Vinepairというサイトに、オーガニックのワインについての記事が載っていました(Here’s Why Your Organic Wine Is Actually Really Bad For The Environment)。タイトルをそのまま訳せば「そのオーガニック・ワインが環境に悪い理由」といったところです。

健康に悪そうなものばかりを食べているという印象がある米国ですが、オーガニックな食品の市場は急激に伸びています。世界における2018年のオーガニック食品の市場は1615億ドルと2013年の倍に達する見込みですが、そのうちの4割を超える662億ドルが北米市場とみなされています。

ただ、この記事の筆者が調べたところによると、オーガニックが環境に良いとは限らないとのこと。オーガニックな農業では、化学合成された農薬の代わりに自然の物質を使いますが、自然の物質だからといって、体や環境にいいとは限らないわけです。例えば、じゃがいもの緑色になった部分に含まれるソラニンという物質は人体に害がありますし、ボルドー液という有機農業で使われる農薬には硫酸銅が含まれています。これを大量に撒くことによって「ブドウ畑散布者の肺」と言われる症状を引き起こすことがあるといいます。

化学合成された農薬については、副作用なども詳しく調べられており、使う容量などもきっちりと制限されていますが、有機のものについては、そこまで詳しく調べられておらず、無節操に使われているケースもあるようです。

では消費者としたらどうしたらいいのでしょうか。

この記事の筆者は、有機農業であるかどうかを問わず、小規模生産者のワインを買うことを薦めています。大規模になればなるほど、農薬を大量に撒く傾向があるからだそうです。小規模なところではそういった使い過ぎはほとんどないとのこと。

そういえば、以前あるワイナリーで「有機農業にしないのか」と聞いたところ、「有機にするとかえって環境にダメージを与えるからやらない」と言われたことがありました。今回のものに通じるのかもしれません。

話はちょっとずれますが、最近増えている大手メーカーの「酸化防止剤無添加」のワイン。これも「自然で体にいい」ものと受け取られがちですが、疑問を持っています。大手メーカーがどうやって酸化防止剤を入れずにワインを作っているのか分かりませんが、すくなくとも濾過によって微生物を取り除いているのは確実でしょう。そもそも、これらのワインはかなりの低価格で売られており、おそらく輸入した濃縮果汁を還元して作ったワインだと思います。酸化防止剤を付加する普通のワインとくらべても、工業的に作られたワインであることは否めないでしょう。

オーガニックにしろ、酸化防止剤無添加にしろ、あまりマーケティング的に使われているケースについては、あまり鵜呑みにしてはいけないような気がします。