今週、リトライ(Littorai)のテッド・レモンさんとランチをする機会がありました。もちろんリトライのワインは素晴らしかったし、一緒に食べた大手町「今よし」さんの寿司も美味しく、またワインにも合ったのですが、軽い気持ちで投げかけた質問の答えがあまりにも深くて、さすがテッド・レモンさんと思った話だけ、とりあえず書いてみます。

リトライのWebサイトを見ると「Generative Agriculture」というページがあります。「最近は『リジェネレーティブ』というのがちょっとバズワードになっているけど…」といったことが書いてあります。
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「リジェネレーティブ」については前に「有機栽培の最高峰認証、ナパのニール・ファミリーがナパで初の取得」という記事で取り上げています。土壌を改善して環境を修復するといった目的があり、地面を極力耕さないなどの特徴があります。また、従業員や動物の福祉といったところも審査対象になっているのも興味深いところです。要はサスティナブルのもう一歩先を行く概念という感じで使われています。

それで「ジェネレーティブとリジェネレーティブはどう違うのか?」と軽い気持ちで聞いたところ、「それは簡単ではないので後で答えよう」と後回しにされてしまいました。食事も終わりに近づいたところであらためて「さっきの質問に戻っていいでしょうか」と聞いたところ、「これはとても難しい質問だ」として、10分間くらいも、その心の説明をしてもらうことになったのでした。内容もとても深く、単なる農法というよりは哲学や生きることそのもののような話で、改めてビオディナミの実践で多くの人の模範になっていることを感じさせられました。

で、肝心の質問への答えの内容ですが、正直私の英語力では完全に理解できておりません。英語が分かってもその精神にまでたどり着くのは難しいとも思いました。

ポイントをいくつか挙げると
・リジェネレートという言葉が流行っているが、例えば1700年代の自然を再生できるのか。
・チャレンジが大きすぎて単純に過去に戻ることはできないし、戻れば十分というものではない。
・気候変動はそれ自体が「病気」なのではなく、病気から現れる「症状」である。
・ジェネレーティブ(生成)は、人間が自然との新しい関係を築いていくことにある。
・その中には例えば従業員をちゃんと面倒見るといったこともある(従業員は全員フルタイムで、保険も年金もちゃんとカバーして安全に暮らせるようにしている)
・畑で動物を飼うということもとても大事だ。動物を飼うというのは動物とリレーションシップを持つということ。動物を飼うようになって従業員全員の意識が変わった。
・おおよそこういうことがジェネレーティブ(生成的)なのだ。


と、かいつまむとこんなことだったと理解しております。
ひとしきり話をうかがったところで、ほかの参加者(大橋健一MWも隣の席にいらっしゃいました)と「深いねえ」「スイッチ入れちゃったねえ」と感想を述べあったのでした。
なかなか、普通のセミナーではこういうことまでは聞けないので、貴重な機会となりました。