これまで8月前半に収穫するワイナリーはスパークリングワイン用に限られていたローダイで、8月10日から収穫が始まりました。

早い収穫開始には3つのワインのスタイルが関係しています。
1. ドライスタイルのロゼ
 非常に色が薄く、自然な鋭い酸味を持つスタイルのドライなロゼが流行り始めています
2. 非常に軽い風味を持つ白ワイン
 従来の果実味を重視したカリフォルニアらしいスタイルから、軽く「ミネラル」を感じるワインが増えています。糖度でいうと22°Brixから、低いところでは19°Brixで収穫されています。出来上がったワインのアルコール度数でいうと11~12%程度になります。
3. 軽い風味を持つ赤ワイン
 若い世代を中心に、より「ヨーロピアン」なスタイルのワインを好む生産者が増えています。こちらもアルコール度数でいうと11~12%、果実味よりも花の香りや「アーシー」な風味を持つワインになります。

Braufrankisch
8月10日にマカロミ・リバー(Mokelumne River)AVAの東寄りにあるマカロミ・グレン・ヴィンヤードでツヴァイゲルトとブラウフレンキッシュ(写真)の収穫が始まりました。どちらもドイツ原産の黒ブドウです。ワイナリーはサンタ・クルーズ・マウンテンズにあるトレイル・マーカー(Trail Marker)。収穫時の糖度はそれぞれ20°、21°でした。オーナーワインメーカーのドリュー・ハフィンは「とれも軽い赤ワインが好きなんだ。これらのブドウ品種は糖度が低くても、その個性を味わうことができ、色づきも酸もすばらしい。品種の良さを引き出したワインを作るのに超完熟になるまで待つ必要がないんだ」と語っています。トレイル・マーカーは「ナチュラル」なスタイルのワイナリーで、天然酵母で発酵させ、樽の風味もほとんど付けないワインを作っています。

8月11日にはマカロミ・リバーの西よりにあるチェリーハウス・ヴィンヤード(Cherryhouse Vineyard)でジンファンデルの収穫が始まりました。このブドウはナパのカリストガにあるタンク・ガレージ・ワイナリー(Tank Garage Winery)と、サクラメントにあるハーメイヤー・ワイン・セラーズ(Haarmeyer Wine Cellars)で使われます。糖度は21~22°で、タンク・ガレージはドライなスタイルの「ホワイト・ジンファンデル」を作ります。ハーメイヤーは赤ワインとして醸造します。ここも近年勃発している小さなナチュラル・スタイルのワイナリーです。

8月13日には上記のハーメイヤーが、シュナン・ブランの収穫を行いました。畑はボーデン・ランチ(Borden Ranch)AVAにあるパルメロ・ヴィンヤード(Palmero Vineyard)です。シュナン・ブランはかつてはローダイで最も多く栽培されていたブドウ品種でした。当時は果実味豊かで甘みのあるワインを作るために使われていましたが1980年代にシャルドネの人気が高まり、大部分が植え替えられてしまいました。ハーメイヤーではもちろんドライなシュナン・ブランを作ります。

8月14日にはマカロミ・グレン・ヴィンヤードでオーストリア原産のグリューナー・フェルトリーナーの収穫が始まりました。白胡椒の風味を特徴とするブドウですが、この品種については毎年決まった買い手が付いていないとのこと。今年はネバダ州のリノにあるネバダ・サンセット・ワイナリーが購入しました。

8月15日にはボーキッシュ・ヴィンヤードがロゼに使うグルナッシュと、アルバリーニョの収穫を始めました。アルバリーニョは2000年代前半から栽培していますが、当初はフルボディでトロピカルフルーツの風味を持つスタイルでした。それが年々軽くミネラル感を持つ仕上がりになっていっています。

8月16日にパーレゴス(Perlegos)が収穫したのは、なんとアシリティコ。ギリシャ原産のブドウです。これが2年めの収穫。この家族はギリシャ出身で、その由来を大事にするためにアシリティコの栽培を始めました。

8月17日にはアクイース(Acquiesce)ワイナリーがヴィオニエを収穫しました。アクイースのヴィオニエは今年の1月、サンフランシスコ・クロニクルのワイン・コンペティションで2000本のワインの中から1位に選ばれています。

ツヴァイゲルトにブラウフレンキッシュ、ジンファンデル、シュナン・ブラン、グリューナー・フェルトリーナー、グルナッシュ、アルバリーニョにアシリティコ、ヴィオニエ。1週間でこれだけの品種の収穫が行われたのも驚きですが、これだけ多様なブドウ品種がローダイで育てられているのもすごいことです。