ようやくナパ、ソノマなどの火事も鎮火に向かい、避難勧告も大部分の場所で解除されました。亡くなった方は41人にまで増えましたが、行方不明の人数はかなり減りました。被害の全容がわかるまではまだだいぶかかりそうですが、ちょっと落ち着きを取り戻してきているのは確かです。クローズしているワイナリーも週末にはオープンするところが増えそうです。

こうなると気になるのが火事の煙がワインにどう影響するかです。ナパやソノマでは90%、メンドシーノでは75%ほど収穫が終わっているとの報告がありますが、残っているブドウの多くは、一番単価が高いカベルネ・ソーヴィニヨンでしょうから、金額的には影響もまたかなり気になるところです。

例えば、過去にはマーカッサンが煙の影響でピノ・ノワールを1年作るのをやめたことがありました。
マーカッサン、2008年のピノ・ノワールは中止

煙のワインへの影響については、まだそれほど多くの研究がされているわけではないようですが、UC Davisの研究者が現時点でわかっていることをまとめています。

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これはかなり細かく書いてありますが、素人にとっては難しすぎるので、もっと紐解いて書いてある記事を見つけました(Six Misconceptions About Smoke Taint)。内容は上記のものをだいぶ踏まえているようです。

「煙汚染についての6つの誤解」というこの記事の内容をもう少し見ていきましょう。

●誤解1:煙の生育の後期におけるリスクは小さい
 オーストラリアの研究によると、ヴェレゾンが始まって7日めくらいが一番影響が大きいとのことですが、収穫時期もやはり影響はかなりあります。煙に触れている期間ができるだけ短くなるよう、早く収穫することが大事です。

●誤解2:ブドウを洗浄すれば汚染は落ちる
 灰を落とすことはできますが、煙によって生成された物質はブドウの中に入っていくので、洗ってもほとんど意味はないとのことです。

●誤解3:煙は翌年の収穫にも影響する
 翌年以降の収穫の質には影響しません。

●誤解4:逆浸透膜法で汚染は完全に除去できる
 逆浸透膜法によって一部の生成物を取り除くことは可能ですが、時間が経つと汚染が「戻ってきてしまう」そうです。「hydrolysis of glycoconjugated precursors」(上記Davisの記事に出ています、「複合糖質前駆体の加水分解」?)のためだそうです。

●誤解5:濾過によって汚染を取り除ける
 濾過によって一部の煙汚染の生成物を取り除くことは可能です。ただ、濾過は特定の物質だけを取り除くことはできないので、取り除きたくないものまで取ってしまうことになります。高級なワインにとっては使いたくない方法です。

●誤解6:ワインが熟成すれば煙の影響はなくなる
 逆に時間とともに影響は強くなっていきます。したがって早く飲んでしまうことがお薦めです。

思った以上に煙の汚染は難物のようです。影響が少なければいいのですが。

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