Wine Spectator誌の年間2位を取ったこともある名門ワイナリViader(ヴィアデア、ヴィアディア)。実は9年前に倉庫が火事にあった後、ワイナリーを続けられるかどうかの瀬戸際まで追い詰められていたことが、わかりました。ニューヨーク・タイムズの記事で、当時のことをオーナーのデリア・ヴィアデアさんが語っています(After a Disaster, a Winery Starts Anew -- and Finds a Better Business Model - NYTimes.com)。

2005年10月12日、ナパにある倉庫が放火にあい、ヴィアデアはそこに保管していた2003ヴィンテージのワイン8万4000本をすべて失いました。売り上げにして450万ドル相当の損害でした。

その後の再建は綱渡りの連続でした。

実は、火事の知らせを聞いたのはナパのリゾートでプライベートなディナー中。たまたまSilicon Valley Bankの人がそこにいたため、とっさに100万ドルのつなぎ融資を依頼しました。保証人がいないとだめ、とのことでしたが、なんとか保証人も見つけて融資を受けられました。

しかし、問題はその後でした。火事の保険金がほとんど下りなかったのです。倉庫に預けたいたワインは「輸送中」とみなされ、保険の条件に輸送中のワインの保証は50万ドルまでとなっていたのです。ヴィアデアは裁判に訴えましたが、結局50万ドルも戻らないという結末でした。

トスカーナに買った畑を売却し、生産量も減らしました。流通業者を通さず、直接販売中心に切り替えました。こうして何とか乗り切ったのです。

ただ、悪いことばかりではありませんでした。息子と娘がワイナリーのビジネスを手伝うようになりました。直販を増やしたことによって、1本あたりの売り上げも大きく伸びました。現在では財政的な問題はなくなったといいます。

ヴィアデアさん、そんな苦労をされていたのですね。知りませんでした。