カリフォルニア産のシェリー!? 樹齢130年のブドウから
ジェイク・ニュースタット(Jake Neustadt)はサンフランシスコ・ベイエリア出身の人。ジャーナリズムなどを学んだ後、ワイン造りに目覚め、リッジなどいくつかのワイナリーで働いた後、2016年からベッドロック(Bedrock)で働き始めました。
そこで取り組んだことの一つがコントラコスタにある1890年ころに植えられた古木の畑エヴァンゲーロを調べること。19世紀に作られた畑の常として「フィールド・ブレンド」といって畑に様々な品種が植えられています。ジンファンデルやマターロ(ムールヴェードル)などが中心のところ、100本ほど白ブドウのパロミノがあることが分かりました。
実はジェイクは大のシェリー好きで、シェリーの主要品種であるパロミノにも一方ならぬ興味がありました。それを知っていたベッドロックのモーガン・ピーターソンが彼にエヴァンゲーロのパロミノを使っていいよといって生まれたのが「ソレラズ・デル・パシフィコ(Soleras del Pacifico)」です。
Soleras del Pacifico
スペインのシェリーと同様、発酵後に酒精強化をして樽の上部に空気の層を持つ形で熟成させます。するとワインの表面にフロールと呼ばれる酵母などによる膜ができ、それによって熟成中に独特の風味が生まれます。さらに複数のヴィンテージのワインを熟成させるとき使う「ソレラ」システムも採用しています。
こうしてできたのがスペインのシェリーの「フィノ」のスタイルを持つワイン「フロール・オブ・エヴァンゲーロ(Flor of Evangelho)」です。このほど最初のワインがリリースされましたが、その熟成の仕組み上、ノンヴィンテージとなります。
カリフォルニアの畑にパロミノが植わっているというのも驚きでしたし、それを使ってシェリーのスタイルでワインを作っているのもびっくりでした。ごく少量の生産量で、一人3本までの制限だとか。
日本に輸入されてくることはまずないだろうと思うワインですが、非常に興味深いです。