ヘレン・ターリー、エーレン・ジョーダンの後を継いでターリー・ワイン・セラーズ(Turley)の3代目ワインメーカーを務めるティーガン・パサラクア(Tegan Passalacqua)。ターリーのワインは、かつての濃厚なものからエレガントなスタイルへと完全に変身し、今なお高い評価を受け続けています。その立役者でもあるティーガンがロウダイ(Lodi)のジンファンデルについて語った長いインタビュー記事が公開されています(Lodi Winegrape Commission - Blog - Can Zinfandel be saved? Conversation with Turley)。

非常に興味深いインタビューなのですが、あまりにも長くてなかなか読みきれず、1月に公開されてから、今までかかってしまいました。

ティーガンは、ターリーのワインメーカーであるほか、ロウダイにカーシェンマン(Kirschenmann)というジンファンデルの古木の畑を持ち、またサンドランズ(Sandlands)という個人ブランドのワイナリーもやっています。サンドランズはロウダイにワイン造りの設備を今後持つ予定だといいます。

いろいろ興味深いインタビューですが、いくつかポイントを挙げると、まずターリーのスタイルが変わったことについて。これはワイン造りの方針が変わったというよりも、より生産者と密接にワイン造りをするようになったことが影響しているとのこと。ジンファンデルというのは意外に収穫のタイミングが難しいブドウで、6日間で糖度が9も上がってしまうことがあるとか。ジンファンデルの単一畑だけで26種も造っているターリーにとっては最適な収穫をするのが、かつては生産者任せのところがあったようです。それをより密接にやることによってスタイルが変わっていったとしています。

また、ターリーの中では比較的安価で、入手しやすいジュヴナイルについても語っています。

ターリーが扱う畑の多くは古木の畑ですが、やはりブドウが死んでしまう場合もあり、90年代なかばから植え替えを進めているそうです。多くの「Old Vine」を名乗るワインは、植え替えた新しいものも混ぜて造られているそうですが(Old Vineについてはワイナリーが自主的に名乗るもので、規定は全くありません)、ターリーの場合は収穫を分けて造っています。その若木のさまざまな畑のものをブレンドしているのがジュヴナイルということ。現在は樹齢が平均で18年に達しているというから、若木といっても、古木ではないというだけで十分熟成した樹になっています。ナパの樹の平均年齢がこれくらいだということですから、ナパであれば古木に近づいているとさえ言えるようです。

ちなみに100年くらいの畑だと2~4割ほども植え替えが必要だとのこと。

では、古木のワインがなぜおいしいかということですが、1つには古木は育ちすぎたり、ぶどうの実を付け過ぎたり、また逆に少なすぎたりといったことがあまりないとのころ。自然の調整能力を身に着けていることが味の安定にもつながっているようです。

通常、ワインを造るブドウは垣根をなすように列になるよう剪定されます。ワイヤーを張り、それに沿って枝を這わせるわけですが、ジンファンデルの古木の畑ではヘッドトレインといって1つ1つの樹が株をなすような形になっているのが一般的です。垣根造りの方が収穫量が増えるとか、日当たりがよくなるといったことはあるのですが、ヘッドトレインの方が自然でブドウのリズムに合っていると、しています。なので、ターリーでは植え替え時にもヘッドトレインを採用しているとのこと。
ヘッドトレインされた樹
自身のカーシェンマン(Kirschenmann)の畑については、まだ自らのブランドではワインを造っていないものの(ターリーとの競合になってしまうため)、オーナーのラリー・ターリーと話し合っているそうです。現在はこの畑のジンファンデルはターリーで造っているほか、モーガン・トゥエイン・ピーターソンのベッドロックで「シュミット・ロード」というワインに使われています。

この後者ですが、モーガンが所有しているKatushasという畑がカーシェンマンの隣にあり、どちらもシュミット・ロードに沿っていることから、この名前を付けているそうです。

この土地は、ロウダイの「Mokelumne River」というサブAVAにありますが、3方向が川になっている土地で、ピノ・ノワールかと思うほどデリケートなワインができるそうです。実はここにはカリフォルニアでは珍しい石灰岩の地層があり、それがワインのデリケートな味わいにつながっているとか。川が屈曲しているのもその地層を避けて通っているからのようです。
付近の地図
地図で見ると赤で示したあたりのようです。

というわけでごく一部を抜粋しただけでもそこそこの長さになってしまいましたが、興味深いインタビューなので、ジンファンデル・ラバーの方はがんばって読んでみてください。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ターリー ジンファンデル ジュヴナイル [2015]
価格:4752円(税込、送料別) (2018/2/12時点)