ナパのオーク・ノールにあるワイナリー「トレフェッセン(Trefethen)」のセカンドラベル、「エシュコル(Eshcol)」のワインを試飲しました。

トレフェッセンは1968年設立、1979年にはパリで行われた「ワイン・オリンピック」というイベントでシャルドネが世界一に選ばれています。世界一という点ではパリスの審判のシャトー・モンテレーナと較べてもすごいのですが、意外と知られていない歴史です。設立から今まで家族経営を続けています。

オーク・ノールのワイナリーの周囲に400エーカー、マヤカマス山地に40エーカーの自社畑を持っていて、サスティナブルで栽培しています。すべて自社畑のワインで、今回のエシュコルも自社畑を使っています。

ワインは2020年のシャルドネと2019年のレッド・ブレンド。

シャルドネはバランスの良さが際立ちます。先日紹介したテザーのような樽感やバターの風味はなく、白い花や柑橘、ミネラルなど高いトーンの味わいです。ちなみに発酵は樽17%。熟成はフレンチオークの樽ですが、新樽率は5%と隠し味程度です。セカンドラベルといえどナパのシャルドネの中でもバランスの良さでは上位に入りそうです。

レッド・ブレンドはカベルネ・ソーヴィニヨン50%、メルロー44%、プティ・ヴェルド3%、マルベック2%、カベルネ・フラン1%の構成。カシスやブラックベリーの黒系果実にレッド・チェリーの赤系果実の風味もあります。ややパワフルですが濃厚一辺倒ではなく、複雑味もかなりあります。これもセカンドラベルとしては非常に秀逸です。新樽率13%とシャルドネよりは少し高く、アメリカンオークも使っています。

トレフェッセン、ナパのワイナリーの中ではちょっと地味な存在かもしれません。評論家から100点やそれに近い評価を受けているわけでもないし、ワイナリーの場所もオークヴィルやラザフォードのような、輝かしい畑のひしめくところではありません。しかし、ワインは本当に真面目に作っていて、爆発的な味わいはなくてもしみじみ美味しいものばかりです。このエシュコルも先日のテザーと好対照で、テザーがナパらしい爆発感が売りなのに対してこちらはじっくり味わいたいワインです。

また、ナパのワイナリーの多くではセカンドラベル(セカンドティアといった方がいいかもしれません)には、他の栽培家から購入したブドウも使っています。例えばロバート・モンダヴィでは「オークヴィル」などAVA名の付いたものより上だけが自社畑100%で、カベルネ・ソーヴィニヨンなら1万円を超えてきます。エシュロンはシャルドネで4000円前後、レッド・ブレンドで5000円前後ですが、この価格帯で100%自社畑は非常にレアです。

個人的にも非常にいいワイナリーだと思っているし、応援したいところでもあります。ぜひみなさん買ってください。

トスカニーです。



Wassy'sです。