獺祭4種を飲み比べ、一番美味しかったのは?
日本酒「獺祭」を造る山口県の旭酒造会長の桜井博志さんのセミナーがアカデミー・デュ・ヴァンで開催され、参加してきました。3回シリーズの第1回です。
桜井博志さんが亡くなった父親の後を継いで社長になったころ(父親とは折り合いが悪くそれまでは全くノータッチだったそう)、旭酒造の売上は10年で3分の1にまで落ち込み、商売を続けるのも難しい状況だったそう。それを獺祭で「純米大吟醸」に振り切るまでの話が初回でした。
杜氏がやめてしまって、素人でもできるようにデータに頼って造っているという話は有名ですが、あくまでデータはモニターのためであって、実際に酒造りの手を動かすのはほぼ人であり、製造スタッフだけで日本の酒造最大の160人もいるという話など、かなりおもしろかったです。
試飲では獺祭の純米大吟醸45(45%まで精米)、純米大吟醸磨き三割九分(39%まで精米)、純米大吟醸磨き2割3分(23%まで精米)、そして純米大吟醸スパークリング45(45%まで精米)の4種類が出てきました。
純米大吟醸45は獺祭のエントリー版という位置付け。ピーチやバナナ、いちごの香り、軽い酸と旨味があり華やかで美味しい。これで720ml1650円というのは安いですね。
磨き三割九分、磨き二割三分と精米度合いが上がっていくと、よりすっきりしてピュアな味わいになっていきます。複雑さはむしろ薄れて、研ぎ澄まされていくような感じ。色も水かと思うほどクリアです。ただ、余韻はだんだん長くなっていくような気がしました。
打って変わってスパークリング45は白く濁ったお酒。泡はシャンパーニュなどと比べるとちょっと弱めです。瓶詰めするときに粗越しした醪(もろみ)を加え瓶内二次発酵させています。
これ、なかなかおいしいです。にごり酒のせいか、旨味を強く感じます。甘やかさもあります。バナナや甘草の風味で柔らかな味わい。泡のクリスプさと中和させるために、やや甘めの造りになっているようです。個人的にはこの日のベストでした。