ブレタノマイセスは、酵母以外のワインの味わいに影響を与える微生物として有名です。馬小屋臭などと言われる獣っぽい香りをワインに付加してしまいます。一般にはワインの欠陥の1つと考えられていますが、ビールの中には積極的にブレタノマイセスを使うものもあり、必ずしもマイナスばかりではないと考えている人もいます。

そこで、2014 Digital Wine Communications Conferenceという会議において、出席者にブレタノマイセスに汚染されたワインとそうでないものを飲んで評価するという実験が行われました(The great Brettanomyces taste test | meininger.de)。

出席者はジャーナリストやブロガーなど、ワインについてはかなり詳しい人々。ワインはボルドー産のもので、3種類が供されました。1つはブレタノマイセスが含まれていないもの、1つは少し加えたもの、もう1つはさらに強く加えたもの。出席者にはブレタノマイセスについては告げず、3種類の別々のワインを試飲すると説明しています。

その結果、ブレタノマイセスがないものを一番好みとした人はわずか1/4未満。大多数は多く加えたものを一番好みだと評価しました。

また、ワインの味わいについてはブレタノマイセスが入っているものの方が「複雑」で「リッチ」だと評価する人が多く、一方で入っていないものは「テロワール」を感じないと評価されました。

いわゆる自然派ワインにはブレタノマイセスに汚染されたものが、かなりの頻度で含まれていますが、その人気はもしかしたらブレタノマイセスに誘導されたものなのかもしれません。

また、ナパのフリーマーク・アビーで長年ワインメーカーを務めるジェリー・ルーパーは、かつてナパのカベルネにわざとブレタノマイセスを加えることもあったといいます。味わいをよりボルドーに近づけるためだったそうです。

あなたはブレタノマイセス入りのワイン、賛成ですか、反対ですか?