ポートフォリオの新ヴィンテージ2013を試飲
ロバート・モンダヴィの醸造責任者として知られているジェヌヴィエーヴ・ジャンセンスのプライベート・ブランド「ポートフォリオ」(Portfolio)を扱うミライズさんの試飲会に行ってきました。といってもワインはポートフォリオと、ソーヴィニヨン・ブランの「トカド」(Toquade)の2つだけです。
参考
ワインとの“出会い”を大事に――ミライズ 清家純社長
エレガンス系カベルネの究極? 「ポートフォリオ」にうなる(2012年の試飲です)
トカドは、クリスティーン・バーベ(Christine Barbe)さんが作るソーヴィニヨン・ブラン専業のワイナリー。クリスティーンは以前モンダヴィでジェネヴィエーヌさんの下で働いていたことがあり、その縁で紹介されたワインだとのことです。ナパのヨントヴィルで無灌漑のオーガニックの畑で栽培されているブドウを使っています。ステンレス・スティールのタンクで発酵。シュール・リーでそのまま半年澱の上で熟成してボトル詰めされています。今回試飲した2015年は収穫量が少なく、非常に収穫時期が早かったヴィンテージです。希望小売価格は4200円。
ライチや白桃などの甘いフルーツの香りがすばらしいワイン。酸味はソーヴィニヨン・ブランとしては比較的おだやかですが、次第にオレンジなどの柑橘の風味もでてきます。やわらかい味わいで、ワンランク上のソーヴィニヨン・ブランという感じです。高級ソーヴィニヨン・ブランとしては価格も安いと思います。
ポートフォリオの新ヴィンテージ2013年は、近年でも特に品質が高いと評判のヴィンテージです。畑はヘンドリーのブロック8のカベルネ・ソーヴィニヨンが83%とオークヴィルにあるデタート・イーストのカベルネ・フランが17%。きちんと確認していませんが、デタートの畑は元々のトカロンに含まれるところだと思います。ヘンドリーの畑はオークノール。ナパでもかなり古いカベルネ・ソーヴィニヨンが植わっている畑です。希望小売価格は3万5000円。
ブルーベリーやカシスの香り、鉛筆の芯のような香りもあります。口にふくむとブルーベリー、ブラックベリーなど青系の果実の風味が広がりますが、あとから甘草やなめし革のような味わいもやってきます。とても上品。ポートフォリオとしては凝縮感があるヴィンテージとのことですが、ナパのカベルネでよく見られる爆発的な濃厚さではなく、上品さの中での濃厚さになっています。
似た雰囲気のワインとしては、コルギンのIX(ナンバー・ナイン)エステートを思い起こします。コルギンはプリチャード・ヒルの丘、こちらはヴァレー・フロアと大分畑の場所は違いますが、イメージは共通します。なんてことを思っていたら前インテージのときも「カルト系のワインだと、コルギンが「女性的」とよく言われ、実際にそういう印象もありますが、コルギンの女性らしさは米国の女性に似たゴージャスさと明るさ。それに対してポートフォリオには日本女性のようなしなやかさと芯の強さがあるような気がします」と書いていました。
価格帯で言えばオーパス・ワンの現行ヴィンテージと同等か少し安いくらい。オーパス・ワンもナパのカベルネ・ソーヴィニヨン系としては比較的上品ですが、ポートフォリオよりは男性的なイメージがあります。生産量も輸入量も大きく違いますので、直接比べる意味はあまりありませんが、ポートフォリオの方がラベルも含めて芸術肌。ひと味違うものが好きな方への贈答などにもいいと思います。
まだ新ヴィンテージは入っていませんが…