昨晩は,2000年代を代表するNFLの2チームIndianapolis Colts対New England Patriots戦を観戦していました。Coltsにとっては今シーズンの全勝を続けられるかどうか,Patriotsにとってはプレーオフをホームゲームで開けるかどうかに大きく影響する大一番です。試合は前評判に違わぬハイレベルのものでした。

(以下ネタバレあり)


この試合のキーはなんといっても終了2分ちょっと前にNEが自陣29ヤードから4thダウン・ギャンブルをしたプレー。結果的にはこれが失敗し,逆転のタッチダウンを許すことになったのですが,このギャンブルの是非について考えてみました。

この時点で得点差は6。Coltsが勝つにはタッチダウンを取るしかない状況です。4thダウンでパントを蹴った場合,ColtsがTDを取るには60~70ヤード必要だったはずです。この距離と残り時間2分という条件でColtsがTDを取る確率を「p70」とします。これがパントを蹴ったときのColtsが勝つ確率になります。

一方,ギャンブルに成功すればNEの勝利は確定します。失敗した場合,29ヤードからColtsがTDを取ったら逆転です。この確率を「p29」とします。

NEがギャンブルに成功する確率を「pg」とすると,ギャンブルしたときにColtsが勝つ確率は(1-pg)×p29

したがって
p70 > (1-pg)×p29
の場合,ギャンブルする方がNEが勝つ確率が高くなります。今シーズン,この試合までのNEの4thダウン・コンバージョンは5/10。すなわちpg=0.5とみなせます。すると上の不等式は

p70 > 0.5×p29

つまり29ヤードからColtsがTDする可能性の半分より,70ヤードからTDする可能性が高ければ,ギャンブルは妥当であるという結論になります。

ちなみに,前々週の時点まででColtsのRedzone(20ヤード以内)でのTD率は56%。そこでp29=50%とみなすことにします。すると

p70 > 0.25

かどうかが最終的な問題として残されます。つまり70ヤードからの攻撃で4回に1回以上タッチダウンできるかどうかです。70ヤードからという条件を付けるのが面倒だったので,この試合までの全オフェンシブ・シリーズを見ると全部で83回。TDは25回しています。つまりオフェンス4回に1回以上はタッチダウンしているわけです。もちろん70ヤードというのはかなりの距離ですから確率はもっと低いでしょうけど,ベリチェックの判断は,案外確率的に妥当なところだったのではないかと思う次第です。