日本でJCBといえばクレジットカード会社のことですが、ワイン業界ではなんのことだか分かりますか? 5秒以内にお答えください。

1.2.3.4.5.

はい、できましたか。答えはJean-Charles Boisset(ジャン・シャルル・ボワセ)です。

いかにもフランス人という名前のジャン・シャルルですが、実際フランス生まれのフランス人であり、ボワせ家といえばブルゴーニュ最大のネゴシアンという名門なのです。で、彼はそこの米国法人であるボワセ・ファミリー・エステートの社長なのです。しかも、驚くべきことに奥さんはガロのワインメーカーであるジーナ・ガロ。二人の間には双子の子供がいます。

カリフォルニアでは、その名もJCBワインというワイナリーをやっているほか、傘下にデローチ(DeLoach)、ブエナビスタ(Buena Vista)、レイモンド(Raymond)などのワイナリーを持っています。

これらのワイナリーを傘下に入れた後、JCBは大鉈を振るって改装に励みました。例えばブエナビスタはカリフォルニア最古のワイナリーという特徴を生かして、博物館仕立てにしています。

というわけで、いろいろ気になっていたのですが、最近相次いでこれらのワイナリーの訪問記が出ていたので紹介します。

1つはソノマ在住のカフマン恵美子さんがFacebookに投稿したブエナビスタの訪問記。
Buena Vista... - Wine Talk by Emiko Kaufman
もう1つはSFクロニクルのサイトに出ていたレイモンドの訪問記です。
This could be Napa’s weirdest wine experience - SFGate

ブエナビスタの訪問記では、カーヴや博物館を見学していますが、そのほかに自分でワインをブレンドするようなコースもあると紹介しています。「ソノマに、ここでしか体験できないツアーをするワイナリーが登場しました」と恵美子さんは書いておられます。

そして、レイモンドの方ではまさにそういったブレンディングのコースの体験記となっています。

また、ちょっと前ですがWassy'sのハダノリさんがレイモンドを訪問したレポートも面白いです。
[ハダノリ現地レポ]レイモンド(前半)知ってたーー! | オンラインWassy's ワシ等の日々。
[ハダノリ現地レポ]レイモンド(後半)~衝撃~ | オンラインWassy's ワシ等の日々。

JCB自身についてはこれらの記事には出ていませんが、山本昭彦さんのブログ(まんま和食のミーナとジャン・シャルル・ボワセの勢い - ワインレポート)には「ジャン・シャルルは、きらびやかなハリウッドスターのような服を着て、やり手ビジネスマンのようによくしゃべる。とてもフランス人とは思えない」と書かれています。

では、ワインを作る人というよりビジネスマンなのかというと実はそうでもないのです。幻ワインの私市さんのブログ(Jean-Charles Boisset : 幻ワイン醸造日記)には
ところで彼が訪れた理由は、畑をどうしても見たい、と言うことだった。
彼はその眺望と畑のコーディネーションが気に入ったらしく、畑の頂上から ワンダフル!ワンダフル!を連発していた。
「あと羊の姿があれば完璧だ。」と付け加えた。
というのも、彼はバイオダイナミック信奉者だからだ。フランスに所有する葡萄畑の90%はバイオダイナミックで栽培されている。

とあり、ほかにも彼が熱烈にワインを語る様子が描かれています。

いろいろな意味で興味をひかれる人です。

なお、本ブログで紹介した記事のいくつかを並べておきます。
政略結婚? ジーナ・ガロとジャン・シャルル・ボワセが結婚
Galloの4代目は双子
生まれ変わったRaymond
ソノマとブルゴーニュのブレンド・ピノをジャン・シャルル・ボワセが発売
Buena Vistaが歴史的建物保全で受賞
ブエナビスタが、楽しさ満載のワイン作り道具博物館をオープン
DeLoach Vineyards: 経営破綻から再生し、名声高めたワイナリ

ところで、先日のカリフォルニア・ワイン試飲会で、JCBの広報(一部で滝川クリステル似の美女と言われています)の方と再会して、ワイン一通り試飲しました。どれもレベル高かったのですが、特に印象に残った2本を最後に紹介します。

1つはデローチが作る幻ヴィンヤードのピノ・ノワール。先ほどの私市さんの畑のピノ・ノワールです。JCBが畑を見に行ったのもこのワインがあるからです。非常にきれいでおいしいピノ・ノワール。

もう1つはJCBのシャルドネ。No.81と付いていますが、この番号はJCBが初めてカリフォルニアに来た1981年にちなんだもの。ブルゴーニュに負けないシャルドネが作れると確信した年なのだそうです。