超充実のカリフォルニア・ヴァーチャル・ツアー1日目
1日でカリフォルニアの一流ワイナリー・ツアーを5軒行く……ちょっとテイスティング・ルームに立ち寄るだけならともかく、ちゃんとワイナリーの説明を聞いて試飲もしてとなると、普通では無理な行程になってしまいますが、それを難なく実現してしまうのがヴァーチャル・ツアー。ソムリエ協会主催で日本を代表するソムリエ達を2日で10軒のワイナリーを体験してもらうツアーが開催されました。実際にはツアーも2行程あったのですが、私は先に開催された方だけ一緒に参加させてもらいました。
日本の会場はコンラッド東京。コロナ対策で「マスク無しで大丈夫」というくらい強力な空気清浄機を回しながらの受講です。とはいえ、そこそこ広い部屋に10人くらいしかいないので、空気清浄機なしでも密とも言えないくらいの余裕があるのでしたが。しかもワインをサーブしてくれるのは世界最優秀ソムリエコンクールに何度も出場している森覚さんを筆頭にしたコンラッドの素晴らしいソムリエさんたちという贅沢です。
私の参加したグループは、初日がナパのロング・メドゥ・ランチ(Ling Meadow Ranch)、ソノマのセンシーズ(Senses)、ソノマのジャクソン・ファミリー(Jackson Family)、ナパのオリン・スウィフト(Orin Swift)、ナパのハンドレッド・エーカー(Hundred Acre)。
写真は最後のハンドレッド・エーカーのワイン。これだけでいくら…と考えるとかなりすごいです。
さて、最初のワイナリーはロング・メドゥ・ランチ。ここはワイナリー名にランチ(Ranch)と入っているように牧場もあり、「ファーム・トゥ・テーブル」を一貫してやっているのが特徴です。
ナパのラザフォードが本拠地ですが、マヤカマスの山中にも畑があり、アンダーソン・ヴァレーにも畑を持っています。マリン・カウンティにも牧場があって牛を放牧しています。ほかのワイナリーよりも収穫時期が早くエレガントなワイン造りをしています。
試飲したワインは4種類。
2017 ソーヴィニヨン・ブラン ラザフォード(3900円)
ふくよかさもあるがエレガントなワイン。ソーヴィニヨン・ブランらしい青い草の風味とメロンのようなトロピカルな風味が共存しています。フレッシュな酸が気持ちいい。
2016 シャルドネ アンダーソン・ヴァレー (6800円)
ミネラル感のあるシャルドネですが、酸は比較的おだやか。青りんご、白桃、洋梨、わずかなヴァニラの風味。
2016 ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー (6800円)
やわらかく赤系果実味が優しい味わいのワイン。ザクロ、ラズベリーの風味。
2013 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー (8500円)
バランス良く、やわらかな味わいのカベルネ・ソーヴィニヨン。ナパのカベルネとしては比較的酸もあります。
2番めのワイナリーは、ソノマ・コーストに飛んでセンシーズ(Senses)。畑のオーナーの子どもたちがタッグを組んで始めたワイナリーで若いセンスが光ります。
ここのワインメーカーはシュレーダーなどナパのカベルネ・ソーヴィニヨンや、自身のワイナリー「リヴァース・マリー」で知られるトーマス・リヴァース・ブラウン。彼がソノマで作るワインはリヴァース・ブラウンとここくらいです。何十ものワイナリーからコンサルティングの依頼を受けるトーマス・リヴァース・ブラウンがここのワインメーカーになったのはどうしてなのか、不思議に思っていたのですが、なんとトーマス・リヴァース・ブラウンから、ワインメーカーをやろうかと申し出てきたというからびっくりです。オーナーの一人はソノマ・コースとのシエリオット(Thieriot)の畑の息子で、その関係からトーマス・リヴァース・ブラウンにつながったのでした(リヴァース・マリーではシエリオットのシャルドネを作っています。奥さんの一番の好みらしいです)。
2018チャールズ・ハインツ シャルドネ (1万4000円)
素晴らしく蠱惑的なシャルドネ。花の香り、ハニー・サックル、鮮烈な柑橘系の味わいにクレーム・ド・カシスやヴァニラの風味。むちゃくちゃうまいです。
2018 ピノ・ノワールRRV (1万円)
キーファーランチのブドウを中心としたピノ・ノワール。冷涼感のあるミディアムボディ。レッドプラムやレッドチェリーの味わい。
2018 Day One ピノ・ノワール(未輸入)
これまたむちゃくちゃ美味しい。バランス良くリッチで極めて長い余韻。赤系果実に、ブルーベリーなど青系果実の風味がかすかにまじります。
次のジャクソン・ファミリーはソノマのハートフォード・コートとナパのフリーマーク・アビーの2つのワイナリーを紹介しました。次のジャクソン・ファミリーはソノマのハートフォード・コートとナパのフリーマーク・アビーの2つのワイナリーを紹介しました。ジャクソン・ファミリーは最初はメンドシーノとレイク郡にブドウ畑を作って、ブドウをワイナリーに売るつもりだったのが生産者に転じ、今では55ものワイナリーを束ねています。
ワインはハートフォード・コートから。
2016 Hartford Court Seascape Charadonnay(1万6000円)
リッチな味わいですが、しつこくなくバランスのよいシャルドネ。ヴァニラ、スイカズラ、メロン、ピーチ、フレッシュな酸、オレンジ。軽い塩味や旨味もあります。
2016 Hartford Court Far Coast Pinot Noir(1万6000円)
ラズベリーやレッドプラムなどの赤系果実の味わいがきれいで、ややリッチなタイプのピノ・ノワールです。畑はソノマ・コーストでPeayの近くにあります。
次はフリーマーク・アビイ。パリスの審判にも出た歴史あるワイナリーです。2つのカベルネを試飲しました。
2015 Freemark Abbey Bosche(2万7700円)
複雑味を感じるワイン。ブラックベリー、土、トースト、タバコの風味
2015 Freemark Abbey Sycamore(2万7700円)
きめ細かいタンニンがあり、パワフル。ブルーベリー、ブラックベリーの風味。ラザフォードのワインですが、オークヴィルに通じるようなきめ細かさがあります。
この後のランチでもジャクソン・ファミリーのワインを2つ試飲しました。
2018 Jackson Estate Camelot Highlands Chardonnay(8000円)
はサンタ・マリア・ヴァレーのブドウを使ったシャルドネ。クリスプな酸があり、リッチだけどエレガントなワイン。軽いヴァニラ、白い花、レモン、グアバの風味。初めて飲みましたが美味しいです。
2017 Jackson Estate Hawkeye Mountain Cabernet Sauvignon(1万円)
標高最高2400フィートの畑。ブラックベリー、コーヒー、リッチ、しなやかなタンニン、セージ、ベイリーフ、パワフルで余韻長い
このビーフが素晴らしい。「スロー・ローステッド・フィレ・オブ・ビーフ」と書いてありましたが完璧な火入れで、赤身肉が最高の状態でした。コンラッドさすがです。また食べたい。ワインがもっと欲しかったくらいです。
午後の1つ目はオリン・スウィフト。なんと創設者のデイブ・フィニー本人の登場です。
現在はE&Jガロ傘下にあり、ガロの持つ様々な畑のブドウをブレンドしてワインを作っています。そのあたりの細かい話はあまり聞けなかったのですが…
2017 Mannequin(7460円)
シャルドネです。しっかりとした酸にややオフドライな甘み。白い花、ハニーサックル。
2018 Slander(9740円)
甘やかな味わいのピノ・ノワール。甘草、レッド・プラム、あまおう
2018 8 Years in the Desert (1万700円)
ジンファンデルです。デイブ・フィニーを有名にしたプリズナーを売却した後、契約によってしばらくジンファンデルを作れなかったのですが、ようやく作れたワイン。濃厚でパワフル、プラム、ブルーベリーの風味。
2017 Papillon (1万1220円)
ボルドー系のブレンドです。これもパワフルで濃厚です。ブルーベリー、タンニン、
2017 Mercury Head 14800
カベルネ・ソーヴィニヨン。ストラクチャーがしっかりしたワイン、ブルーベリー、ブラックベリー、コーヒー、チョコレート
オリン・スウィフトのワインは全体的にちょっと甘みを感じます。食事に合わせるのは難しいような気もしますが、ソムリエの方々に聞くと、ハンバーガーなどアメリカンなものには十分合うとの話でした。
最後はなんとハンドレッド・エーカー。ワイン・アドヴォケイトで22回満点を取ったワイナリーですが、オーナーでワインメーカーのジェイソン・ウッドブリッジはほぼ独学でワイン造りを学び(初期にはフィリップ・メルカにワイン造りを学んだようです)、ブドウ畑の開墾から栽培もしているという極めてユニークな人物。すべて自社畑でブドウを売りもしなければ買いもしないのがポリシー。
例えば最初に購入した畑であるKayli Morganは、最初に買ったときはソーヴィニヨンの畑でした。色の濃い粘土質で、砂利のように水はけがよくペトリュスの土地に似ていることに気づき、カベルネ・ソーヴィニヨンに向くとは思われなかったところでカベルネ・ソーヴィニヨンを植えたとのこと。
ここで作っているワインは実はいろいろあるのですが、メインはカベルネ・ソーヴィニヨン。今回は3つの単一畑と、その中からよりすぐりの樽をブレンドしたWraithを試飲しました。
2017 Kayli Morgan (9万8000円)
極めて芳醇で濃厚なワイン。チョコレート、コーヒー、甘草、ブルーベリー。
2014 Few and Far Between 未輸入
カリストガの銘醸畑アイズリーの少し坂上にある畑。傾斜10~20度で西向き斜面。チョークヒルギャップと呼ばれる谷あいを通して太平洋からの風が入ってきます。火山性土壌と沖積性の土壌が入り組んだ複雑な土壌です。ここだけは1割程度カベルネ・フランが入っています。
リッチで引き締まった味わい。ブルーベリー、カシス、コーヒー、甘草、鉛筆の芯
2017 Ark(9万8000円)
セントヘレナの近くの畑で傾斜30度に達する9つのブロックからなる畑。斜面の向きや土壌の構成もブロックごとに異なっており、それぞれに合わせたルートストックやクローンを植えているとのこと。
3つの中で一番タニックな味わい。甘草、ブルーベリー
2013 Wraith(10万5000円)
このワインにはノックアウトされました。リッチで複雑、極めて長い余韻。多分これは「パーカー100点」だろうと思ったらやはりそうでした(笑)。
個人的にはWraithが一番でしたが、参加者の好みは結構分かれていたのが面白いところです。
非常に贅沢な体験で初日は終了です。
なお、同席したソムリエさんたちからは以下のようなコメントをいただきました。
「生産者によって哲学違う。最初のワイナリーはエレガントだったが濃いのもあって多様化しているのを感じた」
「ワイナリーに行っているかのように産地を感じることができた。知っているつもりだった産地がより深い理解になった」
「生産者の熱量感じた。カリフォルニアに行きたくなった」
「職場ではあまり触れられなかったカリフォルニアワインをたくさん飲めてよかった」
「とても勉強になった。最近カリフォルニアワイン好きになってきたので知識を広げたい」
これで、少しでもカリフォルニアワインに力を入れてくださるレストランが増えることを期待したいです。
日本の会場はコンラッド東京。コロナ対策で「マスク無しで大丈夫」というくらい強力な空気清浄機を回しながらの受講です。とはいえ、そこそこ広い部屋に10人くらいしかいないので、空気清浄機なしでも密とも言えないくらいの余裕があるのでしたが。しかもワインをサーブしてくれるのは世界最優秀ソムリエコンクールに何度も出場している森覚さんを筆頭にしたコンラッドの素晴らしいソムリエさんたちという贅沢です。
私の参加したグループは、初日がナパのロング・メドゥ・ランチ(Ling Meadow Ranch)、ソノマのセンシーズ(Senses)、ソノマのジャクソン・ファミリー(Jackson Family)、ナパのオリン・スウィフト(Orin Swift)、ナパのハンドレッド・エーカー(Hundred Acre)。
写真は最後のハンドレッド・エーカーのワイン。これだけでいくら…と考えるとかなりすごいです。
さて、最初のワイナリーはロング・メドゥ・ランチ。ここはワイナリー名にランチ(Ranch)と入っているように牧場もあり、「ファーム・トゥ・テーブル」を一貫してやっているのが特徴です。
ナパのラザフォードが本拠地ですが、マヤカマスの山中にも畑があり、アンダーソン・ヴァレーにも畑を持っています。マリン・カウンティにも牧場があって牛を放牧しています。ほかのワイナリーよりも収穫時期が早くエレガントなワイン造りをしています。
試飲したワインは4種類。
2017 ソーヴィニヨン・ブラン ラザフォード(3900円)
ふくよかさもあるがエレガントなワイン。ソーヴィニヨン・ブランらしい青い草の風味とメロンのようなトロピカルな風味が共存しています。フレッシュな酸が気持ちいい。
2016 シャルドネ アンダーソン・ヴァレー (6800円)
ミネラル感のあるシャルドネですが、酸は比較的おだやか。青りんご、白桃、洋梨、わずかなヴァニラの風味。
2016 ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー (6800円)
やわらかく赤系果実味が優しい味わいのワイン。ザクロ、ラズベリーの風味。
2013 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー (8500円)
バランス良く、やわらかな味わいのカベルネ・ソーヴィニヨン。ナパのカベルネとしては比較的酸もあります。
2番めのワイナリーは、ソノマ・コーストに飛んでセンシーズ(Senses)。畑のオーナーの子どもたちがタッグを組んで始めたワイナリーで若いセンスが光ります。
ここのワインメーカーはシュレーダーなどナパのカベルネ・ソーヴィニヨンや、自身のワイナリー「リヴァース・マリー」で知られるトーマス・リヴァース・ブラウン。彼がソノマで作るワインはリヴァース・ブラウンとここくらいです。何十ものワイナリーからコンサルティングの依頼を受けるトーマス・リヴァース・ブラウンがここのワインメーカーになったのはどうしてなのか、不思議に思っていたのですが、なんとトーマス・リヴァース・ブラウンから、ワインメーカーをやろうかと申し出てきたというからびっくりです。オーナーの一人はソノマ・コースとのシエリオット(Thieriot)の畑の息子で、その関係からトーマス・リヴァース・ブラウンにつながったのでした(リヴァース・マリーではシエリオットのシャルドネを作っています。奥さんの一番の好みらしいです)。
2018チャールズ・ハインツ シャルドネ (1万4000円)
素晴らしく蠱惑的なシャルドネ。花の香り、ハニー・サックル、鮮烈な柑橘系の味わいにクレーム・ド・カシスやヴァニラの風味。むちゃくちゃうまいです。
2018 ピノ・ノワールRRV (1万円)
キーファーランチのブドウを中心としたピノ・ノワール。冷涼感のあるミディアムボディ。レッドプラムやレッドチェリーの味わい。
2018 Day One ピノ・ノワール(未輸入)
これまたむちゃくちゃ美味しい。バランス良くリッチで極めて長い余韻。赤系果実に、ブルーベリーなど青系果実の風味がかすかにまじります。
次のジャクソン・ファミリーはソノマのハートフォード・コートとナパのフリーマーク・アビーの2つのワイナリーを紹介しました。次のジャクソン・ファミリーはソノマのハートフォード・コートとナパのフリーマーク・アビーの2つのワイナリーを紹介しました。ジャクソン・ファミリーは最初はメンドシーノとレイク郡にブドウ畑を作って、ブドウをワイナリーに売るつもりだったのが生産者に転じ、今では55ものワイナリーを束ねています。
ワインはハートフォード・コートから。
2016 Hartford Court Seascape Charadonnay(1万6000円)
リッチな味わいですが、しつこくなくバランスのよいシャルドネ。ヴァニラ、スイカズラ、メロン、ピーチ、フレッシュな酸、オレンジ。軽い塩味や旨味もあります。
2016 Hartford Court Far Coast Pinot Noir(1万6000円)
ラズベリーやレッドプラムなどの赤系果実の味わいがきれいで、ややリッチなタイプのピノ・ノワールです。畑はソノマ・コーストでPeayの近くにあります。
次はフリーマーク・アビイ。パリスの審判にも出た歴史あるワイナリーです。2つのカベルネを試飲しました。
2015 Freemark Abbey Bosche(2万7700円)
複雑味を感じるワイン。ブラックベリー、土、トースト、タバコの風味
2015 Freemark Abbey Sycamore(2万7700円)
きめ細かいタンニンがあり、パワフル。ブルーベリー、ブラックベリーの風味。ラザフォードのワインですが、オークヴィルに通じるようなきめ細かさがあります。
この後のランチでもジャクソン・ファミリーのワインを2つ試飲しました。
2018 Jackson Estate Camelot Highlands Chardonnay(8000円)
はサンタ・マリア・ヴァレーのブドウを使ったシャルドネ。クリスプな酸があり、リッチだけどエレガントなワイン。軽いヴァニラ、白い花、レモン、グアバの風味。初めて飲みましたが美味しいです。
2017 Jackson Estate Hawkeye Mountain Cabernet Sauvignon(1万円)
標高最高2400フィートの畑。ブラックベリー、コーヒー、リッチ、しなやかなタンニン、セージ、ベイリーフ、パワフルで余韻長い
このビーフが素晴らしい。「スロー・ローステッド・フィレ・オブ・ビーフ」と書いてありましたが完璧な火入れで、赤身肉が最高の状態でした。コンラッドさすがです。また食べたい。ワインがもっと欲しかったくらいです。
午後の1つ目はオリン・スウィフト。なんと創設者のデイブ・フィニー本人の登場です。
現在はE&Jガロ傘下にあり、ガロの持つ様々な畑のブドウをブレンドしてワインを作っています。そのあたりの細かい話はあまり聞けなかったのですが…
2017 Mannequin(7460円)
シャルドネです。しっかりとした酸にややオフドライな甘み。白い花、ハニーサックル。
2018 Slander(9740円)
甘やかな味わいのピノ・ノワール。甘草、レッド・プラム、あまおう
2018 8 Years in the Desert (1万700円)
ジンファンデルです。デイブ・フィニーを有名にしたプリズナーを売却した後、契約によってしばらくジンファンデルを作れなかったのですが、ようやく作れたワイン。濃厚でパワフル、プラム、ブルーベリーの風味。
2017 Papillon (1万1220円)
ボルドー系のブレンドです。これもパワフルで濃厚です。ブルーベリー、タンニン、
2017 Mercury Head 14800
カベルネ・ソーヴィニヨン。ストラクチャーがしっかりしたワイン、ブルーベリー、ブラックベリー、コーヒー、チョコレート
オリン・スウィフトのワインは全体的にちょっと甘みを感じます。食事に合わせるのは難しいような気もしますが、ソムリエの方々に聞くと、ハンバーガーなどアメリカンなものには十分合うとの話でした。
最後はなんとハンドレッド・エーカー。ワイン・アドヴォケイトで22回満点を取ったワイナリーですが、オーナーでワインメーカーのジェイソン・ウッドブリッジはほぼ独学でワイン造りを学び(初期にはフィリップ・メルカにワイン造りを学んだようです)、ブドウ畑の開墾から栽培もしているという極めてユニークな人物。すべて自社畑でブドウを売りもしなければ買いもしないのがポリシー。
例えば最初に購入した畑であるKayli Morganは、最初に買ったときはソーヴィニヨンの畑でした。色の濃い粘土質で、砂利のように水はけがよくペトリュスの土地に似ていることに気づき、カベルネ・ソーヴィニヨンに向くとは思われなかったところでカベルネ・ソーヴィニヨンを植えたとのこと。
ここで作っているワインは実はいろいろあるのですが、メインはカベルネ・ソーヴィニヨン。今回は3つの単一畑と、その中からよりすぐりの樽をブレンドしたWraithを試飲しました。
2017 Kayli Morgan (9万8000円)
極めて芳醇で濃厚なワイン。チョコレート、コーヒー、甘草、ブルーベリー。
2014 Few and Far Between 未輸入
カリストガの銘醸畑アイズリーの少し坂上にある畑。傾斜10~20度で西向き斜面。チョークヒルギャップと呼ばれる谷あいを通して太平洋からの風が入ってきます。火山性土壌と沖積性の土壌が入り組んだ複雑な土壌です。ここだけは1割程度カベルネ・フランが入っています。
リッチで引き締まった味わい。ブルーベリー、カシス、コーヒー、甘草、鉛筆の芯
2017 Ark(9万8000円)
セントヘレナの近くの畑で傾斜30度に達する9つのブロックからなる畑。斜面の向きや土壌の構成もブロックごとに異なっており、それぞれに合わせたルートストックやクローンを植えているとのこと。
3つの中で一番タニックな味わい。甘草、ブルーベリー
2013 Wraith(10万5000円)
このワインにはノックアウトされました。リッチで複雑、極めて長い余韻。多分これは「パーカー100点」だろうと思ったらやはりそうでした(笑)。
個人的にはWraithが一番でしたが、参加者の好みは結構分かれていたのが面白いところです。
非常に贅沢な体験で初日は終了です。
なお、同席したソムリエさんたちからは以下のようなコメントをいただきました。
「生産者によって哲学違う。最初のワイナリーはエレガントだったが濃いのもあって多様化しているのを感じた」
「ワイナリーに行っているかのように産地を感じることができた。知っているつもりだった産地がより深い理解になった」
「生産者の熱量感じた。カリフォルニアに行きたくなった」
「職場ではあまり触れられなかったカリフォルニアワインをたくさん飲めてよかった」
「とても勉強になった。最近カリフォルニアワイン好きになってきたので知識を広げたい」
これで、少しでもカリフォルニアワインに力を入れてくださるレストランが増えることを期待したいです。