2019年4月に発表されたコンステレーション・ブランズからガロに30を超えるブランドが売却される件。実は未だに当局からの最終許可は下りておらず、宙ぶらりんな状態が続いています。

ワイン・スペクテーターに、この間何が起こったのか、売却されたブランドの一つであるレーヴェンズウッドの創設者のジョエル・ピーターソンに聞いた記事が載っています(Ravenswood in Limbo)。

ジョエル・ピーターソン。写真は来日時のもの

1976年に設立されたレーヴェンズウッドは、かつてはリッジ、ローゼンブラムと共にジンファンデルの3Rと呼ばれた名門。ただ1990年代に最初の投資家たちがコンステレーションに売却したことによって、かつての名声は消えてしまいました。ジョエル・ピーターソンもワイナリーには残っていましたが、ワイン作りの現場からは遠ざかっていました。

今回の売却発表後はFTCによる審査(ガロは米国最大、コンステレーションは3番目の大会社)があり、ワイナリーはそれに翻弄されます。

どちらの会社に聞いても「相手側に聞け」という返事しかなく、ジョエル・ピーターソンによると「辺獄にいるか、その手前の三途の川のほとりにずっと立たされている」状態だといいます。

ソノマにあるレーヴェンズウッドのテイスティングルームは早々に閉鎖になり、ジョエル・ピーターソンもワイナリーを後にしました。

2019年のワイン作りに関しては、いくつかの畑との複数年契約が残っていたため、醸造はしたようです。ただ、多くの契約は昨年で切れてしまったため、2020年については一層不明瞭な状況です。

ジョエル・ピーターソン自身は、自らの新ブランド「ワンス・アンド・フューチャー」で再びワイン作りに回帰し、かえって楽しそうではあります。