container ship leaving bay area
海外から日本へのワインの輸送が滞っており、ワインの輸入業者にとって頭の痛い問題になっています。ワインショップにとっても売りたいワインが届かなくて売れないし、ユーザーにとっても買いたいワインが売っていない残念な事態が生じています。例えば今年3月に発売されてコスト・パフォーマンスの高さで大きな話題になった「スラムダンク」は発売から数日で輸入業者完売になってしまい、入荷待ちが続いています。「セカンドのラベルと価格で中身は倍の価格のファースト」という「フープラ 2018」も同様にあっという間に完売で入荷待ちになりました。

ワインが届かないだけでなく、輸送コストもこれまでの2~3倍と大きく上がっています。港湾で船を待機している間の保管コストも余計にかかるため、ワインの価格にも影響してくる恐れがあります。

どうしてこんなことが起こっているのでしょうか。

ワインのほとんどは船で日本に運ばれます。ボージョレ・ヌーヴォーは解禁日に間に合わせるために空輸されますが、空輸のコストは船の20倍ほどもするため(米国西海岸からの場合)、普通は使われません。その船に乗せるコンテナが世界的に足りなくなっており、船便が目詰まりを起こしているのです。

コンテナが足りなくなったのは複数の原因がありますが、突き詰めていえばコロナのせいです。まず、コロナによるロックダウンによって港湾で働く労働者が足りなくなり、労働者への感染の広がりもあり、荷物の上げ下ろしができなくなりました。コロナ対策による様々な制限も作業が遅れる原因になっています。これらによって港湾の近くに荷物を積んだままの船が待機する状態が続きました。さらに、いち早くコロナからの立ち直りを見せている中国を中心にアジアでの物流が急増し、欧米にコンテナが回らない事態が起こっています。コンテナの多くは中国が所有しており、その意向に世界が左右されています。

ワインに直接関連するところでは、米国がバイデン政権に代わってトランプ政権が報復的に高くした関税が引き下げられたことにより、欧州から米国へのワインの輸送が急増しているというのも、日本向けのコンテナが足りない理由の一つとなっているようです。

欧州からの輸送もスエズ運河の座礁などで遅れがかなりありましたが、米国よりはまだましなようです。

米国ワインの関係者がやきもきする状況はまだ続きそうです。