カリフォルニアで一番古いブドウの樹はどこにあるのでしょうか。

カリフォルニアにブドウをもたらしたのは宣教師です。18世紀に南カリフォルニアに作られたSan Gabriel Missionに植えられたものがワイン用のブドウの種類であるヴィティス・ヴィニフェラ種としては一番古いと考えられます。ヴィーナ・マードレ(母なるブドウという意味でしょうか)と呼ばれるそのブドウの発見と再生を試みている人たちがいます(The oldest vine in California | Allison Levine | napavalleyregister.com)。

San Gabriel Missionで植えられたブドウの木については実は生きているのかどうかも判明していません。今回は、このブドウの樹から挿し木されたブドウが見つかったという話です。

このブドウの木は1800年代前半に植えられたと考えられます。「Avila Adobe」というロスアンゼルスで現存する最古の建物の中庭に植えられています。この建物は1818年に完成しており、ブドウの樹はその中庭の日除け用として植えられています。実際には2本の樹が50センチほど離れて植わっているのですが、実質的にはひとつの樹として見なされています。
Avila Adobe
古いミッションの中には今でもブドウが残っているところもあるようなのですが、調べた範囲では、このブドウが実を付け続けているものでは最古と見られています。

このブドウの樹を発見したのはマイケル・ホランドというロスアンゼルスの公文書保管人をしている人。彼は家でワインも作っているので、この樹のブドウを収穫して、アンジェリカという発酵を途中でより止めて糖分を残したワインを作って見たそうです。

彼はその後、以前会ったことがあったクロ・ぺぺのワインメーカー、ウェス・ヘイガンにコンタクトを取りました。

そして、ヘイガンと一緒に文書を調べたり、DNAの検査をUC Davisに依頼したりしました。その結果、このブドウがヴィーナ・マードレから挿し木されたものであろうということが分かったのです。

ヘイガンは2016年1月に、この樹の手入れを始めました。枯れた葉や枝を取り除いて元気なところを残すようにしています。昨年は10kg程度しか収穫がなかったものを、この建物の200周年にあたる2018年には500kg近くにまで増やしたいとしています。また、今は色も糖度も不十分なものが、しっかりと熟したブドウになると考えています。



非常に興味深い話です。歴史がないといわれるカリフォルニアのブドウですが200年というのは結構立派な歴史だと思います。これをきっかけにほかの古いブドウの樹の歴史も発掘されるといいですね。