カリフォルニアワイン界の奇人・変人を10人挙げるとしたら、間違いなく入るであろう一人がボニー・ドゥーンの創設者であるランドール・グラームでしょう。
randall grahm

ローヌ品種の先駆けであり、人を食ったようなユニークな言動で知られる彼ですが、ワインに対しては真摯であり、ビオディナミによる栽培にも早くから取り組んでいます。

彼が2015年から始めたのが、交配によって新しい品種を作り出すというプロジェクト(「1万種の品種を作るランドール・グラームの壮大なプロジェクト、クラウド・ファンディングで出資者募集中、あなたの名前がブドウに付けられる」)。

その後プロジェクトはこのための畑ポープルシュームの開発に比重が移っているようではありますが、今も新しい試みは続いています。

その一つがシラー(彼は古い名前のセリーヌで呼んでいます)による白ブドウ。シラーの親は黒ブドウと白ブドウであり、通常は黒ブドウの遺伝子が優性で、黒ブドウがなりますが、シラー同士を交配すると、約4分の1の確率で白ブドウができるというのです。そういったシラーによる白ブドウのクローン65種を作って1.75エーカーのブロックに植えています。順調であれば2025年に「セリーヌ・ブランシュ」の収穫ができる見込みだといいます。

このほか、ドラマ「フライデー・ナイト・ライツ」などを作った映画/ドラマ監督ジェフリー・ライナーがランドール・グラームのドキュメンタリーを撮影していることも明らかになりました。順調にいけばこちらも2025年に公開される見込みです。ランドールは自分の「スワン・ソングになるかも」と言っているので、もしかすると引退を考えているのかもしれません。

常に挑戦を続ける姿勢、見習いたいものです。