Bonny Doonに続いて、Wine to Styleの試飲会でお薦めのワインを紹介していきます。Wine to Styleはボランジェなどをかかえるnakatoとの合併でヨーロッパのワインも扱うようになり、試飲会は300を超えるアイテムが出てきます。試飲は入れ替え制で2時間の時間制限があり、時間的にも全部を試飲するのは不可能です。なので米国産ワインに絞って試飲していますが、それでも130を超える数がありました。

また、従来はニュー・カリフォルニアのコーナーなど、ある程度ジャンルに分かれておいてあったのですが、今回はおおむねアルファベット順に並んでいました。特定のジャンルのワインを試飲したい人にはわかりにくかったかもしれませんが、フラットにいろいろなワインが出てくるのは面白かったです。


クロ・ぺガスのミツコズ・ヴィンヤード メルロー2021です(5500円)。ミツコズ・ヴィンヤードはナパのカーネロスにある畑。冷涼地域のメルローは注目株です。冷涼メルローらしいきれいな味わいで秀逸です。


フェイラはナチュラル系の生産者といっていいでしょう。知名度はそれほど高くないかもしれませんが、非常に良質なワインをリーズナブルな価格で作っています。このソノマ・コースト ピノ・ノワール(6800円)もナチュラル感があっておいしいです。


フェイラのジンファンデル「Day」です(5300円)。「フェイラでジンファンデル?」って思うかもしれませんが、フェイラのエーレン・ジョーダンはジンファンデルで有名なターリー(Turley)のワインメーカーをしていた人なので、ジンファンデルの経験は誰よりも多いのです。ただ、フェイラのジンファンデルはターリーと比べてもずっとエレガント。複雑さもあり美味しいです。


「ベラ・ユニオン」(15500円)と「ファー・ニエンテ」(28000円)そして写真にはないですが「ポスト・ビーム」はいずれも同じグループのワイン。ラベルの雰囲気がよく似ています。ファー・ニエンテはフラッグシップ的位置づけで、リッチな味わい。リッチなだけでなくバランスもいいところを評価しました。「ベラ・ユニオン」は果実味豊かで華やかなカベルネ・ソーヴィニョン。価格はファー・ニエンテよりだいぶ安くコスパいいです。


ジラードのワインは果実味豊かで親しみやすい味わいが特徴。このソーヴィニョン・ブラン(3500円)も例外ではありません。リッチでクリーンな味わい。


グレース・ファミリーのラリークス(Reliquus)というワイン(30000円)。初めて見ました。グレース・ファミリーはクラシック系の味わいですが、こちらはリッチでモダンな味。


ガーギッチ・ヒルズのシャルドネ(9500円)は、個人的にはナパのシャルドネのベンチマーク的ワイン。ビオディナミでの栽培(2023年にはリジェネレーティブ・オーガニックの認証も)、MLFなしでクラシックなエレガント系シャルドネを作っています。いつ飲んでもはずれがないという点でもお薦めのシャルドネ。


右はハーンのピノグリ(2850円)。ピノグリはあまり飲みませんが、これは華やかで美味しい。左はピノ・ノワール。バランスよくやわらかい味わい。ピノとしては酸味も穏やかで、多くの人がイメージするカリフォルニアのピノ・ノワールに近いと思います。


ハンドレッド・エーカーのジェイソン・ウッドブリッジが作る、比較的リーズナブルな価格のブランドがフォーチュネート・サン。「ザ・ドリーマー」(33000円)と「ザ・ディプロマット」(33000円)の2種が試飲で出ていましたが、個人的な好みはザ・ディプロマットの方でした。カベルネ・ソーヴィニョンにメルローとプティ・シラーがブレンドされています。


アイ・ブランド&ファミリーの ペイサン オールド・ヴァイン カベルネ・ソーヴィニョン(4600円)。有機栽培されている樹齢45年と60年の畑のブドウを使っています。とてもやわらかく、優しい味わいのカベルネ・ソーヴィニョン。


兄弟ワイナリーのホナタ(Jonata)とヒルト(Hilt)から、ホナタのトドス(11000円)はシラー系のブレンド。リッチですがきれいな味わい。ローヌ系の味わいです。
ヒルトのベントロック・ヴィンヤード シャルドネ(20000円)はヒルトのワインの中でも上級のもの。非常にレベルの高いシャルドネ。酸のきれいさもひかります。


ホナタとヒルトのセカンドに相当するザ・ペアリング。シャルドネもピノ・ノワール(どちらも4500円)もバランスよくまとまった味わい。とてもよくできています。


古いファンならご存じかもしれませんが、サンタ・バーバラのワインの歴史に残る「Wine Cask」というワインショップ/レストランがあり、サンタ・バーバラのワイン情報の集積地にもなっていました。そのWine Caskを創設した人がダグ・マージェラムで、現在はWine Caskを売却してワイナリーに専念しています。ローヌ系の5種類の品種を使った赤ワインM5(左、4900円)が看板ワインで、右はその白ワイン版として新たに登場したM5ホワイト(4900円)。グルナッシュ・ブランなどのブレンドです。
ホワイトは柔らかな味わいできれいなワイン。M5も非常にきれいでうまみがある、しみわたるようなワインです。どちらも美味しい。


2024年、SNSで一番バズったワインとして知られているのがジョッシュ・セラーズ(Josh Cellars)。バズりはともかく、米国で大ヒットしているワインです。右のソーヴィニョン・ブラン(2600円)は果実味あふれる作り、中央のピノ・グリージョ(2600円)は華やかな香りと味。シャルドネ(2600円)はリッチな味わいで、それぞれ違う魅力をはなっています。個人的にはとくにピノ・グリージョが良かったです。


ジョッシュの「リザーブ・バタリー・シャルドネ」(3800円)はその名の通り、バター系のリッチな味わい。つまりはブレッド&バタータイプのシャルドネです。個人的には「バタリッチ」と呼んでいます。

このほか写真からは抜けていますが、ちょっと甘めですがスパイス感がいいピノ・ノワールや、689系のレッドブレンド「レガシー レッド・ブレンド」、濃い旨系の「リザーブ バーボン・バレル・エイジド カベルネ・ソーヴィニョン」など、濃い系のワイン好きにアピールするワインがたくさんあります。


ジョッシュの隣にエレガントなマサイアソンが並ぶというのも、ちょっとシュールで面白いです。右の「タンデュー レッド」(4500円)はマサイアソンの入門的ワイン。フレッシュな果実味が美味しいです。中央のナパヴァレー カベルネ・ソーヴィニョン(16000円)はクラシックな味わい。タンニンの強さもクラシカルな雰囲気を出しています。
左のマヤカマス(20000円)はクラシック系カベルネ・ソーヴィニョンの最高レベルといっていいでしょう。しっかりとしたタンニンがいわゆる「山カベ」らしさを出しており、うまみもあります。熟成させて飲みたいワイン。


ミウラのピノ・ノワールは、リッチでストラクチャーのあるタイプの代表格の一つ。エレガント系とは対極的な味わいですが、これはこれでうまいです。


ポップなラベルと親しみやすい価格で人気のスリー・ガールズ。右のソーヴィニョン・ブラン(2450円)はフレッシュな果実味でさわやか。とてもいいです。右のカベルネ・ソーヴィニョン(2450円)はメルローかと思うほどやわらかで上品な味わい。強いカベルネをk対すると肩透かしかもしれませんが、気軽に飲めて美味しいです。


中央のオークリッジ カベルネ・ソーヴィニョン(2550円)は果実味の豊かさに、複雑さもあるカベルネ。上のスリーガールズとは対照的な重厚タイプで美味しいカベルネです。


ポー(POE)のロゼ・スパークリング(6800円)。このワイン、初めて飲んだような気がしますが素晴らしい泡です。ピノムニエを使っています。ソノマ・マウンテンのVan der Kempの畑のブドウ。この畑のピノ・ノワールは以前HdVが作っていて神の雫にも登場しました。


こんなすごいワインを改めて紹介しなくてもいいのですが、中央のワイン、ピーター・マイケルのレ・パヴォというぼるぢー系のフラッグシップです(50000円)。バランスよく複雑でクラシカルな味わい、さすがのレベルの高さです。


右のラシーヌのピノ・ノワール(1万円)。ブルゴーニュのドメーヌ・ド・モンティーユがサンタ・バーバラで始めたワイナリーですが、このピノ・ノワールはカリフォルニアらしい果実味もあり酸もきれい。レベル高いです。
中央のサンディのセントラル・コースト シャルドネ(4900円)はちょっと好みが分かれそうなワイン。かなり酸が高く、酸好きには受けそうですが、ややエレガント系に寄りすぎな感もあります。
その左のサンディのサンタ・リタ・ヒルズのピノ・ノワール(7300円)は鰹節感のあるエレガント系ピノ・ノワール。多少好みが分かれるかもしれませんが、個人的にはシャルドネよりピノ・ノワールが好きです。


シュラムスバーグのスパークリングは何度となく飲んでいますが、あらためて美味しいです。ブラン・ド・ブラン(6300円)。自分のコメントでは「文句なくうまい」と書いています。


最近多くなったバーボン・バレル熟成のワイン。これはサバスチャーニの「レッド・ワイン バーボン・バレル」(3800円)。マルベック50%、メルロー22%などのブレンドです。濃くてリッチな味ですが、意外とバランスは悪くない。前述のジョッシュのバーボン・バレルに比べると、より幅広いユーザーに受けそうです。


1500円を切るリーズナブルな価格帯のワイン「スリー・ブロックス」のシャルドネとカベルネ・ソーヴィニョン。どちらも1350円でノン・ヴィンテージ。シャルドネはトロピカルなフルーツのフレーバー。カベルネは樽のしっかり効いた甘やかな味わい。


ターンブルのカベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー(11000円)。ナパらしい果実味豊かな味わいでバランスよく美味しいカベルネ。