リースのシャルドネ、ピノ・ノワール その魅力は?
リース(Rhys)セミナーの後編です。
前編は「カリピノを極めた? リース(Rhys)高品質の秘訣を探る」。
まずはシャルドネ2種類。2015年のアルパインとホースシューです。
ワインの造りについてサザーン氏から解説がありました。
この2つの畑のシャルドネは作りも畑の植え方もほとんど同じで、気温や天気もほとんど同じです。土壌の違いだけが味の違いになっています。オーナーのケヴィンさんは「グラスを覗くと畑が見える」といいます。
ワインの造りではシャルドネをホールクラスターで優しくプレスするのが特徴です。この段階で酸素と触れさせ1回酸化させてしまいます。その後の醸造過程では酸素に極力触れないようにすることで、醸造途中に酸化が起こることでの品質の低下を防いでいます。
樽は20%ほど新樽を使います。樽は特別なもので、ブルゴーニュのドメーヌ・ド・モンティーユとのつながりからダミー(Damy)というメーカーにリース専用に作ってもらっています。特別なオークを使い、木の乾燥期間を通常より50%長くしています。
発酵は樽を使います。温度を低く保ち、半年ほどもかけてゆっくりと発酵させます。1~2週間で発酵を終わらすワイナリーが多い中で、これはかなりの長さです。発酵が進まないということはその間、果汁の変質の危険や発酵が止まってしまう恐れもあるので通常はある程度温度を上げて、発酵を進ませるのです。
マロラクティック発酵も自然に行います。この間、バトナージュも行いません。
樽発酵と樽熟成の後、ステンレススティールのタンクに入れてさらに熟成させますが、そのときに澱も一緒に入れます。その間に澱も大部分がワインに溶け込んでしまいます。ここでは全く酸素に触れないようにすることが大事です。
ホースシューとアルパインを比べるとホースシューの方がややクリーミーでリッチな味わい。ただ、果実の繊細さや味わいの複雑さ、酸の伸びといった点ではアルパインに軍配が上がります。また、酸のきれいさや全体としてのピュアな味わいは特筆できるレベル。どちらも非常にレベルの高いシャルドネです。参考までにワイン・アドヴォケイトではアルパインが95+でホースシューが94。レビュアーは元デカンターのウィリアム・ケリーなので、リッチなホースシューより繊細なアルパインが高く評価されたのかもしれません。
ピノ・ノワールは小さなステンレススティールのタンクをいくつも使って発酵させます。一つのタンクにはブドウが1トンくらいしか入りません。ホールクラスター(除梗なしのブドウ)をどれだけ使うかは畑やヴィンテージによって違います。
発酵時に固まった果房をつぶすのは人間の足を使います。それが優しい抽出につながります。発酵が終わった後10~14日くらい放置し、それからフリーフローとバスケットプレスによる優しいプレスで絞ります。1トンのブドウから50リットルくらいしか取れないとのことで、非常に優しいプレスであることがわかります(通常は80リットルくらいとのこと)。
熟成用の樽はフランソワ・フレールです。4年間乾燥した木で作った特別なものです。樽で1年ほど熟成した後、タンクに移して半年ほど熟成し、もう一度樽で半年ほど熟成させます。SO2はボトリングの前に少しだけ加えます。新樽率も畑によって変えています。
ピノ・ノワールの試飲はベアワローの2015、ファミリー・ファームとホースシューの2013、アルパインの2015です。
ベアワローは10%くらいホールクラスターを使います。リースの中では比較的リッチなピノ・ノワールでタンニンも比較的強く感じます。シルキーなテクスチャと、きれいな赤い果実の味わいが美味しいです。
ファミリーファームは北向きの斜面で日当たりが比較的少ない畑えす。2013年は47%ホールクラスター。新樽率は30%。すっきりした香りとピュアな旨味があります。
ホースシューは香りはおだやかで、きれいな味わい。後からスパイスが出てきて、非常に複雑さも感じるようになります。2013年は32%ホールクラスターですが、2015年はゼロだったとのこと。新樽率は51%。カリフォルニアのピノ・ノワールとしてはこれだけ果実味に頼らない味わいは異例とも思いますが、非常にハイレベル。個人的には4つのピノ・ノワールのうちのベストです。
アルパインの2015年は10%ホールクラスターで新樽率50%。シャルドネはアルパインよりホースシューがリッチでしたが、ピノ・ノワールではアルパインの方がややリッチ。ヴィンテージの違いもあるのかもしれません。比較的カリピノらしい果実味の強さもあります。
サザーン氏によるとホースシューとアルパインは常に比較される間柄で、好みも分かれるとのこと。セミナー会場で今回のピノ・ノワールについてどちらが好きか聞いたときもほぼ半々で分かれました。
どのワインも非常にピュアな味わいで複雑さもかなりのレベル。熟成させる価値のあるワインだと思います。
前編は「カリピノを極めた? リース(Rhys)高品質の秘訣を探る」。
まずはシャルドネ2種類。2015年のアルパインとホースシューです。
ワインの造りについてサザーン氏から解説がありました。
この2つの畑のシャルドネは作りも畑の植え方もほとんど同じで、気温や天気もほとんど同じです。土壌の違いだけが味の違いになっています。オーナーのケヴィンさんは「グラスを覗くと畑が見える」といいます。
ワインの造りではシャルドネをホールクラスターで優しくプレスするのが特徴です。この段階で酸素と触れさせ1回酸化させてしまいます。その後の醸造過程では酸素に極力触れないようにすることで、醸造途中に酸化が起こることでの品質の低下を防いでいます。
樽は20%ほど新樽を使います。樽は特別なもので、ブルゴーニュのドメーヌ・ド・モンティーユとのつながりからダミー(Damy)というメーカーにリース専用に作ってもらっています。特別なオークを使い、木の乾燥期間を通常より50%長くしています。
発酵は樽を使います。温度を低く保ち、半年ほどもかけてゆっくりと発酵させます。1~2週間で発酵を終わらすワイナリーが多い中で、これはかなりの長さです。発酵が進まないということはその間、果汁の変質の危険や発酵が止まってしまう恐れもあるので通常はある程度温度を上げて、発酵を進ませるのです。
マロラクティック発酵も自然に行います。この間、バトナージュも行いません。
樽発酵と樽熟成の後、ステンレススティールのタンクに入れてさらに熟成させますが、そのときに澱も一緒に入れます。その間に澱も大部分がワインに溶け込んでしまいます。ここでは全く酸素に触れないようにすることが大事です。
ホースシューとアルパインを比べるとホースシューの方がややクリーミーでリッチな味わい。ただ、果実の繊細さや味わいの複雑さ、酸の伸びといった点ではアルパインに軍配が上がります。また、酸のきれいさや全体としてのピュアな味わいは特筆できるレベル。どちらも非常にレベルの高いシャルドネです。参考までにワイン・アドヴォケイトではアルパインが95+でホースシューが94。レビュアーは元デカンターのウィリアム・ケリーなので、リッチなホースシューより繊細なアルパインが高く評価されたのかもしれません。
ピノ・ノワールは小さなステンレススティールのタンクをいくつも使って発酵させます。一つのタンクにはブドウが1トンくらいしか入りません。ホールクラスター(除梗なしのブドウ)をどれだけ使うかは畑やヴィンテージによって違います。
発酵時に固まった果房をつぶすのは人間の足を使います。それが優しい抽出につながります。発酵が終わった後10~14日くらい放置し、それからフリーフローとバスケットプレスによる優しいプレスで絞ります。1トンのブドウから50リットルくらいしか取れないとのことで、非常に優しいプレスであることがわかります(通常は80リットルくらいとのこと)。
熟成用の樽はフランソワ・フレールです。4年間乾燥した木で作った特別なものです。樽で1年ほど熟成した後、タンクに移して半年ほど熟成し、もう一度樽で半年ほど熟成させます。SO2はボトリングの前に少しだけ加えます。新樽率も畑によって変えています。
ピノ・ノワールの試飲はベアワローの2015、ファミリー・ファームとホースシューの2013、アルパインの2015です。
ベアワローは10%くらいホールクラスターを使います。リースの中では比較的リッチなピノ・ノワールでタンニンも比較的強く感じます。シルキーなテクスチャと、きれいな赤い果実の味わいが美味しいです。
ファミリーファームは北向きの斜面で日当たりが比較的少ない畑えす。2013年は47%ホールクラスター。新樽率は30%。すっきりした香りとピュアな旨味があります。
ホースシューは香りはおだやかで、きれいな味わい。後からスパイスが出てきて、非常に複雑さも感じるようになります。2013年は32%ホールクラスターですが、2015年はゼロだったとのこと。新樽率は51%。カリフォルニアのピノ・ノワールとしてはこれだけ果実味に頼らない味わいは異例とも思いますが、非常にハイレベル。個人的には4つのピノ・ノワールのうちのベストです。
アルパインの2015年は10%ホールクラスターで新樽率50%。シャルドネはアルパインよりホースシューがリッチでしたが、ピノ・ノワールではアルパインの方がややリッチ。ヴィンテージの違いもあるのかもしれません。比較的カリピノらしい果実味の強さもあります。
サザーン氏によるとホースシューとアルパインは常に比較される間柄で、好みも分かれるとのこと。セミナー会場で今回のピノ・ノワールについてどちらが好きか聞いたときもほぼ半々で分かれました。
どのワインも非常にピュアな味わいで複雑さもかなりのレベル。熟成させる価値のあるワインだと思います。