ニールセンIQが1月に発表したデータによると、2024年の米国のワイン市場は苦戦が続いています。

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赤ワイン、白ワイン、ロゼ、スパークリングのすべてのセグメントが前年比マイナス。比較的マシな白ワインが1.6%減でしが、あとは5%前後という大きなマイナスになっています。なおこのなかでイタリアのプロセッコだけは2.5%増と近年の好調が続いています。

ワイン関連の他のセグメントを含めた市場規模と前年比を示したのが次の図です。
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酒/梅酒が1.8%増というのも興味深いですが、それよりも3割近く伸びているセグメントが二つあるのが目立ちます。一つが一番下のノンアルコール・ワイン、もう一つが上から3番目のワイン・ベースRTDです。

RTDとはReady-to-Drinkの略で、缶入り飲料などそのまま飲めるタイプの飲料を示します。
The Wine-Based RTDs We Are Too Embarrassed to Talk About | Meininger's International」という記事によると、ワインベースのRTDは、BarefootやSutter Homeといった従来のワイナリーも出していますが、より伸びているのがイタリア発のStella Rosaというブランドだそうです。低アルコールで甘く、フルーツフレーバーというカクテル系のワインで、2023年には400万ケースを販売したとか。これはケンドール・ジャクソンなどの大手ワイナリーを上回っています。XXLというフレーバードワインも創設2年で350万ケースに達したとのこと。

これらのフレーバードワインは、従来のワインの文脈からは無視されていますが、このように実際には米国市場でかなりの存在感を示すようになっています。

一方で、日本でも「「酒離れ」でもワイン人気 缶のスパークリング、若者支持」という記事が日経に出ていましたが、缶入りスパークリングが10年で14倍の市場になったそうです。米国とタイプは違いますがこちらもRTD系であり、パッケージングのフォーマットなどが今後のワイン市場において、より重要になってくることがうかがえます。