ト・カロンと聞くとつい熱くなってしまうアンディです。

銘醸畑ひしめくナパの中でも、もしグラン・クリュの畑を選ぶとしたら100%確実にその中に入るのがオークヴィルのト・カロン・ヴィンヤード。ト・カロンの話を始めると大変なことになる(アカデミー・デュ・ヴァンのクラスでも30分くらいト・カロンについて喋り倒したこともありました)ので、細かいことは「トカロン・ヴィンヤードの謎を解く【保存版】」を読んでいただくとして、ものすごく端折って言うと、今はト・カロンと名の付く畑はコンステレーション・ブランズがオーナーで、ロバート・モンダヴィやオーパス・ワンが使っているト・カロンと、ベクストファー家が管理するベクストファー・ト・カロンの2つだけとなっています。

ベクストファー・ト・カロンは、これまでワイン・アドヴォケイトで28本もの満点ワインを輩出した畑。ここを有名にした立役者といっても過言ではないのが、シュレーダーです。シュレーダーはベクストファー・ト・カロンの中でもカベルネ・ソーヴィニヨンのクローンごとに醸造するなど何種類ものワインを作っていずれも超高評価となっていました。

コンステレーションの方のト・カロンはベクストファー・ト・カロンの何倍もの面積がありますが、これまでモンダヴィとオーパス・ワン(オーパス・ワンには専用のブロックがあります)しか使っていませんでした。

しかし、その状況が変わりました。シュレーダーの創設者フレッド・シュレーダーが2017年にワイナリーをコンステレーション・ブランズに売却し、シュレーダーもモンダヴィと同じコンステレーション傘下のワイナリーとなったのです。これでシュレーダーも従来のベクストファー・ト・カロンだけでなく、モンダヴィのト・カロンからもワインを造れるようになったのです。

さらに、コンステレーション・ブランズはト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーというブランドを設立、著名ワインメーカーのアンディ・エリクソンを迎えてト・カロン最高のワインを作ることを狙います。2016年が最初のヴィンテージとなります。

おそらく、コンステレーションとしてはモンダヴィのト・カロンで100点ワインが一つもないのを気にし100点を取りに来た、そんな感じではないかと思います。


長い長い前置きでしたが、この12月、ついにシュレーダーの「モンダヴィ・ト・カロン」を使ったワインと、アンディ・エリクソンのト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーのワイン両方が日本に入ってきたのです。

シュレーダーは「モナスタリー・ブロック」というト・カロンの中でも最上と言われるブロック。2017年が最初のヴィンテージでワイン・アドヴォケイトで97+。ト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーはワイン・スペクテーターで96。これは2017年のナパのカベルネ・ソーヴィニヨンの中ではトップになります。こちらは私も試飲をしましたが、濃厚でありながら非常にバランスのいいワイン。舌を巻きました。ちなみにワイン名の「Highest Beauty」は「To Kalon」を英語にしたものです。

ナパ・カベを極めるなら、これはどちらも飲んでおきたいワインでしょう。特にト・カロン・ヴィンヤード・カンパニーはデザインもいいし、値段もオーパスワンより安い。お薦めです。

以下2つ、ショップはどちらもカリフォルニアワインあとりえです。



ついでにもう一つご紹介。シュレーダーのセカンド格である「ダブル・ダイヤモンド」も今回日本上陸です。1万円台でシュレーダーの片鱗が味わえるかなりお得なワイン。こちらも今回、ベクストファー・ト・カロンだけでなくモンダヴィ・ト・カロンのブドウが加わっています。こちらも試飲しましたが、リッチで深みのある味わい。価格以上の満足度があります。ショップは柳屋です。