Kurniawan Counterfeit--15.jpg
宅配便で送ったワインが破損して届かないということが、米国で頻発しています。実際にはただ破損しているのではなく、FedExやUPSといった宅配便業者が故意にワインを破損、しかも業者に頼んで叩き割っているのです(Carriers Trashing Wine Shipments | Wine News & Features)。しかも、補償は全くありません。割られたワインの中にはシャトー・マルゴーなどもあります。

ちょっと信じられないような話ですが、宅配便業者は何も悪いことをしているわけではありません。

ニューヨーク州は、州内のワインショップが州外の顧客にワインを発送したり、州外のワインショップから州内の顧客へワインを発送するのを禁じています。近年はワインの発送もだいぶ自由になってきたような印象がありますが、実際にはまだ州外から州内にワインの送付を許しているのは14州と1特別区しかありません。そして、ルールを破った場合の罰則の適用は年々厳格化していっているのです。

宅配便業者が、わざわざ廃棄業者にワインを叩き割ってもらうのは、ルールの厳格適用と、そのための見せしめといった要素があります。あえてひどいシーンを見せることでルールを破るのを防ごうというわけです。

ワイナリーから州外の顧客へのワインの発送の場合は、ワインショップからとは違う扱いになるので、現在はだいぶ自由化が進んでいますが、まだまだ米国のワイン流通には難しいところが残っているようです。