1966年のRobert Mondavi Winery設立に始まった世界に通用するワインを作ろうという動きは1970年代のブティック・ワイナリの繚乱、1976年パリ・テイスティングを経て、1980年代にいよいよ花を咲かせました。


前述のOpus Oneは1984年に最初のヴィンテージを発売。50ドルという価格は、当時最も高いものでしたが、あっという間に売り切れました。「ウルトラプレミアムワイン」という新しい領域のワインが誕生したのでした。これをきっかけに、前述のDominusなど、高価格帯のワインが続々と登場しました。


ナパでは1988年に「Wine Train(ワイン・トレイン)」の運行が始まりました。環境汚染を心配する地元の反対などから、難航したプロジェクトでしたが、ナパを南北に往復する列車は観光の一つの目玉になりました。

一方で、コンシューマーにもワインはだんだん根付いて行きました。1983 年にKendall-Jackson(ケンダル・ジャクソン)が発売したシャルドネはその端的な例です。1本2ドル前後の安いジャグワインと1本10 ドルを超えるような高いブティック・ワインの両極端だった時代に、このワインは5ドルという中間的な価格で提供。それでいてシャルドネを樽発酵させるという、高級ワインの作りを志向、さらに味わいは豊かな果実味とちょっとだけ甘さを残したものでした。


ナパ・ソノマ以外にもワイン作りは広がっていきました。Santa Cruz Mountains(サンタ・クルーズ・マウンテンズ)は既に1960年代からRidge(リッジ)などのワイナリがあり、1970年代にはMonterey(モントレー)近くに、Chalone(シャローン)やCalera(カレラ)ができました。さらに南のSanta Barbara(サンタ・バーバラ)ではSanford(サンフォード)が1970年代にオープン。日本でも人気があるAu Bon Climat(オー・ボン・クリマ)は1982年に始まっています。