IPOB活動終了についての質問回答第2段はヴァーナーのボブ・ヴァーナーとリオコのマット・リックライダーです。リオコはIPOBの中心的ワイナリーの1つであり、2014年にもラジャ・パーと来日してIPOBについてセミナーを開催していました。

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【ボブ・ヴァーナー編】
――IPOBは失敗だったと思いますか?
まったくそうは思わない。IPOBの様々なイベントを通じて、カリフォルニアのシャルドネとピノ・ノワールがカリフォルニアにおける畑を表現するように表現できるようになってきたことを伝えられた。2016年にはロンドンのイベントとProwein(デュッセルドルフで開かれたワイン業界イベント)にIPOBとして参加しましたが、どちらも非常によく受け入れられたし、来場した人の多くはカリフォルニアでバランスの取れたシャルドネやピノ・ノワールが作られていることを知らなかった。

――今がIPOBをやめるいいタイミングだと思いますか?
いつやめるかという問題については様々な要素が絡んでいると思う。自分としてはジャスミン・ハーシュとラジャ・パーの判断を尊重したい。彼等は今が別の方法で議論を続けるタイミングになったと考えたのだろうと思う。

――この5年間で「バランスがとれた」ワインを飲む人は増えましたか?
バランスが取れたワインを飲みたいと思う人が増えたのは間違いない。このトレンドはIPOBということではなくしばらく前からあったと思う。

――IPOBに参加した目的は何でしたか?
僕ら兄弟(ヴァーナーは双子の兄弟で運営)は、僕ら自身や僕らのワインを米国や世界中の人たちに紹介できると思って参加した。日本では多くのすばらしい人に会えて特に楽しかった。

――昨年の日本ツアーのあと、日本での認知は進みましたか?
日本でのイベントの後で特に変わったとは思わない。それ以前からバランスが取れたワインだと思われていたと思うからだ。ただ、多くの人達が我々のワインを知ってくれたとは思う。

――IPOBがなくなった後、バランスが取れたワインの啓蒙活動をどのようにしていくつもりですか。
僕らは今後も多くの人達が僕らのワインを味わう機会を持って行きたいと考えている。そして、僕らのワインが本当にバランスが取れていれば、そのメッセージはみなに伝わると思う。
ボブ・ヴァーナー

【マット・リックライダー編】
――IPOBは失敗だったと思いますか?
IPOBはまったくもって失敗ではない。東京、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドン、コペンハーゲンにいたるまで、世界中の最高のワインリストを見ればそれがわかる。IPOBのワイナリーが最高のリストにおけるカリフォルニアのシャルドネやピノ・ノワールで主流になっている。

――今がIPOBをやめるいいタイミングだと思いますか?
一番いいときにやめるというのは、信じられないほどのパワーが必要だ。エル・ブリやペイトン・マニング、レッド・ツェッペリンを見ればわかるだろう。

――この5年間で「バランスがとれた」ワインを飲む人は増えましたか?
もちろん。前述のように、世界の重要なワイン・マーケット、特にニューヨークの一番いいレストランのリストを見ればそれがよくわかる。5年前はニューヨークのレストランではそもそもカリフォルニアワインが置いてなかった。今ではIPOBのワインが置かれるようになっている。

――IPOBに参加した目的は何でしたか?
リオコは毎年参加してきたが、それは数の力を信じているからだ。リオコだけを東京の数人のバイヤーに見せるのと、同じ志を持つ20数個のワイナリーを数百人のバイヤーやジャーナリストに見せるのでは全く違う。そのミッションはカリフォルニアにおけるバランスが取れたワインについて議論を始めることであり、実際に多くのワイナリーがそれを既に達成できていることだ。今や世界がそれを知ったので、ミッションは達成したと言える。

――昨年の日本ツアーのあと、日本での認知は進みましたか?
はい。日本での販売は増えたし、リオコのワインが日本とカリフォルニアの間のANAのフライトすべてに乗っている。

――IPOBがなくなった後、バランスが取れたワインの啓蒙活動をどのようにしていくつもりですか。
今後もそれぞれソムリエやバイヤー、ジャーナリストに味わってもらう機会を作りたい。
マット・リックライダー