ナパを代表する、というよりカリフォルニア最高の、あるいは世界でも最高の1つとなる畑がトカロン・ヴィンヤード(To-Kalon Vineyard)です。現在、その大部分を保持するコンステレーション・ブランズが「トカロン」ブランドのワインを作り始めます(With new To Kalon brand, Constellation revives legendary Napa wine dispute - San Francisco Chronicle)。

元記事はかなり長く、大半は以前「トカロン・ヴィンヤードの謎を解く【保存版】」で書いたことと重なっているので、その部分は省略します。
Napa Valley
写真:ナパのソーヴィニヨンブランの代表的な畑であるトカロンの「I-ブロック」

今年はトカロンにまつわることがいろいろと登場する年のようで、ほかにも「ベクストファー・トカロンの畑、植替えへ」、「特報:コンステレーションがシュレーダーを買収」といった記事を書いています。

で、これらを読むのがめんどくさい人のために、トカロンについて、箇条書きで簡単にまとめておきます。

・トカロンの畑の大部分はコンステレーションが持っているが、評論家の評価の高いワインの大半はベクストファーが保有する「ベクストファー・トカロン」の畑からのもの

・現在トカロンの名称を付けてワインを作っているのはコンステレーション傘下のロバート・モンダヴィと、ベクストファー・トカロンのブドウを使っているワイナリー
・トカロンの商標はコンステレーションが持っており、ベクストファーは裁判を経て和解して名前を使えるようになった
・実はオーパス・ワンもかなりの量トカロンのブドウを使っている
・ベクストファー・トカロンからのワインで一世を風靡したシュレーダーがコンステレーションに買収され、今後はコンステレーションのトカロンのブドウも使うのではと噂されている

想像ですが、コンステレーションには「うちがトカロンの商標を持っていて、畑も大半を所有しているのに、もてはやされるのはベクストファーからブドウ買っている連中ばかりでくやしい」といった思いがあるのではないでしょうか。

ベクストファー・トカロンで名を馳せ、いっときはトカロンの名称をめぐって提訴した相手でもあるシュレーダーを金銭的にはあまりメリットなさそうな高額で買収したのも、そのくやしさの現れのような気がします。

そして、コンステレーションとしてトカロンを最大限に活用するのが、「トカロン」ブランドのワインを作ることなのでしょう。

このワイナリー、現在のところ「トカロン・ワイン・カンパニー」および「トカロン・ヴィンヤード・カンパニー」という名称で商標申請されているとのこと。ただ、異議申し立ての期間が当初の7月期限から10月期限に伸びたので、暫定的に別の名前も考えているそうです。

ワインメーカーは著名なコンサルタントのアンディ・エリクソン。スクリーミング・イーグルのワインメーカーとして注目を浴び、現在は自身のファヴィア(Favia)のほかダッラ・ヴァッレ(Dalla Valle)やオーヴィッド(Ovid)などでワインを作っています。

詳しくは
ワインメーカーの系譜(8)――アンディ・エリクソン「ナパのわらしべ長者」

アンディ・エリクソンはコンステレーションから、「トカロンのどこのブドウを使ってもいい」というお墨付きをもらっているとのこと。

なお、最初のヴィンテージは2016年。2019年の発売が見込まれています。

どんなワインになるのか注目です。個人的にはトカロンのカベルネ・フランを作ってほしいです。