朝ドラ「あさが来た」で、ついにディーン・フジオカさん演じる五代友厚さんが亡くなってしまいましたね。「五代ロス」を感じている方々もたくさんいらっしゃると思いますが、五代友厚さんが、カリフォルニアワインにも大きな貢献をしたことはご存知でしょうか。

カリフォルニアの「ブドウ王」を産んだのは「あさが来た」の五代さんだったというびっくりぽんな話、という記事で以前に書いたものですが、もう少し詳しく書いておきます。

ドラマで描かれるより前の、五代さんがまだ薩摩藩の地元、今の鹿児島にいたときの話です。

五代さんが向かったのは長崎。現在、グラバー園となっているところで、その邸宅の主であるトマス・グラバーに談判しにいったのです。その内容は薩摩藩の若者を英国に留学させたいというもの。そのための金策と、受け入れ先の依頼のためでした。

そして、グラバーの了承を受けて薩摩藩に上申書を提出し、15人の留学生(と4人の視察員)を送り出すことになったのでした。

その一人である磯長彦輔(彼の父は五代さんと長崎で共に航海術を学んだ仲でした)が、偽名(洋行は幕府の命に背くものだったので、万が一のときに藩に迷惑がかからないよう、それぞれ偽名を名乗っていました)として得た名前が長沢鼎(ながさわ・かなえ)。

そして、彼は英国を経て米国に渡り、さらには西海岸のソノマで「ブドウ王」と呼ばれるようにまでなったのでした。

以上の話は『長沢鼎 ブドウ王になったラスト・サムライ』という本に詳しく書かれています。五代さんのことをもっと知りたい方にはお薦めです。また、鹿児島には「薩摩藩英国留学生記念館」という建物があります。

長沢鼎の本に登場する五代友厚


また、長沢鼎が作ったワイナリー「ファウンテングローブ」は、今はもうありませんが、そのゆかりのワイナリーである「パラダイス・リッジ」は、長沢鼎の名前を付けたワインを作っています。ラベルには長沢の写真、裏には日本語で長沢について書かれています。

これを飲んで、約150年前に五代さんの力で英国に渡った若者たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。