モンダヴィ翁を悼んでモンダヴィのワインを飲もうかと思ったのですが,手持ちがOpus Oneしかなかったのでちょっと出し惜しみしてしまいました。そもそもナパのカベルネも在庫が減っていますが,その中でうちにあるものでは一番古いHess Collection Cabernet Sauvignon 1989 Mount Veederを開けました。

これはワイナリで購入したもの。ライブラリワインの中で,「どれがお勧めか」と聞いて買ったのですが,それから既に9年。また1989年というのは1988年と並んでコンディションがよくない年として知られています。また,我が家でずっとセラーに入っていたとはいえ,前のセールの不調時も経験しているので状態はちょっと不安があります。

コルクは順調に抜けるかと思ったのですが,残り1cmくらいのところで折れてしまいました。ちょっと噴いた後もあり(セラー不調時のものでしょう),濡れた新聞紙のような香り。不安はさらに増します。残りのコルクになんとかスクリューを刺そうとしたものの,ずるずる奥に入っていく危険な状態。フォークで止めようとしたら,こんどはそこだけ崩れます。

なんとかコルクが落ちるのは避けようと,ビンの口を下に向けてコルクが奥に入らないようにしながらフォークで刺してなんとか引き抜きました。10mlくらいワインがこぼれましたが,これくらいはいたしかたないでしょう。

さて,肝心のワインですが,19年経っているにもかかわらず,色は案外濃い目。逆さにしたりしたせいかちょっと濁りがあります。飲むと第一印象ではやはりちょっと不快な香りを伴いました。ですが,それは一時的なもので,後は問題なし。

ちょっとミンティーな香りにカシスの風味。若干オーク香がありますが嫌味ではなく上品なレベル。ミディアムボディ。おいしいです。

モンダヴィが目指した世界レベルのワインをナパで実現するというのは,確かに達成されていると思います。

ありがとう,ロバート・モンダヴィ。