2回に分けて今年印象に残ったワインを紹介します。今年はコロナで春から初秋にかけては試飲会もほとんどなく、また生産者セミナーもオンラインのものを除くとほとんどないという年でした。そのため、出合ったワインの種類は例年より少なめだったと思います。

コロナ禍は米国におけるワインの流通にも大きな影響を与えました。ワイン消費は全般に多くなったものの、伸びたのはほとんどが大ブランドのもの。小規模生産者にとっては厳しい年でした。そのため、格安で輸出されるワインや、通常であれば輸出向けには回らないようなキュベが輸出されるなど、日本のコンシューマーにとってはメリットもありました。

今回は印象に残ったワインということで10ブランドのワインを2回に分けて紹介します。前編はバリュー系が中心です。


ロウワー(Lawer)のヴィオニエは今年の驚きの出合いの一つ。そもそもカリフォルニアのヴィオニエで「あたり」のものを見つけるのはちょっと大変なのですが、これはとてもおいしい上に価格がむちゃくちゃ安い。大おすすめワインです。


ワンダーウォールのピノ・ノワールもバリュー系。3000円台にしては珍しいほどのエレガントなピノ・ノワールです。すごくいいワインだと思っているのですが、あまり話題になってこないのがちょっと不思議。


コスパワインで知られるシャイド・ファミリーが作った「低アルコール・低カロリー」のワインです。低アルコールや低カロリーにするには人工的な作業が必要であり、こういったワインは甘かったり「あまりおいしくない」というのがこれまでの常識だったのですが、このワインは普通に美味しい。


これはもうなくなってしまったワイナリー「ルタム」のシャルドネ、デュレル・ヴィンヤード。キスラーなどのオーナーであるビル・プライスと若き才人ギャヴィン・シャナン(チャナン)が組んだワイナリーだったのですが、残念ながらやめてしまったとのこと。個人的には今年飲んだシャルドネの中でベスト。ピュアな果実味ときれいな酸。ほのかなリッチさ。ワインメーカーの才能もデュレルの実力も見事なワインでなくなってしまったのが惜しまれます。


前編の最後はソーヴィニヨン・ブラン。1万円を超える珍しい高額なソーヴィニヨン・ブランです。サンタ・ルシア・ハイランズの雄ピゾーニのジェフ・ピゾーニと、その妻で元ウェイフェアラーのワインメーカーのビビアナ・ゴンザレス・レーヴが共同で作るワインで、ボルドータイプのセミヨンをブレンドしたソーヴィニヨン・ブランとロワールタイプのソーヴィニヨン・ブランを作っています。これがどちらも美味しい。ボルドーの高級ソーヴィニヨン・ブランと比べても引けを取らないクオリティです。