米国のTTB(アルコール・タバコ税貿易管理局)が新しいAVA「West Sonoma Coast」を2022年5月22日に承認しました(TTB Approves California's Newest Sonoma AVA: The West Sonoma Coast)。ソノマでは19番目のサブAVAとなります。

ソノマの太平洋沿岸にはこれまでも「ソノマ・コースト」AVAがありましたが、このAVAはあまりにも広大で、AVAとしての意味が希薄ではないかと以前から考えられていました。実はAVA策定時に、大手ワイナリーのソノマ・カトラー(Sonoma Cutrer)が自社の畑の場所をほぼこのAVAに入れたため、非常に広大になったと言われています。太平洋沿岸だけでなく、南はサン・パブロ湾のほど近くまで、内陸ではロシアン・リバー・ヴァレーAVAのほとんどの部分を含んでいます。

そこで、太平洋沿岸だけの「True Sonoma Coast」のAVAを作ろうというグループができたのが2011年のことでした。ここにはフリーマンやリトライ、ファイラなどが参加していました。AVAの申請を出そうとしたものの、その地域が既存のグリーン・ヴァレーなどと重なっているところがあったため、「完全に包含するのはいいが部分的な重なりは認めない」というTTBの方針変更を受け、なかなか認可されませんでした。

そうしている間に、ソノマ・コーストの中でも太平洋からサンパブロ湾方面につながる谷間の地域は「ペタルマ・ギャップ(Petaluma Gap)」AVAとして2017年に認可されています。

こうして、残る大物AVAとして、今か今かと待ち望まれていたわけですが、トランプ政権時代はAVAの認可が非常に降りにくく(ペタルマ・ギャップは例外中の例外のような感じでした)、バイデン政権になってからはコロナ禍もあり、今まで延びていたのでした。


新しいAVAはソノマ・コーストに完全に含まれ、ロシアン・リバー・ヴァレーやペタルマ・ギャップと接する形になっています。フォートロス・シーヴューは完全に内包しています。

マーカッシンや、ウェイフェアラー、ボアズ・ビュー、フラワーズ、ペイなどの大物ワイナリーの畑も含まれており、あまり使われなかったフォートロス・シーヴューと異なり、今後は多くのワインのラベルに名前が登場することが予想されます。例えばフリーマンでは、「Yu-ki」の畑がウエスト・ソノマ・コーストに入るので、次のボトリングから「Yu-ki」のピノ・ノワールとスパークリングのラベルに使うと表明しています。

今年は3月に「San Luis Obispo Coast(SLOコースト)」AVAが認可され、これで二つの大物AVAが決まったことになります。