ナパ・ヴァレーの栽培家の業界団体Napa Valley Grapegrowersの調査によると、アンケートに回答したメンバーの86%が2017年に一部ででも畑の植え替えを予定しているとのこと。2015年に一部でも植え替えいたメンバーは60%、2016年は62%とのことで、かなり植え替えが進行している様子がうかがえます(Majority of Napa Growers to Replace Vines by 2017 - Wines & Vines)。先日も紹介したRootstockカンファレンスで明らかになりました。

畑の植え替えの間隔は、数十年おきというのが一般的ですが、最近は10年さらには5年で植え替えるところも増えているそうです。最大の理由は病害対策。現在は、ピアス病と、ブドウの葉が赤くなる「red blotch」と呼ばれる病気が大きな理由になっています。

ピアス病はいまだに特効薬のない病気。主にガラス羽シャープシューターという昆虫によって広がるため、現在でも苗木の取り扱い店では、この卵がついていないかどうか、すべての樹について検査することになっています。

ただ、現在はやっているのは、より行動範囲の狭い青緑シャープシューター(写真)によるもので、川の近くなど、ある程度限定された地域で流行しています(広がるピアス氏病ナパ、ソノマでピアス氏病が「大発生」)。

Blue-Green Sharpshooter

ただ、畑によっては70%が感染しているとのこと。この病気は15~20年周期で流行り、今はそのピークに来ているようです、

また、ピアス病に耐性のある樹が開発されており、かなり効果がありそうなので、植え替えにはそれが使われるケースもあるようです。

このほか、ブドウ畑の管理における人手不足も植え替えの一因になっているそうです。機械化しやすい形にするための植え替えだとか。

ナパでは現在、ブドウ畑の労働者は時給14ドル~というのが一般的だそうですが、ナパやその近辺は賃料が物価が高く、これではやっていけないため、セントラル・ヴァレー方面から出稼ぎに来ている人も多いとか。

このほか、近年はブドウ畑における女性の労働者も増えているそうです。一方で、子供の世代はその仕事を引き継がないことが多いとのこと。

先日お伝えしたトランプ次期大統領のことも含め、畑の労働者の問題は今後重要になってきそうです。