2日続けて環境ネタですが、サンタ・クルーズ・マウンテンズの有名ワイナリー「リッジ」(Ridge)が使っている最新の節水技術の記事をワイン・インスティチュートが書いています(Innovative Tools Guide Irrigation at Ridge)。

リッジで使っている節水技術は大きく分けて2つあります。1つはブドウの樹液の流れを調べて、水不足によるストレスがかかっているかどうかを調べる方法。昨年訪れたOvidでも同じようなシステムを使っていましたが(下の写真)、リッジはこの方法をかなり早くから取り入れているそうです。

水不足になっていない場合、樹液の流量は飽差と呼ばれる数値(ある温度と湿度の空気に、あとどれだけ水蒸気の入る余地があるかを示す指標)とリニアな関係にあるといいます。樹液の流量が飽差からの推定より少ない場合は、水不足の状態にあると判断できるわけです。

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もう1つはTule Technologiesという会社が開発したもので、ブドウの樹の上空にセンサーを配置し、それが樹からの水分の蒸発量を計測します。それと飽差とを比べることで、灌漑が必要かどうかを判断します。

前者がミクロ的な判断とすれば、後者はマクロ的な判断。これらを総合的に勘案して灌漑するかどうかを決めているようです。

一般的にはブドウの樹にストレスを与える(やや水不足の状態にする)ことで品質が上がると言われていますが、リッジではこれらの技術を使って灌漑量を抑えた場合も品質はほとんど変わらないと見ているそうです。また、量にも影響は出ていないとか。

これらの技術は、かなりコストもかかるものですが、オーストラリアではスマホの写真を使って樹の温度を計測して、灌漑が必要かどうか判断するようなシステムも実験されているそうです(Wine Australia unveils app for vine water stress)。