輸入再開のボニー・ドゥーン、自然派の先駆け
Wine to Styleの試飲会から輸入再開されたボニー・ドゥーン(Bonny Doon)のワインを紹介します。
ボニー・ドゥーンは1983年にランドール・グラームによってサンタ・クルーズに作られたワイナリー。当初はブルゴーニュ品種を作ろうとしていましたが、人と同じことをやっていてはつまらないと、ローヌ系品種の栽培を始めます。1986年に始めたGSM(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのブレンド)「ル・シガール・ヴォラン」がヒットし、カリフォルニアのローヌ系生産者の先駆けとなりました。1989年にはワイン・スペクテーターで「ローヌ・レンジャー」として紹介され、同名のワイナリーグループが作られるきっかけにもなりました。
この月光仮面のような扮装をした人がランドール・グラームです。彼のユニークな言動はワイン業界でも有名で、ワインも「その風変わりなラベル、風変わりなブドウの組み合わせ、ユーモラスな名前のワインで最もよく知られています」(Wikipediaの和訳)。ちなみに「ル・シガール・ヴォラン」というのは葉巻型のUFOのことで、シャトーヌフ・デュ・パプのある村が、UFOのぶどう畑への着陸を禁止する条例を決めたことを皮肉って付けた名前だといいます。
こんなことから「色物」的なワイナリーかと思ってしまうところですが、彼は実はカリフォルニアにおけるバイオダイナミック(ビオディナミ)の先駆けでもあります。2000年代初めには栽培に力を入れるために、生産量の多いブランドをいくつか売却してしまうということもありました。現在のボニー・ドゥーンのワインは契約栽培のブドウもあるため、すべてがバイオダイナミックで栽培されているわけではありませんが、今も継続してそちらへの以降を志しているようです。
ユニークな品種や風変りなラベルといった要素は、その後のニュー・カリフォルニアにもつながっていますし、昨今の「ナチュラル・ワイン」と同じようなことを20年前からやっているとも言えます。醸造も天然酵母を使い、SO2の添加もごくわずかですから、ナチュラル・ワインや自然派ワインと呼んでも一向に差し支えないのではないかと思います(前述のように、契約農家のブドウの栽培については不明ですが)。
なお、ランドール・グラームは2020年にボニー・ドゥーンを売却していますが、今もワイナリーの顔でありワインメーカーとして携わっています。ちなみに彼は「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト」といったこともやっています。このクラウドファンディングには私も出資したので、今も定期的にメールで状況報告が来ます。新しい品種を作るというところはだいぶシュリンクしているようですが、グルナッシュ系のものを「ポープルシューム」という畑で作っており、ワインも2年ほどまえから生産しています。
写真は右から「ヴァン・グリ・ド・シガール」「ル・シガール・オレンジ」「ル・シガール・ヴォラン」。
ヴァン・グリはロゼワインでサンソー50%、グルナッシュ43%、クレレット・ブランシュ5%、ムールヴェードル2%。さわやかな味わいでうまみもあります。
オレンジはオレンジワインで品種はグルナッシュ・ブラン44.5%、ピノ・グリ25%、グルナッシュ・グリ14%、オレンジ・マスカット9.5%、シュナン・ブラン7%。これむちゃくちゃうまいです。酸もしっかりあってうまみもすごい。ロゼもすごくいいのでどちらを選ぶか悩むところですが、個人的にはこちらのオレンジの方が好き。試飲会で数少ない「Very Good」を付けたワインです。
ル・シガール・ヴォランは現在はGSMではなく、ムールヴェードルの代わりにサンソーとプティ・シラーが入っています。やわらかくバランスのいい味。
このほかピクプール主体のワイン、「ル・シガール・ブラン」というヴェルメンティーノとグルナッシュ・ブランのブレンドもあります。
ル・シガール・ヴォランが希望小売価格3500円(税抜き)、あとは同2900円と価格的にもだいぶ求めやすいところ。特にオレンジとロゼはぜひ試してもらいたいワインです。
ボニー・ドゥーンは1983年にランドール・グラームによってサンタ・クルーズに作られたワイナリー。当初はブルゴーニュ品種を作ろうとしていましたが、人と同じことをやっていてはつまらないと、ローヌ系品種の栽培を始めます。1986年に始めたGSM(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルのブレンド)「ル・シガール・ヴォラン」がヒットし、カリフォルニアのローヌ系生産者の先駆けとなりました。1989年にはワイン・スペクテーターで「ローヌ・レンジャー」として紹介され、同名のワイナリーグループが作られるきっかけにもなりました。
この月光仮面のような扮装をした人がランドール・グラームです。彼のユニークな言動はワイン業界でも有名で、ワインも「その風変わりなラベル、風変わりなブドウの組み合わせ、ユーモラスな名前のワインで最もよく知られています」(Wikipediaの和訳)。ちなみに「ル・シガール・ヴォラン」というのは葉巻型のUFOのことで、シャトーヌフ・デュ・パプのある村が、UFOのぶどう畑への着陸を禁止する条例を決めたことを皮肉って付けた名前だといいます。
こんなことから「色物」的なワイナリーかと思ってしまうところですが、彼は実はカリフォルニアにおけるバイオダイナミック(ビオディナミ)の先駆けでもあります。2000年代初めには栽培に力を入れるために、生産量の多いブランドをいくつか売却してしまうということもありました。現在のボニー・ドゥーンのワインは契約栽培のブドウもあるため、すべてがバイオダイナミックで栽培されているわけではありませんが、今も継続してそちらへの以降を志しているようです。
ユニークな品種や風変りなラベルといった要素は、その後のニュー・カリフォルニアにもつながっていますし、昨今の「ナチュラル・ワイン」と同じようなことを20年前からやっているとも言えます。醸造も天然酵母を使い、SO2の添加もごくわずかですから、ナチュラル・ワインや自然派ワインと呼んでも一向に差し支えないのではないかと思います(前述のように、契約農家のブドウの栽培については不明ですが)。
なお、ランドール・グラームは2020年にボニー・ドゥーンを売却していますが、今もワイナリーの顔でありワインメーカーとして携わっています。ちなみに彼は「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト」といったこともやっています。このクラウドファンディングには私も出資したので、今も定期的にメールで状況報告が来ます。新しい品種を作るというところはだいぶシュリンクしているようですが、グルナッシュ系のものを「ポープルシューム」という畑で作っており、ワインも2年ほどまえから生産しています。
写真は右から「ヴァン・グリ・ド・シガール」「ル・シガール・オレンジ」「ル・シガール・ヴォラン」。
ヴァン・グリはロゼワインでサンソー50%、グルナッシュ43%、クレレット・ブランシュ5%、ムールヴェードル2%。さわやかな味わいでうまみもあります。
オレンジはオレンジワインで品種はグルナッシュ・ブラン44.5%、ピノ・グリ25%、グルナッシュ・グリ14%、オレンジ・マスカット9.5%、シュナン・ブラン7%。これむちゃくちゃうまいです。酸もしっかりあってうまみもすごい。ロゼもすごくいいのでどちらを選ぶか悩むところですが、個人的にはこちらのオレンジの方が好き。試飲会で数少ない「Very Good」を付けたワインです。
ル・シガール・ヴォランは現在はGSMではなく、ムールヴェードルの代わりにサンソーとプティ・シラーが入っています。やわらかくバランスのいい味。
このほかピクプール主体のワイン、「ル・シガール・ブラン」というヴェルメンティーノとグルナッシュ・ブランのブレンドもあります。
ル・シガール・ヴォランが希望小売価格3500円(税抜き)、あとは同2900円と価格的にもだいぶ求めやすいところ。特にオレンジとロゼはぜひ試してもらいたいワインです。