エルンスト

ドイツ・モーゼルで200年以上の歴史を持つ名生産者「ドクター・ローゼン」。その現当主であり、デカンター誌のマン・オブ・ザ・イヤーにも選ばれたことがあるエルンスト・ローゼンがオレゴンのウィラメット・ヴァレーでワインを作っています。10年以上の歳月を経たそのワインがようやくリリースされました。

ワイナリーの名前はアパッショナータ(Appassionata=熱情)。ベートーベンのピアノ・ソナタから取ったタイトルです。

エルンスト・ローゼンはピノ・ノワールのファンでブルゴーニュにも地所を持っています。1999年にシャトー・サン・ミシェルと始めた「エロイカ・リースリング」のプロジェクトでしばしばワシントン州を訪れ、オレゴンにも立ち寄るようになったとのことです。そして2005年に「ジェイ・クリストファー」ワイナリーのオーナーのジェイ・ソマーズと共同で少量のピノ・ノワールを作り始めました。

その後、チェハレム・マウンテンズに畑を購入し、アパッショナータの畑としました(AVAはダンディー・ヒルズ)。2010年からワインを作り始めていますが、当初はソマーズが、エルンストの希望を汲んだ形で醸造を担当しました。ただ、エルンストはトップ・レベルのピノ・ノワールを造るとし、しかもそれを単一畑ではなくバレル・セレクションによるブレンドで造ると期待していました。ソマーズはその方針に反対し、2010年、2011年は単一畑でワインを作り、2012年からようやくエルンストの思う形でのブレンドになっていきました。

また、エルンストはワインを熟成して最高の状態で出荷すると考え、このほどようやく2012年のワインの出荷を始めたのです(同時に2017年、2019年もリリースしています)。2012年にはフォルティシモ、2017年はアンダンテ、2019年はアレグロと名付けられています。2012年は175ドルという価格が付いています。

また、エルンストはジェイ・クリストファーのオーナーにもなり、2019年にはジェイ・ソマーズと喧嘩別れしています。ソマーズは現在は「J.C.ソマーズ・ヴィントナー」というプロジェクトで一人でワインを造っており、彼の思う単一畑で小ロットのピノ・ノワールにこだわっています。

ワイン・サーチャーでW.ブレイク・グレイが書いた記事では3つのワインのテイスティング・ノートも書かれています。共通するのは3つともテクスチャーがよいということ。一方でやや複雑さに欠けるともしています。特に2012年のものについては「これは『Wow』とか「ホー」とか思うワインではなく「う~む」と思うようなワインだ」と、やや厳しい評価をしています。