ピノ・ノワールでは、カレラ・クローン、ウェンテ・クローンなど出所名が付いたクローン*がしばしば使われますが、ジンファンデルではこれまでクローンについて取りざたされることはありませんでした。ジンファンデルの業界団体ZAPはしばらく前から「Heritage Vineyard Project」としてジンファンデルのクローンの研究をしていましたが、このほどそこから4つの銘醸畑からのクローンを開発、苗木として使えるようにしました(Zinfandel Advocates & Producers Announces Four New Named Zinfandel Selections from ZAP Heritage Vineyard Project)。

*クローンとは苗木の遺伝子系統のこと。ブドウは基本的に接ぎ木で増やすため、遺伝子が全く同じ木が多数使われることになる。

4つの畑はLytton(リットン)、Moore(ムーア)、Teldeschi(テルデスキ)、George Zeni(ジョージ・ゼニ)。リットンは言わずと知れたリッジの畑。19世紀に植えられたジンファンデルが主体です。ムーアはナパのクームズヴィルにある畑。オーナーのマイク・アンド・モリー・ヘンドリーと、依頼を受けてワインを作っているロバート・バイアルから単一畑のワインが出ています。

テルデスキはRavenswoodで知られる畑。Ravenswoodのジョエル・ピーターソンの息子、モーガン・トウェイン・ピーターソンのBedrockもLorenzo's Heritageとして、ここのワインを作っています。

ジョージ・ゼニはメンドシーノの畑で一番古い木は1880年代に植えられています。Edmeadsに長年ブドウを売ってきましたが、2009年に契約を打ち切り、新しいワイナリーへと移行する途中のようです。

さて、これらのクローンで作られるワインはいつごろ出てくるでしょうか。また、これらの畑は実際にはフィールドブレンドとして、複数の品種が混じっていますが、ジンファンデル単独でその味わいが出るでしょうか。

いろいろ疑問はありますが、今後の成果を見守りたいと思います。