ナパツアー2日目その2ーープリチャードヒルの本家に行く
この日も比較的ゆっくりしたスケジュールで、トルシャードの後はナパのホテルにチェックインし、1時間くらい自由時間がありました。その後はプリチャードヒル(Pritchard Hill)に向かいます。
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お約束のナパヴァレーサインにも立ち寄りました。
今回のツアーはナパが初めてという人も多いので、バスの中でもところどころで見どころや地域の解説をしながら進みます。マヤカマス山脈とヴァカ山脈とか、ここがオーパス・ワンだとか。自分で言いだしたのですが、ぼうっとする暇もなく、なかなか忙しいです。
バスは山道に入り到着したのはシャペレー(Chappellet)です。プリチャードヒルという名前の商標はシャペレーが持っており、他のワイナリーはラベルなどに使えません。この地域がAVAになっていない理由です。
ここではディナーをいただくのですが、シャペレー以外に5つのワイナリーからワインメーカーが来ます。
まずは畑の前で白ワインを飲みながらそれぞれのワインメーカーから話を聞きます。
シャペレーからは珍しいシュナン・ブラン。プリチャードヒルではここにしかないそうです。爽やかで美味しい。
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ここのシュナン・ブランはこのように両側の枝を平行に2つずつ伸ばした形でプルーニングされています。その話などを聞いていたらいつのまにかグラスを持っていかれてしまってほかのワインはほとんど飲めませんでした。申し訳ない。
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ディナーは屋内のセラーでいただきます。この建物、天井が高くかなりかっこいい。オーナーが考えたものだそうですが、「カテドラルみたい」と言われたこともあるそうです。
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ワインはトレフェッセン(Trefethen)のドラゴンズ・トゥース(Dragon's Tooth)2019からです。珍しいマルベックとプティ・ヴェルドのブレンド。どちらもかなり濃いワインになるブドウですが、マルベックはブルーベリー的なフレーバー、プティ・ヴェルドはしっかりしたタンニンによるストラクチャーが特徴的です。このワインはその2つの要素があり、産地であるオークノールの冷涼さからくると思われるしっかりとした酸があるので、ただ濃いだけでないバランスの取れたワインになっています。早い話が美味しいです。
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次はシレノス(Silenus)のメルロー。これが意外にヒットでした。赤果実を中心とした明るい味わいで前のドラゴンズ・トゥースとは対照的な軽さがあります。タンニンもありボディはしっかりしています。これもオークノールのブドウでありほどよい酸味が味を引き締めます。メルローの良さがあって適度にしっかりしたワインは意外と見つかりにくいのでこれは良かったです。
ちなみにシレノスからは日本人の赤星映司さんが参加していました。感想を伝えたらとても喜んでいただけました。
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3本目はシニョレッロ(Signorello)のPadroneカベルネ・ソーヴィニヨン 2007。シニョレッロは2017年の火事でワイナリーが焼失してしまうという大きな損害を受けました。この古いヴィンテージのワインは別の倉庫に保存してあったので難を逃れたものです。もう16年たっているワインですががっしりとしたタンニンがあり、とてもパワフルなワイン。果実味もブルーベリーやカシスなどかなり濃厚な味わいです。
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セコイア・グローヴ(Sequoia Grove)のCambiumレッドブレンド2016です。ほどよい酸味と豊穣さがあり、やや強めのタンニンがあります。これも美味しい。
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次はスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)のFAYカベルネ・ソーヴィニヨン 2019です。パリスの審判の1位になったワインを生んだSLV(Stag's Leap Vineyard)と並んだ位置にある銘醸畑です。もともと創設者のウォーレン・ウィニアルスキがFAYのワインを飲んで感銘を受けて隣の地所を買ったというのがきっかけになっています。その後FAYの畑の持ち主のネイサン・フェイが畑を売りに出して購入しました。
ハーブや腐葉土、マッシュルームなど果実以外の要素を強く感じます。さすがにきれいで美味しいカベルネです。
ワインメーカーにはSLVとの違いを聞いてみました。FAYとSLVはならんでいますが土壌は結構違うそうです。FAYの畑は畑の上にある巨大な崖から崩れたものが中心の土壌です。FAYとSLVの間には小川があるのでこれはSLVには行きません。その結果、FAYは表土が6~8フィートあるのに、SLVは1.5フィートくらいしかありません。灌漑もFAYは1年で4回くらいで済むのにSLVは8回は必要だそうです。
味わい的にはFAYがきめ細かいタンニンを持つのに対し、SLVはパワフルでスパイシーな風味になるそうです。
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最後はシャペレーのプリチャードヒル・カベルネ・ソーヴィニヨン2019。非常にパワフルなワイン。スパイシーでシルキー。果実味も強いですがそれ以上にストラクチャーを感じます。カベルネ系の中ではFAYとこれが双璧でした。
このワイン、これから海外のディストリビューションはボルドーのネゴシアン・システム「ラ・プラス・ド・ボルドー」を通すことになります(シャペレー、トップの2ワインを「ラ・プラス・ドゥ・ボルドー」で販売)。このシステムを使うことにはいろいろ是非もあります(ボルドーネゴシアン経由のワイン流通は成功の方程式か?)。そのあたりを率直に聞いてみました。
もちろん、これらの事象は分かった上でのアプローチです。メリットとデメリット両方ありますが、今のままでは輸出を増やすのが難しいため、デメリットを受け入れた上でメリットを訴求していく考えだとか。実際に輸出が始まるのはこれからなので、現在は様々な策を考えているところのようです。
このあたりは日本におけるワインの流通や価格にも大きく影響するので、これからも注目していきたいと思っています。
ともあれ、美味しいディナーとワイン。そしてワインメーカーたちとの話はとても楽しく、ためになりました。
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お約束のナパヴァレーサインにも立ち寄りました。
今回のツアーはナパが初めてという人も多いので、バスの中でもところどころで見どころや地域の解説をしながら進みます。マヤカマス山脈とヴァカ山脈とか、ここがオーパス・ワンだとか。自分で言いだしたのですが、ぼうっとする暇もなく、なかなか忙しいです。
バスは山道に入り到着したのはシャペレー(Chappellet)です。プリチャードヒルという名前の商標はシャペレーが持っており、他のワイナリーはラベルなどに使えません。この地域がAVAになっていない理由です。
ここではディナーをいただくのですが、シャペレー以外に5つのワイナリーからワインメーカーが来ます。
まずは畑の前で白ワインを飲みながらそれぞれのワインメーカーから話を聞きます。
シャペレーからは珍しいシュナン・ブラン。プリチャードヒルではここにしかないそうです。爽やかで美味しい。
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ここのシュナン・ブランはこのように両側の枝を平行に2つずつ伸ばした形でプルーニングされています。その話などを聞いていたらいつのまにかグラスを持っていかれてしまってほかのワインはほとんど飲めませんでした。申し訳ない。
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ディナーは屋内のセラーでいただきます。この建物、天井が高くかなりかっこいい。オーナーが考えたものだそうですが、「カテドラルみたい」と言われたこともあるそうです。
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ワインはトレフェッセン(Trefethen)のドラゴンズ・トゥース(Dragon's Tooth)2019からです。珍しいマルベックとプティ・ヴェルドのブレンド。どちらもかなり濃いワインになるブドウですが、マルベックはブルーベリー的なフレーバー、プティ・ヴェルドはしっかりしたタンニンによるストラクチャーが特徴的です。このワインはその2つの要素があり、産地であるオークノールの冷涼さからくると思われるしっかりとした酸があるので、ただ濃いだけでないバランスの取れたワインになっています。早い話が美味しいです。
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次はシレノス(Silenus)のメルロー。これが意外にヒットでした。赤果実を中心とした明るい味わいで前のドラゴンズ・トゥースとは対照的な軽さがあります。タンニンもありボディはしっかりしています。これもオークノールのブドウでありほどよい酸味が味を引き締めます。メルローの良さがあって適度にしっかりしたワインは意外と見つかりにくいのでこれは良かったです。
ちなみにシレノスからは日本人の赤星映司さんが参加していました。感想を伝えたらとても喜んでいただけました。
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3本目はシニョレッロ(Signorello)のPadroneカベルネ・ソーヴィニヨン 2007。シニョレッロは2017年の火事でワイナリーが焼失してしまうという大きな損害を受けました。この古いヴィンテージのワインは別の倉庫に保存してあったので難を逃れたものです。もう16年たっているワインですががっしりとしたタンニンがあり、とてもパワフルなワイン。果実味もブルーベリーやカシスなどかなり濃厚な味わいです。
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次はスタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(Stag's Leap Wine Cellars)のFAYカベルネ・ソーヴィニヨン 2019です。パリスの審判の1位になったワインを生んだSLV(Stag's Leap Vineyard)と並んだ位置にある銘醸畑です。もともと創設者のウォーレン・ウィニアルスキがFAYのワインを飲んで感銘を受けて隣の地所を買ったというのがきっかけになっています。その後FAYの畑の持ち主のネイサン・フェイが畑を売りに出して購入しました。
ハーブや腐葉土、マッシュルームなど果実以外の要素を強く感じます。さすがにきれいで美味しいカベルネです。
ワインメーカーにはSLVとの違いを聞いてみました。FAYとSLVはならんでいますが土壌は結構違うそうです。FAYの畑は畑の上にある巨大な崖から崩れたものが中心の土壌です。FAYとSLVの間には小川があるのでこれはSLVには行きません。その結果、FAYは表土が6~8フィートあるのに、SLVは1.5フィートくらいしかありません。灌漑もFAYは1年で4回くらいで済むのにSLVは8回は必要だそうです。
味わい的にはFAYがきめ細かいタンニンを持つのに対し、SLVはパワフルでスパイシーな風味になるそうです。
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最後はシャペレーのプリチャードヒル・カベルネ・ソーヴィニヨン2019。非常にパワフルなワイン。スパイシーでシルキー。果実味も強いですがそれ以上にストラクチャーを感じます。カベルネ系の中ではFAYとこれが双璧でした。
このワイン、これから海外のディストリビューションはボルドーのネゴシアン・システム「ラ・プラス・ド・ボルドー」を通すことになります(シャペレー、トップの2ワインを「ラ・プラス・ドゥ・ボルドー」で販売)。このシステムを使うことにはいろいろ是非もあります(ボルドーネゴシアン経由のワイン流通は成功の方程式か?)。そのあたりを率直に聞いてみました。
もちろん、これらの事象は分かった上でのアプローチです。メリットとデメリット両方ありますが、今のままでは輸出を増やすのが難しいため、デメリットを受け入れた上でメリットを訴求していく考えだとか。実際に輸出が始まるのはこれからなので、現在は様々な策を考えているところのようです。
このあたりは日本におけるワインの流通や価格にも大きく影響するので、これからも注目していきたいと思っています。
ともあれ、美味しいディナーとワイン。そしてワインメーカーたちとの話はとても楽しく、ためになりました。
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