ワシントン州のワイン業界団体「ワシントン・ワイングロワーズ」がブドウをカナダのブリティッシュ・コロンビアに輸出するためのガイドラインを作成しました。

ワシントン州と米国とカナダの国境を挟んでつながっているカナダのブリティッシュ・コロンビアでは今年、寒波によってブドウの樹の多くが死んでしまい、97~99%もの収穫減になると見込まれています。ブリティッシュ・コロンビアでは昨年も寒波によって大きな損害を受けており、多くのワイナリーが存続の危機に直面しています。

一方、ワシントン州ではブドウ余りが顕著です。2023年の収穫も摘まれないまま残ったブドウがあり、さらには最大手のシャトー・サン・ミシェルが2024年のブドウ受け入れを4割カットすると表明しており、栽培家の多くがブドウの引き抜きを強いられています。ブドウが足りないブリティッシュ・コロンビア、ブドウが余っているワシントン州でどちらにも渡りに船の話です。

ただ、簡単には行かない面もあります。カナダのワイナリーの規定で一定比率以上、地元のブドウを使っていないといけないというものがあります。またワインのラベルにどう書くかといった問題もあります。ブリティッシュ・コロンビアのワイナリーの中には同じカナダ内で東部のオンタリオの方から調達を図っているとこもあります。

規定を無視するわけにはいきませんが、このままだとブリティッシュ・コロンビアのワイン産業やそれにまつわる観光など、産業がなくなってしまう恐れさえでてきている状況であり、何らかの特例措置が図られるのではないかと思います。また、多くのブリティッシュ・コロンビアのワイナリーにとってはオンタリオよりもワシントンの方がずっと距離が近く、ブドウ品種の親和性なども高いため、そちらから調達する方が自然でしょう。

互いにいい結果につながってほしいと切に願います。
Kelowna
Kelownaエリアのブドウ畑by Mack Male