ちょっと古い記事ですが、ヴィナスのアントニオ・ガッローニがナパの2015年と2016年のヴィンテージについて語った記事があったので紹介します(Brilliance in Napa Valley: 2016 & 2015 Cabernets - Parts 1-3 (Jan 2018) | Vinous - Explore All Things Wine)。

2016年まで続いた旱魃でしたが、2015年と2016年は一見似ているようでかなり異なる生育シーズンとなったようです。どちらも収穫時期が早く始まり、スパークリング・ワイン用のブドウでは7月に収穫したところもありました。2年連続で収穫開始の記録となっています。

ただ、その後8月になると様相が変わります。2015年は収穫時期が前倒しになったまま、ずっと進んでいったのに対し、2016年は8月に一転、涼しい日が続いて収穫時期は平年並みに戻ってしまいました。

ブドウの出来で見ると、2015年は日焼けしたり、乾燥して縮んでしまった実が少なからずあり、選果が重要になったのに対し、2016年はそういった実がほとんどありませんでした。

その結果、2015年は全般で見れば、力強く芳醇なワインが多いですが、生育期間が短かったのか、乾燥によるストレスで熟成を止めてしまったのか、意外とミディアムボディのものが多いとのこと。

一方、2016年は2013年や2014年に似た素晴らしいヴィンテージとなっています。2013年からタンニンを柔らかくしたような、あるいは2014年により味の深みを与えたようなヴィンテージとのこと。この10年で見ると、2013年にわずかに劣るかどうかという良ヴィンテージだそうです。

また、ガッローニは2017年についても言及しています。2017年12月の時点では既にぱっと見では火事の影響はわからないレベルだったとのこと。ただ、表面的には復興しても、背後には家を失った人なども多く、人への影響は少なからず残っているそうです。

また、ワイン・インスティチュートのレポートでは収穫量は微減で済んだことになっていますが、ガッローニはやはり煙の影響を心配しています。醸造はしたものの、ボトル詰めはしなかったり、バルクワインとして売ってしまうところも少なからずありそうな気配です。数量はかなり減るだろうとガッローニは見ています。