2016年6月、米インテグレーテッド・ビバレージ・グループ(IBG)は、カリフォルニアの人気ワインを模倣したブランド「レプリカ」(Replica)シリーズを発売しました。プリズナー(Prisoner)やメイオミ(Meiomi)、ケンダル・ジャクソンのヴィントナーズ・リザーブ・シャルドネといった、人気のあるワインと、似た味わいになるように作ったワインです。
レプリカ・ワイン
具体的には、味わいや香りを科学的に分析し、それと一致するように、ワインメーカーがさまざまなワインをブレンドして作るとのことです。同じような味わいで価格は25~50%安いことを売りにしています。

このレプリカが、本当に元のワインと似ているのか、人気ライターのW. ブレイク・グレイがブラインド・テイスティングしました(Do Replica Wines Taste Like The Prisoner and Kendall-Jackson?)。

取り上げたのはプリズナーを模したPickPocketと、ケンダル・ジャクソンのシャルドネを模したKnockoff。

試飲したのはグレイ氏と、友人のプロのフード・ライター。数多くのワインを飲んでいる人です。また、その人にはどのワインをブラインド・テイスティングするかは知らせていません。

ブラインド・テイスティングの方法は、グラスを4つ用意し、第3者(グレイ氏の奥さん)が、グラス2個ずつ、あるいはグラス3個と1個、という形で2種類のワインを入れます。試飲する人は、ペアになっているのか3つと1つなのかわかりません。

この形で、2種類のワインを分けられるかどうかが課題です。もし区別できないとしたら、うまく模倣していることになります。

結果はどうだったのでしょうか。

プリズナーとPickPocketでは、グレイ氏は区別できたものの、フード・ライターは区別できませんでした。グレイ氏の評価では、プリズナーの方が複雑で、甘みが少なく、テクスチャーも良かったとのことです。

ケンダル・ジャクソンのシャルドネとKnockoffでは、二人共ワインをちゃんと区別できました。ではKnockoffは失敗作なのかというと、二人共Knockoffの方を好んだとのことです。ケンダル・ジャクソンの方は化学的に作ったワインのような味わいがして、Knockoffの方がクリーンで果実味豊かだったとのこと。

というわけでレプリカ・ワイン、模倣がうまくいっているにしろ、いっていないにしろ、一定以上の品質のワインは作れているようです。

僕が気になるのは、今後もそのクオリティを維持できるかどうかです。おそらくいろいろなところからバルクワインを仕入れてブレンドしているのでしょうから、次のヴィンテージになると味が変わる可能性があると思います。同じ味わいをキープできれば、それなりに「本物」かもしれません。

なお、レプリカの他のラインアップを紹介しておきます。
Misbehaved――メイオミ・ピノ・ノワールの模倣
Just Right――ジョエル・ゴット815カベルネ・ソーヴィニヨンの模倣
Embellish――Erathオレゴン・ピノ・ノワールの模倣

今後登場予定のものは
Retrofit――ロンバウアー・カーネロス・シャルドネの模倣
Label Envy――ラ・クレマ・ソノマ・コースト・ピノ・ノワールの模倣
Scapegoat――サンタ・マルゲリータ・ピノ・グリージョの模倣