ソノマのグレン・エレンにある家族経営の人気ワイナリー「ベンジガー・ファミリー」(Benziger Family)が、ワイン・グループ(The Wine Group)社に売却されました(Benziger Family Winery sold to Wine Group | The Press Democrat)。近隣にある同じ経営によるイマジリー(Imagery)も一緒に売却されています。売却価格は明らかになっていませんが、9000万~1億ドル程度であろうと言われています。

トラムによるツアー

ベンジガーは1980年に創設されたワイナリー。1990年代からビオディナミ(バイオダイナミック)に取り組んでおり、デメター社による認証も受けています。ワインの価格帯で言うと20~80ドル程度と比較的高価格帯のものが中心となっています。また、トラムに乗った畑のツアーが人気の観光客にも評判がいいワイナリーです。生産量は14万ケース弱。

それに対して、ワイン・グループはフランジアなど、低価格のワインを中心と
する巨大資本。年間6000万ケースを製造しています。

一見ミスマッチに見える両社ですが、ワイン・グループは近年収益性の高いプレミアム・ワインに力を入れるようになっており、2008年に立ち上げたカップケーキというブランドは年間300万ケースにまで成長しています。

今回の買収にあたっては、ビオディナミによるブドウ栽培を続けることと、従業員を解雇しないことを条件としています。ベンジガー家では、創設者のマイク・ベンジガーはこれを機に引退しますが、ワイナリーに残るメンバーもいます。

ソノマでは今年になってから、シドゥーリをケンダル・ジャクソンが、「J」をガロが買収と、いずれも家族経営のワイナリーが売却されています。シドゥーリの場合はマーケティングにかける手間を減らしたいというのが動機だったようですが、Jとベンジガーの場合は、世代交代期になってきたことが理由の一つではないかという気がしています。今後もこのような売却は増えるのかもしれません。