銘醸畑ヴァイン・ヒル・ランチの魅力
ナパのオークヴィルにあるヴァイン・ヒル・ランチ(Vine Hill Ranch)は、ナパヴァレーの中でも有数の銘醸畑であり、今でもブドウの多くを他のワイナリーに販売しています。一方で、自社のワインブランドVine Hill Ranchもトップクラスの評価を得るにいたっています。そのヴァイン・ヒル・ランチについての記事が出ていました(Meet the Napa Valley Vineyard That Grows Some of the Region’s Best Grapes)。
ヴァイン・ヒル・ランチの歴史は1859年にまでさかのぼりますが、現在の形を作ったのは1959年に買収したフィリップス家によるものです。畑の大部分はカベルネ・ソーヴィニヨンで、このほかプティ・ヴェルドが少量植えられています。
現在、ヴァイン・ヒル・ランチの単一畑のワインを造っているワイナリーとしてはTor、Memento Mori、Kindsman Eades、Arrow & Branch、Annulus、Bond(Vecina)があります。このほかにもColgin、Accendo Cellars、Lail Vineyards、Simon Familyなどにブドウを売っています。
上の地図に示したように、畑はオークヴィルの西側、マヤカマス山脈の麓の沖積扇状地にあります。フィリップス家の土地は600エーカーもありますが、うち72エーカーばブドウ畑になっています。畑を管理しているのはマイク・ウルフで、この65年間で2人目の畑の管理者となっています。72エーカーは、ナパの畑の中ではかなり広い方ですが、ブロックごとに植密度や剪定、クローン、ルートストックなどが異なるため、それぞれに合った管理が必要になっています。特定のスタイルのブドウを育てるというよりも、キャノピー内の均一性に気を配っているとのことです。
この畑のブドウを使うワインメーカーは、水はけの良さや適度の冷涼感といったテロワールに加え、畑の管理のすばらしさでここを選んでいます。Torのトール・ケンワード氏はこの土地で造られるワインは旧世界の性格が強いと考えています。「私はその非常に独特な性格が大好きです。それは、前世紀のナパヴァレーの最高のワインを思い出させます」とケンワード氏は言います。
ブドウの85%は外部に販売していますが、15%は自社のワイナリーで使っています。ワインの大部分はメーリング・リストで販売され、フレンチ・ランドリーなどナパの著名なレストランにも卸されています。
2021年からはセカンドワインの「Baker & Hamilton Cabernet Sauvignon」を作っています。ヴァイン・ヒル・ランチのワインが300ドルするのに対し、こちらは125ドルとだいぶ安くなっています。この名前は、現オーナーのおじいさんのおじいさんに当たる人が作った会社名に由来しています。