2001年にインターネット・バブルが弾け、高額ワインを購入していたシリコンバレーの顧客が減ったことで、カルトワインのブームは収束しました。ただ、一回上がったワインの値段は簡単には下がらず、ナパを中心とするワイン業界は苦しいときを迎えます。中小のワイナリが大資本のアルコール飲料メーカーに買収されるといったことが頻繁に起こるようになりました。


それを象徴するのがRobert Mondaviです。バブル期に多くの投資や寄付をした付けが回り、経営が苦しくなってしまったのです。例えばナパに鳴り物入りで作ったCopia(コピア:The American Center for Wine, Food and the Arts)やUC Davisに多額の寄付をしていました。2004年、ついにコロナ・ビールなどを有する大資本のConstellation BrandsがOpus Oneを含むRobert Mondavi社を買い取りました。


さらに、Robertの長男Michaelと次男のTimとの間の不仲も表面化し、両者は別々の道を歩むことになりました。MichaelはMichael Mondavi Family Estate(マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステイト)というワイナリを興しており、TimはRobert夫妻や姉とContinuum(コンティニュアム)というワイナリを作っています。一方で、Robertは実弟Peterと仲違い以降初めて一緒にワインを作り、一応仲違いは終わりました。Robert Mondaviは2008年、91歳で亡くなり、ついに一時代が終わりました。


2000年代になってRobert Mondavi以外にもSanford(サンフォード)、Arrowood(アローウッド)、Gary Farrell(ゲイリー・ファレル)など創業者の名前が付いたワイナリが大資本に買われています。


2007年のリーマンショックは、不況に追い打ちをかけました。25ドルを越える価格のワインの売り上げが急減したのです。ワインの消費は減っていないものの高額なワインは売れない状況が続いています。