ちょっと前のこと、質問箱にこんな質問をいただきました。うーん、と考えた結果送った回答がこれ。
ニンニクのパンチがありますから、それを受け止める強さがあるワインが良さそうに思います。赤身ということでロンバウアーのシャルドネやモンダヴィのフュメ・ブラン・リザーブのような樽の効いたタイプの白が合いそうな気がします。赤ならばダックホーンのメルローとかでどうでしょうか。後はソノマ・コーストのちょっとダークなフルーツ感のあるピノ・ノワール、例えばハーシュあたりを試してみたい気もします(ちょっと冒険ですが)。
質問箱は匿名なのでどなたが質問されたのかはわからないのですが、Twitterで質問された方から「モンダヴィのフュメ・ブラン・リザーブを買ったので一緒に試してみませんか」とお誘いを受け、まだお会いしたことはない方でしたが、それまでも何回かやり取りはしていたので、一緒に食事にいったのでした。


肉だから赤と考えてしまうところですが、馬刺しは肉の味自体は割とさっぱりとしているので白の方が合わせやすいかと、そしてニンニクのパンチに樽の風味、と考えたのですが、実はそれ以上に個性的で風味が強いのが馬肉と一緒に仕入れているという熊本の醤油です。九州ならではの甘く少しねっとりとした醤油で、モンダヴィのフュメ・ブランとこの醤油が予想以上によく合い、刺し身の味も引き立てる効果がありました。2013年で少し熟成感が出ているのも良かったのかもしれません。

モンダヴィはワイナリーを作った60年代後半に、それまでカリフォルニアでは甘口のワインくらいしか作られていなかったソーヴィニヨン・ブランでシリアスなワインを作りたいと、樽を効かせて「フュメ・ブラン」(ピュイィ・フュメへのオマージュも含まれています)という名前を付けて売り出し、大ヒットになったのでした。

畑はト・カロン。カベルネ・ソーヴィニヨンならば1本200ドルはくだらないほどの高級ワインを作る畑ですが、ソーヴィニヨンは1945年に植えられた「iブロック」という有名な一角にあります。無灌漑で仕立て用のワイヤーを使わないヘッド・プルーンの仕立て。ブドウは生き延びるために深く根を張り、生産量も自然に生き残れるだけのバランスを取った形になります。


結局それ以外に、私が持っていったニュートンと、もう1本持ってきていただいていたKenzoのAsuka(カベルネ・フラン)も開け、料理もおいしく、話も楽しくちょっと飲みすぎて帰りました(無事に帰宅できましたが)。

お店はこちら。
フレンチ割烹 kamenote (カメノテ) - 八丁堀/フレンチ | 食べログ