ダックホーンのワインと食事とのマリアージュを探る(前編)の続きです。
ニール・ベルナルディ氏
4本目のワインはキャンバスバッグ(Canvasback)。ダックホーンがワシントン州に開いたワイナリーです。レッドマウンテンというAVAに18エーカーの畑をもっています。

ワシントン州というとカリフォルニアよりも大分北になるので涼しいイメージがありますが、実際には、ワインの産地はやや内陸よりになるので、カリフォルニアの沿岸地域よりも夏の気温は高く、良質のカベルネ・ソーヴィニヨンが作られています。
カシスの香り、ミント。かなり密度の濃いカベルネ・ソーヴィニヨンですが、酸とタンニンもしっかりしており、カリフォルニアのカベルネよりもクラシックな作りに感じます。

まずは、前のワインで合わせた豚のローストと合わせてみましたが、豚の脂がカベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンと中和して、とてもおいしい。

鴨のロースト
一方、このワイン用に出てきた料理は鴨のロースト。味わいにちょっと血のニュアンスがあり、カベルネ・ソーヴィニヨンのタンニンと喧嘩してしまうので、普通であればピノ・ノワールの方が合います。ここでは、そこに山椒と塩を少しつけて食べるとタンニンが気にならなくなります。これもなかなか優秀なテクニック。

5本目のワインはパラダックス。「ダックホーン/パラダックス・セミナー 赤ブレンド老舗の気概」で紹介したように、土着品種とカベルネ・ソーヴィニヨンなどをブレンドしたワインが特徴で、ジンファンデルとのブレンドを作っています。
ジンファンデルが入っている分、これまでのワインと比べて甘みが強く出ています。タンニンと酸もかなり強く主張するワイン。スパイシーさもあります。

料理はハンバーガー。ケチャップの甘みと酸味がワインに合わせるときにちょっと気になるところです。
ここではそこに黒胡椒やバルサミコクリームを加えることでの味わいの変化を見ました。

最後のワインは本家本元ダックホーンのメルロー2013です。カシスの風味、酸もタンニンも比較的しっかりとしたストラクチャーのあるメルロー。スリー・パームス・ヴィンヤードほどではないですが、おいしいです。

料理はここでもハンバーガーと合わせます。粒マスタードなどを加えることでより相性がよくなりました。


ブリッジ食材によってワインとのマッチングが変わる様子は面白く、ためになるセミナーでした。ただ、ワインの種類によって合うブリッジ食材も変わり、なかなか何が何に合うか覚えておくのは難しいかもとおもいました。

ダックホーンのワインは今回はどれもスタンダードなクラスのものですが、料理にも合わせやすい味わいでした。それぞれワイナリーごとの個性もあり、ワインの比較テイスティングという意味でも面白かったです。