヌ・ド・ラ・コートの畑は海に近いので、風も相当きついと思います。畑の列は風が抜けるように東西(風は西側から吹く)方向に作るのですか。
サシ:いいえ、南北方向に作ります。一番海側の1列で風を受け止めるのです。したがって、その1列だけはブドウのできは悲惨なものになります。また、風からブドウの樹を守るために、1エーカーに4000本の密植をしています。

――ほかには何か特徴がありますか。
サシ:クローンですね。ドメーヌ・ド・ラ・コートの畑ではディジョン・クローンは使っていません。マウント・エデン、カレラ、スワンといったカリフォルニアで昔から使われているクローンを使っています。特に、ブルームス・フィールドという畑では、これら3つのクローンを1列ごとに植える形になっています。

――サンディではサンフォード&ベネディクトの畑のワインを作っています。他のワイナリーとの違いをどのように出していますか。
ラジャ:うちでは特に古い樹のブロックを使わせてもらっています。

――ピエドラサッシのシラーも美味しいですね。
サシ:ピエドラサッシでは、ワインのスタイルがビッグになりすぎないように、早い時期に収穫をします。また、アロヨ・グランデにあるリム・ロックという畑は非常に珍しい自根によるシラーが植わってます。樹齢も30年を超えています。

――IPOBが最初のイベントをサンフランシスコで開いてから4年経ちました。米国のワイン愛好者の好みは変わってきていると思いますか。
ラジャ:少しずつ変わってきています。特に、若い人はIPOBをよく受け入れています。古くからワインを飲んできた人の好みは正直に言ってなかなか変わりません。それでも若い世代に受け入れられているのはいい徴候だと思います。