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Date: 2010/1122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパの老舗ワイナリの一つであるCosentinoが経営破綻し,既に従業員は解雇,操業をストップしています(Wines & Vines - Wine Industry News Headlines - Cosentino Closes Last Two Wineries)。

近日,売り先を発表できるだろうとのことですが,噂ではWilliam Foleyが買うのではないかという話が出ているようです。Highway29沿いの好立地にあるワイナリですから買い手がつかないことはないと思うのですが…

ちなみにWilliam Foley氏は今年経営破綻したEOSも買い取っています。今そういう資金力と実行力を持っているのが彼くらいしかいないという背景もありそうです。
Date: 2010/1122 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ここしばらくお伝えしていたように,11/19は世界同時開催のジンファンデル・デーでした。私は予告通りClineのZinfandelを開けました。

Twitterを見る限り,かなりの書き込みが「#zinfandel」でされていたのでイベントとしてはそこそこ成功したのでしょうただ,残念ながら日本からの投稿は数えるほどしかありませんでした。不徳のいたすところであります。

ただ,いろいろな意味で問題点が浮かび上がってきた感じがしました。まずイベントそれ自体ですが,アナウンスされたのが11月5日。2週間というのはあまりにも短すぎます。例えばワインショップがそれようにワインを仕込むのだって時間がかかるし,ワイン会を開こうとするにもやや時間不足です。

また,イベントを「Global」とするのであれば,いくらなんでもボジョレー・ヌーボー解禁日の翌日というのはちょっとなーと思うところです。

次に,ジンファンデルを取り巻く状況です。今回イベント用にジンファンデルを買いに行って思ったのですが,ジンファンデルってちょっと買いにくい感じがします。一つは,ジンファンデルの特徴それ自体といってもいいのかもしれませんが,スタイルが多様すぎること。例えば,頂点(あるいはそれに近いワイン)がイメージしやすいシャルドネやカベルネ,ピノ・ノワールなどと比べて行き着く先がイメージしにくい感じがします。

ジンファンデルは2000円台,3000円台という比較的買いやすい価格帯にいろいろなワインがあり,それはいいことだと思うのですが,その先に目標とするところが見つけにくい。先日紹介したTurleyは目標の一つかもしれませんが,ちょっと独自すぎてほかのワイナリからの目標にはなりにくい感じがします。

Zinfandelを盛り立てていくには,もうちょっといろんなことが必要なのではないかと思う次第です。
Date: 2010/1119 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Spectator誌の年間トップ10が発表になっています。かつてはこれで上位に入るとショップから消えてしまうほどの影響力がありましたが,近年は何が上位だったのかさっぱり記憶に残らなくなってしまいました。それでも,この手のものの中ではやっぱり影響度の強い方なのでしょう。

以下がトップ10
1位:Saxum James Berry Vineyard Paso Robles 2007
2位:Two Hands Shiraz Barossa Valley Bella’s Garden 2008
3位:Peter Michael Chardonnay Sonoma County Ma Belle-Fille 2008
4位:Revana Cabernet Sauvignon St. Helena 2007
5位:Altamura Cabernet Sauvignon Napa Valley 2007
6位:Paul Hobbs Pinot Noir Russian River Valley 2008
7位:Schild Shiraz Barossa 2008
8位:Fontodi Colli della Toscana Centrale Flaccianello 2007
9位:CARM Douro Reserva 2007
10位:Clos des Papes Châteauneuf-du-Pape White 2009

1位はSaxumのJames Berry Vineyard Proprietary Red 2007。WS誌で98点,WAでは100点がついた高評価ワイン。WS誌のトップワインは入手しやすさも評価対象になるためあまり生産量が少ないものは選ばれない傾向があるのですが,これは1000ケースを切っています。

Saxumのワイン,一時期は5000円台から6000円台前半という安さで日本で売られていましたが,米国での人気が高いため,入荷量が減ってしまい,今ではほとんど見られなくなったのが残念です。僕も飲んだのは今回の2年前のヴィンテージのものだけですが,実においしいワインでした。2007年はさすがにありませんが,古いヴィンテージならまだいくつか見つかるようです。お金があったら買い占めたい。

3位はピーターマイケルのシャルドネ。マ・ベル・フィールの2008。これも別ヴィンテージなら日本でそれほど高くなく入手できます。

6位のポール・ホッブスも国内で6000円台で買えるワイン。このあたりの選択はWSらしいところです。

というわけで1位から6今でのうち5つがカリフォルニアというちょっとめずらしいでき。


Date: 2010/1113 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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先日紹介したRavenswoodや,大塚製薬のRidgeあたりが米国のZinfandelの地位を向上させた功労者ですが,Robert Parkerが高く評価するZinfandelと言えばTurleyにMartinelliがあります。どちらもビッグでアルコール度が高いだれもがパーカー的と思うようなワイン。年中飲みたいと思うワインではありませんが,たまに飲む分には分かりやすいはっきりとしたおいしさで,これはこれでまたよいかなと思います。そういえば某氏は昔,Turleyは名古屋の「味噌煮込みうどんに合う」と言っていました。

MartinelliのGiuseppe & Luisaは高評価の割には国内の価格が安く,狙い目ではあるのですが,入荷量も少なく,いつでも入手できるワインではありません。Turleyもそうそうに売り切れることが多いですが,入荷量も結構あるようで,探せばそこそこ見つかります。ここはZinfandelだけでも30種以上作っているので,名前を覚えるのが困難ですが,比較的入手しやすく,味もそこそこなのがOld VinesやJuvenileという畑の名前が付いていないもの。大体5000円前後。

単一畑ではDogtownやDuarte,Rattlesnakeなどが比較的低価格。ただし評価もそこそこ。価格は1万円以下。

評価が高くて価格も高いのがHayne,Black Searsなど。1万5000円前後になります。

Turleyの世界を味わうには安い価格帯のものでいいと思いますが,Hayneも一度は飲んでみたいものです。

以下のリストではセダーマンは新しく使い始めた畑で,割とコスト・パフォーマンスは高そうです。Dusiの2006は米国で100ドル以上しますから,お買い得度は高いです。

Date: 2010/1111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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ナパを舞台にした「Vines」というソープ・オペラ(軽いドラマ)の企画があり,ホラー映画「リング」の監督である中田秀夫氏やプロデューサーの一瀬隆重氏が絡んでいるようです(NBC develops supernatural soap opera for Napa)。

このドラマはナパに移住してきた家族が古いぶどうの樹にかけられた危険な魔力に巻き込まれるといったストーリーだとか。

ナパでは1980年代に「Falcon Crest」というテレビドラマの撮影がありましたが,その再来を期待する向きもあるとのこと。
Date: 2010/1111 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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昨日の記事でも書いたように,2011年のカリフォルニアワイン名誉の殿堂入りをする5人が決まりました(Welcome the Vintners Hall of Fame 2011 class - Jon Bonn�)。

うち二人は現役のワインメーカーで,一人は昨日紹介したJoel Peterson。Ravenswoodの創始者であり,単一畑のジンファンデルのパイオニアでもあります。Zinfandelの有名なプロデューサとして4Rとか5RといったRで始まるワイナリのリストがしばしば登場しますが,そこにかならず取り上げられる名前でもあります。

もう一人はSutter HomeとTrincheroのオーナーであるBob Trinchero。Sutter HomeはWhite Zinfandelの創始者であり,奇しくも今回はジンファンデル・イヤーという感じです。

3人目は学術分野でUC Davisの教授であるVernon Singleton氏。バレル・エイジングやタンニンの研究で知られている人だそうです。

残りの二人は「パイオニア」部門で10年以上前になくなっている二人が選ばれました。一人はChaloneのRichard Graff,もう一人はSebastianiのAugust Sebastiani。

授与式は来年2月21日,ナパのCIA at Greystoneで行われます。
Date: 2010/1104 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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Wine Enthusiast誌が2010年のトップ100を発表しました。PDFでダウンロードできます。

5位はいずこに?

写真はトップ100の最初のページなのですが,何かおかしくないですか?

そうです。「5位」がありません。ほかのページに載っているのかと調べてもありません…

結果そのものより幻の5位が気になる今日この頃です。
Date: 2010/1102 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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SFクロニクルのサイトに昨日書いたばかりのContinuumについて詳しい記事が出ていました(Continuum Estate the latest Mondavi family twist)。

これによると2005年,2006年のワインで使っていたブドウの出所はTo-Kalon Vineyardだそうです。今までOakvilleのどこかとしかしていなかったのではないかと思います。MondaviのConstellation買収の契約の一部(おそらく口約束のようなもの)で,To-KalonのブドウをTimが使えるということになっていたようです。ただ,Constellation側としてはそれをあまり続けたくないことが次第に明らかになり,新しいブドウのソースが必要だったというのがプリチャードヒルに畑を買った理由だったようです。

現行リリースの2007年はプリチャードヒルのブドウを使った最初の年でもありますが,その比率はまだ15%。メインはTo-Kalonです。これが2008年には自社畑が70%,2009年に90%になるとのこと。

また,Continuumのワイン作りの一つの目標が近隣にあるDalla ValleのMayaというのも初耳でした。カベルネ・フランを20%以上入れているというのが,その現れだとか。

Continuumに興味がある人は必読の記事です。

Date: 2010/1101 Category: 業界ニュース
Posted by: Andy
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カルト・ワインがブームになってから早10年。今さらカルトなんていうと笑われそうな気もするのですが,それでも毎年のように「次のカルト」といった記事が出てくるのはそれだけこの言葉に分かりやすい魅力があったからなのでしょうね。というわけで,今回はGary Vaynerchukが運営するCork'dのシニア・エディタが書いた記事です(3 wineries with the potential for cult status)。

取り上げられているのはBedrock WineContinuumEvening Land Vineyards

おそらくこの中で知名度が一番高いのはContinuumでしょう。故Robert Mondaviの次男のTim Mondaviのワイナリで,未亡人のMargritやTimの姉も参加しています。2007年に買い取ったプリチャードヒルの畑はRobertも見に行ったことがあるとのことで,Mondavi直系のワイナリと言えます。作っているのはボルドー系のブレンド一つだけ。評論家の評価も高く,日本でも現在はOpus Oneよりもやや高い価格ながら,すぐに売り切れるワインの一つとなっているようで,カルトという言葉が適切かどうかは別として,現在のところ順調に進んでいる感じがします。



後の二つのうちBedrockはRavenswoodのJoel Petersonの息子であるMorgan Twain-Petersonのワイナリ。この人はすごい人で5歳のときには既に香りだけでピノとメルローを区別することができ,さらにはピノ・ノワールのワインを作り始めたそうです。

It Takes a Village to raise a Winemakerというブログの記事によると,この年,彼はGevrey-Chambertinのワインの香りに魅せられ,父親にピノを作りたいと頼んだのだそうです。父Joelは,ピノは努力に見合わないからと,それを拒否。そこで彼はSangiacomo VineyardのAngelo Sangiacomoのところに,母親がイタリア旅行で集めた数千リラを持っていき,結局タダで500kgのピノをもらったそうです。しかもそれは1986年から2001年まで続き,「Vino Bambino」という名前でいくつかのレストランに入っているそうです。

既にMaster of Wineの試験にも受かり,論文を執筆中だという彼のワイナリBedrockはピノも作るもののメインはシラー。これは確かに気になりますね。

三つめのワイナリEvening Landはブルゴーニュの「コント・ラフォン」のDominique Lafonが出資しているオレゴンのワイナリでピノとシャルドネを作っています。Wine & Spirits誌は2009年のWinery of the Yearに選んでいるとのこと。

ここも全然知らなかったのでへーと思って読んでいたのですが,実は既にエノテカが輸入しているようです。



ちなみにオレゴンは2008が素晴らしいと聞いているので,それが出るときは狙い目かもしれません。